「星を継ぐもの」J.P.ホーガン
- カテゴリ:小説/詩
- 2010/02/10 15:51:54
今回はSF作品を紹介、70年代SFの金字塔「星を継ぐもの」です。
アニメファンの方は”おや?”っと思うでしょう、
Zガンダム劇場版の副題はこの作品から取られたものですねw
導入部を軽く説明しますと
近未来、月を探索してた人類が宇宙服を着た人間の遺体を発見、
これが5万年前のものと判明し謎の解明に取り掛かる。
その探求の半ば、木星の衛星ガニメデから宇宙船と正体不明の巨人が・・・
と、パッと書き出すと荒唐無稽な話に思えますが
内容の骨格になってるのは70年代以降に発見された天文的事実
あるいは分子生物学と言ったものに裏打ちされ、
フィクションと事実を巧みに織り交ぜてSFファンだけじゃなく
天文ファンや理系をかじった人も思わず頷いてしまう作品です。
「太陽系にアステロイドベルトが出来たのは何故か?」
「月の質量、構成物質が表裏で異なるのは何故か?」
「クロマニヨン人がネアンデルタールを絶滅させた理由は?」
科学的事実に触れつつ物語を紐解く、
SF本来の醍醐味を味わえる名作です。
サンリオSF文庫とは懐かしいですね!
ディック作品は既に早川から出てますけど、
フリッツ・ライバーやハリー・ハリスンと言った
私が最近注目してるSF作家さんのものはまだ復刊してないみたいですw
ホーガン&星野コラボ作品は、『星を継ぐもの』はホーガン氏が亡くなった後に出版されたのですけど、
『未来の二つの顔』は存命中に発刊され、ホーガン氏も感心するほどの納得の出来だったので、
やはり相性が良かったんだと思いますねー
南米のマジック・リアリズムも大分SFに影響を与えてまして、
テッド・チャンの大ヒットSF『あなたの人生の物語』は、作中で言及されてますが
ボルヘスの幻想小説の時間モデルをSF化したものだったりするんですよー
南米文学とは、なかなか意外な所から出てきてますね、でもマルケス生んだのも南米ですしね。
最近サンリオSF文庫の本が出て永年の「アレは誰かがサンリオのお偉いサンをだまくらかして、自分の趣味を追求したのではないか?」という疑問が半分は当たっていたのが解りました。
その本のおかげもあってか、サンリオはあちこちから多く出版されてるようです、高額だった生ける屍も出ましたし。
星野さんのコミカライズは知ってはいましたが未読でした。
考えてみれば、あれほどホーガンの作品に向いてる人はいませんよね、早々に読んでみようと思います。
木島日記はアマゾンでよくお勧めされるのですが、される理由があったんですね、色々読みたいものが増えました。
吾妻ひでおやとり・みきの自伝的SF遍歴見るとSFファン、特に読書派は年代関係なく似たような経緯を辿ってるんだなあと思いました。
とり・みき作品で友人がデニケンに手を出そうとするのを「いけない、そっちに行っちゃ」とか言って引っ張り戻そうとする所は、吹き出してしまったもんです。
この記事を書いた当時は予想してませんでしたけども、
『星を継ぐもの』もコミック化して、原作より更に完成度上がったのでお奨めですよ(・ω・)ノシ
(ホーガン+星野の『未来の二つの顔』も傑作です
「虚実織り交ぜてどこまでが実でどこが虚かわからない」作品は、最近再評価されてきた感じがあって、
前に挙げた短編集や古典に加えて、南米のラテンアメリカ文学が非常に良く仕上がってます~
あさりよしとお作品は『カールビンソン』『地球防衛少女イコちゃん』『ワッハマン』あたりまで読んでました!
『H・A・L』は未読なのですが興味がわいて来ましたよ~(・ω・)ノシ
虚実が上手いマンガ作品だと(SFから離れますが)、
大塚英志・森美夏の『北神伝奇』『木島日記』が、登場人物と事件がほぼ実在の物を使ってて
なかなか良作だったと覚えています~
ホーガンは大好きな作家です、というかこの手の「虚実織り交ぜてどこまでが実でどこが虚かわからない」という作品が好きなんですよね。
小松左京御大もこういう作品を書いてましたが、その御大が絶賛した梅原克文氏の初期3作「二重螺旋の悪魔」「ソリトンの悪魔」「カムナビ」が面白かったんですよね。
その後低迷してるのが、非常に残念です。
何かでこういった作品は日本では特に人気があり、ホーガンも本国より日本の方が有名だと書かれてました。
事実かどうかはわかりませんが。
虚実織り交ぜてといえば、カールビンソンやまんがサイエンスのあさりよしとお氏の『H・A・L』もそうですね。
独特のキツいギャグが大好きなんですが、こういったマニアックな漫画家さんの活躍の場が減ってるのは残念です。
あまり大きな声では言えませんが、同氏のラヂヲマンの単行本が未発売になってしまったのも、ものすごく不満です。
(*・ω・)人(・ω・*)ナカーマ
私はこの1作目が好きでして、改めて読み直しても
事実と虚構を織り交ぜた巧みさに感心させられますです。
>ミツナさん
>めっちゃ気になります><
( ̄ー ̄)ニヤリ
実は発見されてる旧人と新人では進化の繋がりが無く
ある年代に突如勢力が入れ替わってるんですよね。
科学的な答えはまだ出てない問題なんですが、
SFなのにこうも辻褄を合わせて答えが出せるのか、と言う感じになってますw
なんだかすごく気になる本ですね!
>クロマニヨン人がネアンデルタールを絶滅させた理由は?
めっちゃ気になります><
大好きです。