タケシの武勇伝…第二部(14)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/20 08:05:56
---第1部あらすじ---
野球で将来を期待された北野健(タケシ)は、中学3年の冬、流れ弾で利き腕を撃たれて指が動かなくなってしまい野球ができなくなってしまう。
仕方なく地元高校に進んだタケシは、成績不振から夏休みの補習授業を受けることになり、そこで佐々木真也(シンさん)と出会い、彼から事故の事情と手術とリハビリをすればもう一度野球ができるようになると告げられ手術を受けることに・・・
リハビリに励みながら2学期を迎えたタケシは、始業初日の昼食時、野球部の新顧問となった富山先生(ゴリ山さん)から仲間とともに野球部に誘われるがすぐに決断を出せないでいた。その日の放課後、シローから学校に残るため父親の説得を持ち掛けられたタケシは、渋々シローの家と向かったのだが・・・
≪シローの事情…その3≫
閉じられたシャッター脇のドアをくぐったタケシは、脳天にキンキン響く音に思わずグッと歯を食いしばった。事前に耳を塞ぐように言われてなかったらとても中に入ることはできなかった。それほど工場内は甲高い旋盤音に満ちていた。
その中をシローはまるで何事もないように進んでいくと、奥にある事務所のドアを開け、タケシに中へ入るよう手招きした。
タケシが駆け込むように中に入ってドアを閉めると、さっきまで響いていた音が嘘のように聞えなくなり、ようやく歯を緩ませることができた。
「まだ耳がキンキンしてるよ…」
「しょうがないよ。慣れてないんだから!…そんでさ、まだ4時だから後1時間くらいは親父は戻ってこないから、その間に打ち合わせしたいんだけどさ」
シローはそう言いながら事務所にある冷蔵庫からコーラとロールケーキを取り出すと、応接用の小さなソファーに座っているタケシの前に置いた。
「そうだね。俺も何て言えば良いか分かんないし…」
「それなんだけどさ…タケちゃんも野球部入るんだろ?俺、聞いてるよ。トレーニングしてるって話をさ!」
「それ、誰に聞いたんだ?」
「えっ、ああ、ウチのお袋が聞いてきたんだ。スーパー山口で!」
「山口さんか!…しょうがねぇなあ全く。まだリハビリ中だってぇのに」
「そんでさ。俺も一緒に野球部入るって言おうと思うんだけど…大丈夫だよね?」
「それは、まぁ仕方ないけどさ…ところでシローちゃん。野球やるだけで本当に学校に残れるんかい?ウチはバカ学校だから、部活やってればよっぽど悪い点取らないかぎり先生たちは大目に見てくれっかも知んないけど、それだって限度があるからさ。野球だけで親父さん説得できんの?」
補習組だったタケシから見ても、シローの成績は群を抜く悪さだった。きちんと試験を受けた者の中で赤点(30点未満)対象教科が7教科もあったのはシローだけだった。よくぞ高校に受かったもんだと誰もが思ったが、停学中を除いて、中学時代からいつも真面目に通学していたことと定員割れのおかげなのは間違いなかった。
「勉強ゎ・・・頑張るって言うしかないだろぉょ・・・」
これは勉強のことは触れない方が良いと思ったタケシは、
「そんじゃさ。とにかくゴリ山さんに勧誘されたことで押して行くしかないな。もし勉強のこと聞かれたら『とにかく頑張る』って言っとこう!」
「うん・・・」
シローに勉強の話は酷だが、それでもタケシがこんなにも自信なさげなシローの姿を見たのは初めてだった。
風貌は大きめのキャイーン天野みたいだが、いつものシローはクラスでも凄みの効いた立場にあり、腕力では上級生からも一目置かれていた。
普段のシローを知っているタケシはさすがに気の毒に思い、不意に話の矛先を変えた。
「ところでさ。シローちゃんは本当に野球全然したことないの?」
「…えっ!うん。小学校の時にやろうとしたことはあったけどさ。そん時も俺って背もなくって足もすっげぇ遅かったから全然試合に使ってもらえなくってさ。だから半月で辞めちゃったんよ。ちからなら負けねぇんだけどさ…」
最後の言葉に、タケシは思わず頷いた。夏休みの補習授業の合間、遊び半分で腕相撲した時にタケシと引分けたことがあったからだ。
タケシが腕相撲で引分けたのはシローが生まれて初めてだった・・・
※※つづく※※
でも、キャイーン天野似の凄みの効いてる風貌って・・・。(≧∇≦)ノあはは♪
二人で、親父さんを説得できるかなぁ~~~。
きっと、親父さんは、シローくんよりもっと凄みが効いてそう・・・・
タケシ、シロー君、頑張れ!!
↓
引き入れ損ねて、『シローは応援団の団長になりました』ってオチは無しで。 ^^
それにしても、堂々たる体格の男の子がしょんぼりしているのは不憫ですが…少しかわいいなんて思ってしまったり。
送りましたが・・・
届きましたでしょうか??
お手数をおかけいたしました><!
これからもよろしくです♪
才能が開花するはず!
私では男物を所持できないっぽいので^^