待ち合わせの時間潰しにデパートを
ウロウロしていた。
服のバーゲンもよけいな物を買ってしまいそうなので
食器売り場へ。そこでも魔の手が待っていた。

珈琲カップやティスプーンと並んで、万華鏡が置いてあるではないか。
早速手に取り、覗いて見る。
灯台のような形で、光が出るところに長い試験管みたいな
ガラスの筒が差し込んである。その中はオイルで螺旋に　
なり、紫と白の砂粒とキラキラ光った星や三日月、丸、♥
が赤や緑、青と色とりどりで、ゆっくりくねりながら動く
しかけになっていた。
だから、模様も複雑で飽きない。
店員がやってきて、赤バージョンを出し
「地球」という題名がついていると言う。
金色の粒が入っていて、華やかだ。
命の鼓動のように、鮮やかな模様が現れる。
わたしが手にしているのは「宇宙」。
確かに紫と青の深い色は神秘の広がりを感じさせる。

わたしはこういう物に弱い。
陶器で作った小さな家や動物
麻で作った文庫本カバー、名刺サイズの内鏡がついた
爪楊枝入れは口紅を塗るときに重宝している。
綺麗な缶も好きだ。最近は黒猫小物も参入してきた。
不要不急な物ばかりだ。
高い物は、無理だと諦めやすい。でも中途半端な値の物は
どうしようもなく迷う。
「地球」にするか「宇宙」にするか迷ったあげく
「宇宙」を買って帰った。
　
やっぱり美しい。そしてむくむくと「地球」も欲しかったと思うのだ。
二つ買っても大した金額ではなかったのに
その時は買えなかった。
ものすごい贅沢に思えたから。

万華鏡、砂時計、クリスマスオーナメント、
そうそう、くるみ割り人形なんてのにも弱い。

木でできたくるみ割り人形で、本当にくるみを割ってみた。
ボキツ。兵隊さん人形の顎が折れた＾＾；
くるみ割り・風・人形だった…。
本当にくるみが割れる人形はものすごく高いのだ。
ごめんね。忘れてたよ…。

そうやって、わたしの部屋にガラクタが増える。
統一性なんてものは全くない。
なんて雑多な部屋だろうと思う。こだわりがないのだ。
でも、それらは、ほんの少し夢を背負ってやってくる。
物語を伝えたくて出会うのかもしれない。夜な夜な
何やら話をしてくれていると、嬉しいのだけれど…。
そっと聞けたら楽しいだろう。

高級品には惹かれない。
そこそこか、チープな物がいい。
雑学や巷の噂を知っていそうだ。

万華鏡。
しばらく、蛍光灯に照らしながら小さな穴を見つめる
時間が増えそうだ。
息をつめて、わぁ～キレイと、独り言ばかりいいながら。