題名だけだと、ベタな恋愛ものみたいですが(笑)

熱帯魚のエンゼルフィッシュのことです。
10年位前に、この魚を飼育していたことがありました。

お店ではひれを除いた胴の部分が大体100円玉～500円玉サイズの子が売られています。フルサイズになると、体の大きさは10センチほどに達します。飼育品種はいくつかあり、シルバーに黒ストライプの基本種のほか、オレンジと黒のまだらが島にならず斑に白地に入るトリカラー、頭頂部だけオレンジ、後は白の丹頂タイプなんかがポピュラーです。
ひれはもともと長いのですが、これがさらに長いリボンタイプというのもいます。
また、普通のエンゼルのほか、この当時アルタムエンゼルという、原種のワイルド個体が出回り始めており、これは普通のエンゼルより背中の高さが高く、ひれも少し長めで人気がありました。

この魚、あまり知られていませんが一夫一婦制で、概ね生涯ペアで生活します。ペアになるか、ペアになった後その後上手くいくかどうかは、やはり性格や相性があります。
雄雌の見分けは、子供のうちはつきません。それで5匹ほど購入してきました。ノーマル3匹、丹頂一匹、トリカラー一匹。
子供のウチはそこそこ仲良くやっていますが、ほぼフルサイズになったころ、トリカラーの子(雌)と、ノーマルの一匹(雄)が正面向き合って頭を斜め下に向け、ひれをパタパタさせたり、相手のわき腹を口で軽くつついたり。
求愛行動でした。たまたま相性がよかったらしく、彼らはすぐペアに。
いつも並んで泳ぎ、時々ダンス。
魚ですが、仲のいペアはかなりラブラブです。

こうなると他のエンゼルを攻撃し始めるので、ペアで45センチ水槽に隔離。
一週間後、水槽内の濾過用パイプに産卵。卵は0.5ミリほどの透明なもので、パイプにのりのようなものでくっつけられています。
産卵後は親が卵の世話をしやすいように夜間も弱い照明をつけておきます。

彼らのペアの場合、昼は雌のトリカラーが、夜は雄が卵に胸鰭で水を送っていました。自分たちでこのへんは手順を決めるようです。
死んで白くなった卵や、ごみは丁寧に口先で取り除きます。
2週ほどで、孵化。
子供は透明なおたまじゃくし型で、とても魚には見えません。
口先でパイプにくっついて、ひらひら。時々落っこちる子がいると、気づいた親が吸い込んで、もといた場所に吹き付けます。

数日すると、子供たちは自力で泳ぎ始めます。
夜になると、口に入る大きさのうちは、親は子供口に含み、子供たちをすべて「ねぐら｣に集めます。口に入れられると子供たちは浮き袋をすべて縮め、石のように沈む仕掛けになっています。