Nicotto Town


時にはサムいこと言ってみたりして


消えた翼 (11)


 「メリッサ 来てはいけない!」
 ジョーイの悲痛な声が階段に低く響く。不思議なことに、それは階下からでなく壁から聞こえているようだった。
 「ジョーイ、待っていて。 すぐに助けにいくわ!」
 永遠に続きそうな階段を駆け下り、ようやく下までたどり着いた。ここが最後の扉。メリッサは身体に力を入れてドアノブを回す。

 「やぁ、やっと来たね。遅いじゃないか」
 椅子にくつろいで座るジョーイの服には、真っ赤な液体が飛び散り、同じく赤く染まる手には鋭利な刃物が握られている。
 メリッサの視線に気付いたのか、ジョーイは困ったように自分の服を眺めた。
 「ああ、君は血が嫌いだったよね。申し訳ない。着替えてから会おうかと思ったんだけど、君が全部けしちゃったから替えの服がないんだ」
 肺が痙攣している。吸い込む空気が酷く生臭い。
 エミニーの姿が見えず、動かない身体の代わりに目だけで辺りを見渡す。すると横の壁際に縛り付けられたエミニーの姿があった。
 思わず手で口を覆う。首から下へと、深い一直線の傷が見えた。赤黒く噴き出る血液の中で、一際黒く光る。
 「どうして、どうしてこんなことを……」
 「んー、そうだなぁ。エミニーの両親は彼女を虐待していたんだ。けれど、彼女もまた妹に暴力をふるっていた。だから殺したのさ」
 「私に嘘をつかないで!」
 怒鳴るメリッサに、薄ら笑いを浮かべていたジョーイがとまった。そして詰まらなそうに肩を落とす。
 「嘘? 今までずっと君の嘘に付き合ったのに、なんで僕の嘘には付き合わないんだ?」
 鈍い音を立てて刃物を血だまりの中に放り投げた。
 転がる刃物に血が付いていっているのか、刃物から血が溢れているのか解らなくなる。
 「そんな、いつから気付いて……」
 身体を震わせて立ち尽くすメリッサのもとへ、ジョーイはゆっくりと近づいていく。
 「この世界で生まれる前から、ずっとさ」
 とん、と肩を押されてメリッサは地べたに座り込んだ。地面についた手に血糊がべったりと付く。生気を失ったエミニーの瞳がメリッサを見下ろした。
 「こうなることは、あそこで君に会う前から知っていた。 僕を天界から盗み出した悪魔が教えてくれたんでね」
 意気消沈しているメリッサの顔を無理やりジョーイは自分のほうに向かせる。
 「僕が何者か知りたくはないのかい? 君がここに来た理由は?」
 血に浸かったメリッサの手を誰かが掴んだ。
 「全て教えてやろう。 お前は何者なのか」

   まだでしたね(^_^;)
   

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