【白鳥の歌】(2)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/30 18:35:00
「……存外、意地の悪い奴だったのだな、そなた」
最後の一言、を断ち切られた男が不満そうにつぶやく。
――選ばせて差し上げます。主の言葉の続きを聞いて旅立つのと、私の力を得て、あの子たちの今後を見守るのと。……どちらがいいですか?
ささやくように言う幻獣の姿が、ぼやけるようにぶれる。
時間がない、とは、そういう事か、と男は目を瞑って考えた。
しばし、考える。
そして、目を開けた男は、自分の選択を、愛しい女の姿をとったものに伝えた。
幻獣が提示したものではない、第三の選択肢を。
「…できるか?」
――できる、とお約束は致しかねますが……やってみましょう。
「できずとも文句は言わんよ。……言えぬ、の方が正しいかな」
そうつぶやいて目を瞑った男の顔に、幻獣が軽く触れる。
室内に光が満ちる。
また面倒な「お願い」を引き受けてしまった、と幻獣は思う。
どうして人は、他者に「後を引き取れ」などと安易に頼むのだろう?見守りたければ、自分でやればいいのに。そのための力は貸す、と言っているのに。
疑問に思いながらも聞いてやったりするからいけないのだ、とは思う。
だが、聞いてやらずにはいられないのだ。
愛してしまっているから。
あの、儚く輝かしい魂を持つものどもを。
3世代くらい行きましょう
まだ全部読んでないので
感想はその後で
人に後事を頼むとき
って自分の力のなさ
を痛感したときな感
がするです。。
タイトルの【白鳥の歌】は
「白鳥は生涯声を出さないで、最期の時に美しい歌を歌う」
という、ヨーロッパの伝説に由来します。
話の中に『白鳥』も『歌』も出てこないので、念のために。