Nicotto Town



内心八雲  №5 新と星。




   あたしはこの学校に引っ越したのは。


                  親のせいでも。


           勉強のせいでもない。



    本当は・・・



              ~内心八雲~
                       №5 新と星

  あたし達は昔からずっと一緒にいた。
  家が近いのもあって、いつもいつも3人だった。
  でも、高校生になってから何かが変わった。

  「昴。」
  「あ、星。どうしたの?」
  「うん、新が先帰っててって。茜って子と用事。」(あかね
  「あ・・・うん!分かった!!」

  一瞬顔が曇ったのを、すぐ引っ込めて笑顔を保つ。
  でもたぶん、星はその一瞬を見逃さないだろう。

  「あのさ、新。茜って人と付き合うんだって。」
  「へ、へぇ~!!良かったじゃん!!2人仲良いしさ!お似合いだよ!」
  「昴はそれでいいの?」
  「え?・・・うん!!だって新の事だしあたしがどうこういう事じゃ無いじゃん!」

  あたしが無理やり閉じ込めている想いに、星は気付いているのだろう。
  そう。あたしは新が好きなのだ。
  しかし、新が見ている人はあたしじゃない。茜だ。
  あたしの親友の。

  「そっか。うん。分かった。」
  「うん!頑張ってって言ってたって。新に言っといて、じゃあね!!」

  あたしは嘘笑いをしてすぐに星に背を向けて自分の家の方へ走った。
  歪められた自分の顔を、見られないように。

  「…昴も鈍感なんだけどね。」

  星は一人で呟いた。
  星は星で、昴に想いを寄せている。しかし昴は、一向に気付かない。

  「難しい恋だよ。本当に。」

  次の日、昴と星は2人で学校に行った。

  「ほんっとにさ~、朝から新と茜はラブラブだね~」
  「そうだね。一緒に登校するなんて、」

  その日の授業も終わり、あたしは音楽室に向かった。
  吹奏楽の練習をするために。

  「茜と新は?」
  「委員会だよ。でも委員会って4時まででしょ?」

  今時計は5時半。あと少しで部活は終わってしまう。
  いくらなんでも遅いだろう。

  「う~ん…あたしちょっと生徒会室見に行って来るね!星頼んだ!」
  「え?あ、うん。」

  あたしは生徒会室に向かった。

  「う~…いない…よね?うん。」

  自問自答を繰り返し、そろそろ帰ろうと思った時、中で音がした。

  「え?居るの?」

  あたしはドアの隙間から中をのぞくと、
  そこには地べたに座った2人が居た。
  普段思いっきり笑う事など無い新が笑っていたのだ。茜の横で。
  そのままあたしは何も言わずに走った。音楽室の方向に。

  「昴。どうだった?」
  「うん、まだみたいね。2人とも生徒会室に居たよ。」
  「何してたの?」

  まただ。星は何かと勘が良い。今回も星の鋭い眼が昴につきつけられる。

  「…っうん…」
  「昴?」
  「っなんでもないよ…」

  あたしは無意識のうちに首元で手を握りしめていた。
  その日、親を話し合って転校を決めた。

  「え?なんで?」

  星はびっくりした顔はしない。が、内心は驚いているのだろう。

  「うん…あたし、この学校に居たら気が持たない…」
  「…そ、っか。また連絡してね。僕には。新も心配するだろうけど。」
  「うん。星ごめんね?」
  「ううん。僕に言ってくれてありがとう。」

  あたしは星以外には誰にも言わずに転校する事に決めた。
  茜や新を傷付けないためにも。
  そして。あたしの存在を覚えておいてもらう為にも。

  「じゃあ、行くね。」
  「うん。」

  あたしはその日、喜多河高校から、そして新や茜の前から消えた。
  あたしの想いは消えない。
  でも、絶対に口にしてはいけないその想いを心の奥深くに閉じ込めて、
  その上から雲をかけた。幾重に重なったその雲に。
  誰が光を差し込んでくれるのだろう…。


  いやぁ~w
  昴の前の学校での様子を書きたかったんですよ^^
  上手く書けてるでしょうか??不安ですね;

アバター
2010/05/09 21:52
わぁ~・・・・
なんか切ないねェ…



Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.