ヨコヅナ
- カテゴリ:日記
- 2009/01/25 23:59:29
例えば、アメリカ大統領に好戦的な人物がなったとしたらどうだろうか?
例えと言うよりも、現実に、前大統領がそうだったわけだが、これによって我々は、当然の事を再認識したはずだ。
世の中は悪くなるのである。
さて、今書いた事は本題ではない。例えである。
日本人にとって相撲とは何か。
それが本題。
アメリカ大統領と相撲を比較するのは、規模や責任において規模が違いすぎるという人もいるかもしれないが、思想、心理としては、充分、成立すると思って書く。
大統領は、精神的に成熟している事が要求される。
知識や行動力についても必要だが、それが要ではなく、成熟した精神こそが核心だろう。
なにしろ、軍隊の総指揮権を持ち、核兵器の使用を決定する人間なのだから。
あえて具体的に書く。
人を殺す決定が可能な人間。それが大統領なのだ。
大きな力を持つ人間は、
見合う精神を持たねばならない。
これは、当然の帰結である。
さて、相撲の横綱。
品格が必要と言われ、
進退についても、ほかの番付が、委員会によって決められるのとは異なり、
自ら決める。
つまり、大統領と同じ観点で量られているのだ。
力を持つとはどういう事か。
勝つとはどういう事か。
それらを考えるからこそ、神に奉納する価値が現れるはずだ。
いまでこそ相撲は、ほぼ、スポーツと同等であるし、
歴史で見ても、本当に、神に奉納すると言うほど、実際の相撲に品格があったかどうかはあやしい。
しかし、少なくとも考え方としては、相撲をとる人は、神に捧げる精神が必要なはずだ。
今だって、境内に土俵のある神社、お寺が見られるのだ。
相撲は、
「勝った人が偉い」のではなく、
「勝てるだけの力を持った人は、どうあるべきか」
それを磨くものだ。
相撲を通して、世界共通の部分と、違う部分が見えるようで面白く感じます。
違いの面では、
モンゴルの文化だと、土地を持って定住する(都市という意味で)歴史が数十年しかなくて、庶民が大勢アパートに住むというような感覚は、日本とはずいぶん違った感じ方をされているだろうと思えます。
(ついでに言うなら、街はソ連式で発展したので、その面でも違うはず)
この感覚で言うと、モンゴルと日本では、ずいぶん習慣が違っていて、相撲の優勝で与えられる賞品が、なんとも日本的で面白く見えます。
なにやら、相撲の賞品は、なにもかもデカければ良いようなところがある。
米を俵一俵とか、そういうことは、農地と一緒に定住する(農民以外でも、武士や商人も米が通貨である以上、一体となってしまう歴史)ところから発生する習慣でしょうね。
記憶がはっきりしませんが、朝青龍の初優勝の時、モンゴル大統領か、政府からだったか、授与された賞品が、とても小さな、青みがかった、ツボかなにかだった。
大きさ以外の価値と、物品よりも、名誉を象徴する物としての価値を重要視しているようで、とても興味深い物でした。
この点では、朝青龍が「勝ったから偉いんだ」という発想でいるのも、自然な事に見えます。
モンゴルに日本のお相撲さんたちが巡業に行ったときのこと。
地元のファンにインタビューしたら、
「なんていっても魁皇だよね。勝っても負けても顔に出さない。いつも平常心。
そこにすごく惹かれる」
って話しているのを聞いて、ちょっとびっくり。
その人だけかと思ったら、魁皇ファンは結構多いらしいのです。
よその国だけど、日本の精神とどこか繋がっているものって、あるのかもしれませんね。
とりあえず、乱暴な例えだけど、
イギリスのテレビ「サンダーバード」は、元軍人の大富豪が、自費で国際救助隊を運営し、しかも、それを秘密にしている話。
アメリカのコミック「バットマン」も、巨万の富を持つ男が、趣味のように、悪者退治をする。やっぱり、秘密。
金という力を持った人が、どんな風にお金を使うかというところが、一般庶民にとって興味を引く。
そういう社会的、精神的、下地があるから、こういう空想劇が喜ばれるのだろう。
さかのぼって、ヨーロッパの貴族が、庶民からどう見られていたかということが、根っこにあるんだろうと思う。
現実の貴族がどの程度のモノかはわからないが、とにかく、一つの理想像として、立派な精神の人が、城に住んで、政治を行う。
日本だって、江戸時代に大きな商家になったら、近所の橋を架けたり、そうした金の使いっぷりが重要視されたものだ。
モンゴルでも、こうした考えを説明したら、相撲の理解が深まると思うし、白鵬はそういう雰囲気が強い。
僕は、なんとなく、モンゴルで相撲がどう見えているかに興味が湧く。
でも昨日の優勝で、ずいぶんひっくりかえりましたね。
マスコミも毎回同じことしか聞かないので、頭悪いな~って思いますが、
それでも、これまでの報道をみていると、
多くの日本人は、強いだけの横綱は求めていない、ということが分かって、
あ~まだ捨てたもんじゃないのかな~と、感じていました。
大統領や横綱、そのほかTVで観る有名人も含めて、
どういう生き方に惹かれるのか、どういう姿が美しいのか、
鏡にして、(全くレベルは違いますが;)自身の歩みを省みながら参考にしたいです。