山あいを走るバスの怪③
- カテゴリ:マンガ
- 2010/04/25 19:51:14
バスの外のきりの向こうに、耳をすまましました。どこへ消えたのか、運転手のけはいはありませんでした。
「ふみ、はやく」
「おねえちゃん、まって」
来た道をひきかえして、ころぶようにかけだしました。さっきのバス停までひきかえしさえすれば、しずおばさんの家はすぐちかくです。
でも、ますますふかいきりの中を、いってもいってもバス停につきませんでした。
「おねえちゃん」
文香は、はしりつづけるのをためらいました。
おねえちゃんも走るのをやめて、
「バス停、見おとしたかもしれない」
と、つぶやきます。けれど、ふりかえるのさえかわくて、前へ前へと進みました。
「あ」
きりの中から、ぼうっとおおきいあかりがちかづいてきます。車のライトのようです。文香は、おねえちゃんより先にかけだしました。
大型車の影が見えてきます。スピードを落として、しんちょうに走っています。
「とまってぇ」
と、両手をふりまわしました。
ちかづいてきたのは、バスでした。つぎのバスがきたのです。でも、文香に気がつかずに、とおりすぎていこうとしています。バスとならんで走りながら、死にものぐるいで、車体をどんどんたたきました。
「おねがぁい」
「とめてぇ」
ようやく、バスは低いブレーキのおとをたてて、とまってくれました。
ドアがあくのももどかしく、文香はステップに足をかけました。でもそのときです。
「ふみかっ」
後ろからおねえちゃんに、らんぼうにうでをひっぱられました。
「いたぁい」
ころびそうになっておねえちゃんにぶつかりました。
「のっちゃだめっ」
おねえちゃんの声がかすれてひきつっています。文香は、運転席をみあげて、
「ぎゃあぁぁぁ」
のどがやぶれそうなさけび声をあげました。運転席から見下ろしていたのは、さっきの運転手だったのです。首を異様にかたむけたまま、穴のような目で文香を見つめていました。
つづきは、木曜日の④で。おたのしみにー♪
その運転手怖いねw
この続きもよろしくっb