消えた翼 (11)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/02/19 02:48:34
「メリッサ 来てはいけない!」
ジョーイの悲痛な声が階段に低く響く。不思議なことに、それは階下からでなく壁から聞こえているようだった。
「ジョーイ、待っていて。 すぐに助けにいくわ!」
永遠に続きそうな階段を駆け下り、ようやく下までたどり着いた。ここが最後の扉。メリッサは身体に力を入れてドアノブを回す。
「やぁ、やっと来たね。遅いじゃないか」
椅子にくつろいで座るジョーイの服には、真っ赤な液体が飛び散り、同じく赤く染まる手には鋭利な刃物が握られている。
メリッサの視線に気付いたのか、ジョーイは困ったように自分の服を眺めた。
「ああ、君は血が嫌いだったよね。申し訳ない。着替えてから会おうかと思ったんだけど、君が全部けしちゃったから替えの服がないんだ」
肺が痙攣している。吸い込む空気が酷く生臭い。
エミニーの姿が見えず、動かない身体の代わりに目だけで辺りを見渡す。すると横の壁際に縛り付けられたエミニーの姿があった。
思わず手で口を覆う。首から下へと、深い一直線の傷が見えた。赤黒く噴き出る血液の中で、一際黒く光る。
「どうして、どうしてこんなことを……」
「んー、そうだなぁ。エミニーの両親は彼女を虐待していたんだ。けれど、彼女もまた妹に暴力をふるっていた。だから殺したのさ」
「私に嘘をつかないで!」
怒鳴るメリッサに、薄ら笑いを浮かべていたジョーイがとまった。そして詰まらなそうに肩を落とす。
「嘘? 今までずっと君の嘘に付き合ったのに、なんで僕の嘘には付き合わないんだ?」
鈍い音を立てて刃物を血だまりの中に放り投げた。
転がる刃物に血が付いていっているのか、刃物から血が溢れているのか解らなくなる。
「そんな、いつから気付いて……」
身体を震わせて立ち尽くすメリッサのもとへ、ジョーイはゆっくりと近づいていく。
「この世界で生まれる前から、ずっとさ」
とん、と肩を押されてメリッサは地べたに座り込んだ。地面についた手に血糊がべったりと付く。生気を失ったエミニーの瞳がメリッサを見下ろした。
「こうなることは、あそこで君に会う前から知っていた。 僕を天界から盗み出した悪魔が教えてくれたんでね」
意気消沈しているメリッサの顔を無理やりジョーイは自分のほうに向かせる。
「僕が何者か知りたくはないのかい? 君がここに来た理由は?」
血に浸かったメリッサの手を誰かが掴んだ。
「全て教えてやろう。 お前は何者なのか」
まだでしたね(^_^;)





























