Nicotto Town



愉快な仲間


「それでは、次は演劇部による、演劇、『愉快な仲間』です」

観客のいない席を眺めながら、少女は大きな声で叫んだ。次の瞬間、ライトは全て消え去り、暗闇がその場を包み込んだ。

「あぁ、私は大切な物は放したく無いのに」

舞台に立つのは、ドレスを着込んだ少女だ。瞳に涙を溜めながら両手を広げ、見えない観客に眼を向ける。

「どうして――? どうしてなのでしょうか? 世界はどうして私達に厳しいの?」

ドレスの来た少女の前には地面に倒れる一人の青年がいた。その青年の中心には一本のナイフが突き立てられていた。

「あぁ、貴方は大嘘付き物です! あぁ、貴方は罪作りな男です!」

泣きながらドレス姿の少女は少年の上に覆い被さる。

「少女よ、何に泣いている?」

舞台幕から出て来たのは眼鏡を付けた少年だ、その手には刀が一本握られていた。

「あぁ、私の愛しき人が、何者かに刺されてしまいました、私の幸せは全て無くなってしまったのです」

少女は倒れている青年から放れ、泣きながら少年に近づきながら答える。

「幸せが無い? 愛しき者が居なくなれば、貴方の幸せは無くなってしまうのか?」

少年は淡々と言葉を紡いで行く。それに対して少女は泣きながら言葉を訴えていく。

「ええ、私は彼が居なければ生きては行けないのです。私にとって最も愛していた人はものここにはいない」

「貴方の名はなんと言う?」

少年は刀を抜きながらも少女の名を尋ねた。少女はそれに対して、平然と名前を返した。

「私の名前はナノでございます。騎士様」

「俺はレイ、生憎と俺は騎士では無い」

そうつぶやきながら、眼鏡を外したレイは地面に倒れる青年に近づいていく。

「ナノよ、そなたの願いはあるか?」
「あぁ、愛しき人と会いたいです。愛しき人ともう一度言葉を交わしたいです」

その言葉を聴いたレイはナノに小さく笑顔を向けながら答えた。

「ナノ、君の願いを成就させよう、俺は騎士では無く、死神だ」

「あぁ、死神ですか!? 邪なる者! ですが、彼を助ける事が出来るならお願い致します !」

ナノはレイと言う死神に願う。愛しき人を助けてください。その瞳には大粒の涙が幾度と無く零れ出ていた。

「俺が出来るのは死と生の境界線を切り裂く事のみ、だが彼は助かるだろう」

そして、レイは刀で少年に刺さるナイフを斬りあげた。ナイフが少年から抜けた瞬間、少年を眼を覚ます。

「あぁ、愛しきナノよ! 僕は死んだはず、これは夢なのだろうか!」

「いえ、これは夢では御座いませぬ! 死神様が……レイ様が貴方を助けて下さいましたのです」

少年は立ち上がりながら、レイを見つめ。その後に深く礼をした。

「済まない、助けて貰った事を感謝しよう、僕はもう少しでナノを一人にさせてしまう所だった」

「構わない、俺はただナノの大切な物を取り返しただけに過ぎない」

レイは刀を鞘に納めながら、立ち去ろうとする。だが、立ち去ろうとする前にナノがレイの前に立ち塞が――。

「ふにゃッ!」

ろうとしたが、レイの目の前でドレスを足を引っ掛けて倒れた。

「………」

「ぉぃ、どうする!? 転んじまったぞ!?」

レイと少年が近づき会い、小さく言葉を交わした後。ナノがやっと立ち上がる。

「あ、貴方はどうするのでしゅか! 一人で行ってしまわれるのでしょうか!」

ナノは鼻の頭を赤くしながら早口で言葉を紡いで行くが、言葉を噛んでしまいとても可愛らしくなってしまっている。プククッ。

「おい! ナレーター笑うな!」

「……」

や、だって、もうこれ全て台無しになってるじゃないか? 

「あぁ、死神は常に一人、友達と言う者は作れないのだ」

レイはそう呟きながら少女の横を通り過ぎようとしていく。

「レイよ! そんな事は無いのではないか?! 既に彼女は友達の様だが!?」

ヤケクソのまま、青年が言葉を紡ぎ、ナノは笑いを堪えながらレイの前に向かっていく。

「そうで御座います。私と貴方は既に友達で御座います」

「…………」

「俺もレイ、君と友達になりたいんだ」

既に劇とかどうでも良くなってるけどさ、観客はいないんだいいだろ?

ナノがレイが青年がナレーターが、言葉を交し合う。

「ああ、友達だな」

その言葉で全員が揃って笑った。そんな素敵な合唱。

はいはい、ここで出演者の紹介!


ドレスを来た可憐な少女!

「はい! ナノです。見てくれてありがとうございました!」

無口で優しい死神様

「レイだ、見てくれてありがとう」

ラストのラストで蘇った青年!

「やかましいぞ……ナレーター、見てくれた人ありがとうな」

素敵な素敵な司会者の少女

「見てくれてありがとうね♪」

そんな愉快で楽しいメンバーで劇をやらせて頂きました。


「レイやナノ、見てる? これは小説だけど小説じゃないよ!」

そういいながら、青年が舞台の中央に上がって言葉を言い放つ。

「楽しい楽しい、僕の心の中の舞台! 観客はこれを見てる皆! サークルメンバーも友人達もこれからもよろしく」


ハッピーエンドレス

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2010/04/08 20:41
ぉぉー、ここですか、納得ですw
こちらのミスですねありがとうです。
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2010/04/08 19:41
え、ええっと・・・倒れていたのは青年で。
少年がレイに変換されたんですよね??

>ナノがレイが少年がナレーターが

ここはどうなるんでしょう・・・?
誤解だったらすみません´・ω・`
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2010/04/07 23:00
んん、少し誤解がw 最初から 青年と少年の二人が出ており、途中から少年の前がレイに変換されてるだけですw
後は僕のミスですねw
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2010/04/07 22:01
こういう構成は凄く好きです♪
好きなのですが・・・

流れも良いのに、読んでいてちょっとつまずくというか、気になる所があります・・・

最初、刺されていたのは「青年」だったのに、後半で「少年」になっていること。
>立ち去ろうとする前にナノが少女の前に  ←レイは少女だったのですか?
あと「に」や「を」などが、少しこんがらがっていること(ドレスを足を引っ掛けて 等)

ただ単にミスタッチしただけかもしれませんが、少し気になったので書きました。
神羅様の他の小説でも、こういったミスが少し引っ掛かりました・・・

お節介だったらすみません(´・ω・`)
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2010/04/07 16:15
その時はよろしくです
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2010/04/07 15:01
すごく面白かった!神羅くん小説家とか、むいてるんじゃない?
登場人物とか自分で考えたの? 
それに、2000文字ピッタリっていうのもすごい!
今度会ってみたいです~♪
今度、会ったら、ホームにきてね❤

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2010/04/06 19:42
感想ありがとうですー
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2010/04/06 19:12
あは、最後まで読んでしまいましたww
おもろかったよ。。。
アバター
2010/04/05 21:34
実はこの小説は 2000文字ぴったりで作られていたりしますw

みんなありがとですー♪
アバター
2010/04/05 20:07
ちょwww
あのっwww
いろいろ突っ込みたいwww
でも、突っ込んだら負けなのか?!((ぇ
でもまぁ、面白かったけどw
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2010/04/05 19:57
個人的にこういうストーリー好きです♪
アバター
2010/04/05 19:41
凄い好きです!!

いつもありがとうございます♪
アバター
2010/04/05 19:15
レイか。。
そういう名前スキです。



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