消えた翼 (ラスト)
- カテゴリ:小説/詩
- 2010/02/19 02:49:05
エミニーの死体は消え、現実世界のジョーイがこちらを見つめている。
光は堕ちて、三人以外は闇に溶け込んでしまった。
「もともと、僕の魂は下界に降りるほど低級なものではなかった。最高位の天使になれるほどのものだったのだ」
交互に話す彼らは、時を惜しむかのように語り続ける。
「しかし、生まれる前の魂の状態であった俺を悪魔が天界から掠めっとった。そして僕は地上で誕生した」
「貴方が天使……そんな、神はそれを」
「知っていたさ。だから何度も俺を助けようと試みた。けれど、僕は魔界から地上に誕生した。俺の魂はこの闇のように黒く濁っている。神は躊躇したんだ。俺を天界に戻して、果たしていいものかどうか」
神の無責任な行動に、メリッサは苛立った。
だから禁書を出して関わりを絶ったというのか。この男は被害者だというのに。
男のために悲しんでいると、舌打ちと笑う声が聞こえる。
「可愛そうなのは君だよ、メリッサ」
近くに腰をおろし、涙と血で濡れた頬を両手で優しく包む。穏やかな愛しい笑みを浮かべる男からは、愛が一切感じられない。
「僕が死んで天界に戻っても、僕は何も変わらない。幾度生まれ変わっても、魂は浄化されず、地上で狂喜乱舞を繰り返す。言わば、今回の人生は下見といったところだな。世界は簡単に破滅させることが出来る。次に生まれ変わったのならば、ちまちまと屑を殺しはしない。 だが、神がその考えを知ってしまった。だから、君はここに存在する」
そう、敵意と尊敬の念を含めた目で見つめられ、メリッサは困惑した。ここにいるのは神の意思ではない。眉間にしわを寄せてジョーイを睨みつけるメリッサを現実世界のジョーイが嘲笑った。
「お前の意思は本当に己のものか? 自分を確立できたのはいつだ? いつから記憶はある? その記憶が本物だと言い切れる自信は?
教えてやろう。お前は神が創ったただの人形だ。この世界の住人と同じように、「天使」という役割をこなしているだけ。 そして、俺をここに繋ぎとめておくための道化にすぎない」
身体から軋む音が聞こえる。男の言っている内容が耳に入らず理解できない。
私は天使だ。何人もの人間に神の意向を示唆してきた。これからもずっと神に仕える。
「だが、そんな人形のおかげで神は僕を捕まえることができた。天使は無駄に小賢しく、そして僕にとってはそちらの方が裏をかき易い。 逆に君は純粋だった。君との生活は、それなりに楽しかったよ。だからつい、神が僕を捕まえに来たと、エミニー、外の僕が教えに来るまで遊んでしまった」
闇の奥から眩い光がこちらへと向かってくる。
「ここで捕まらなかったら、僕はまた生まれ変わることが出来たのに。悪魔として生きた方が、簡単に地上は綺麗になる。神は人間に対して寛大すぎるのだ」
残念そうにジョーイは呟く。そしてメリッサを見つめてほほ笑んだ。
「ねぇ、君は天界に戻れると思うかい? 君の役目は終わったんだ。ただの人形に戻って、動かなくなってしまうのかな? 楽しみだね」
崩れ落ちる身体に、ジョーイの声が降り注ぐ。
外が白み始め、部屋は青みを帯びていた。
なにも無い真っ白な部屋で、硬くなった死体が一つ、部屋の隅に横たわっている。
「そこにいるのは誰だ! ジョーイ貴様か!」
大勢の警官がその部屋に突入した。
そこには水滴が落ちたかのように濡れた地面と、空っぽの死体。そして静寂
終わった・・・ので、寝ます・・・・・・






























実は書いた後風邪ひきまして(^^ゞ 兄貴のがうつったみたい(~_~;)
治ったかな~と思ったら、今度は花粉症です…。゚(゚´Д`゚)゚。
読む方は毎日1話ずつだから楽だけど、
書かれたbonanさんは大変だったでしょうね~。