内心八雲 №6 合宿。
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/09 21:29:19
要達とつるみ始めたころから分かってた。
こうなる事は。
~内心八雲~
№6 合宿
「うわ…開かねぇ・・・」
昴は朝から顔をしかめて下駄箱を開ける取っ手に手を置いていた。
開かない理由は簡単。
学年トップの学力で生徒会も務める容姿も良い要や、
ハーフで女子ウケの良い希。
他にも吹奏楽部の先輩や同期に
女子からも人気がとてつもない奴がいる。
その人気の高い男達は、必ず昴の席の近くにたむろっている。
昴が女子から痛い視線で見られるのは当たり前といってもいい。
嵐は希という彼氏が力強く守っているので危害は無いだろう。
「っんとに。あ、開いた。」
昴がそれに心を病ませていても、嵐や要に相談することはなかった。
昴はそのまま上靴を履くと、大量に入った手紙を無視して6階に上がる。
その間に吹奏楽部のコンクールの事や新と星の事を思い出していた。
(あ…そう言えば居たな…要先輩。)
昴は昨年のコンクールの時、要に楽譜を拾ってもらった事を思い出した。
「朝から何考えてんだよ。」
「った!!なにするんですか!!」
後ろから何かに殴られ、振りかえると要と、
トロンボーンパートの真(まこと)が並んで歩いていた。
「事故だよ。」
「絶対嘘じゃないですか!」
「おはよ~昴ちゃん。」
「おはようございます~」
5階まで一緒に行き、1年生は6階なのでそこでわかれた。
6階に上がってすぐに嵐を見かけた。
「あーらしー!!!」
「あっ!昴!おはよーぅ!」
「おはよ。今日クラブってメニューどうすんの?」
「あぁ、今日は合宿の説明だから練習しないよ」
「あ~。もうそんな時期か~…」
今はもう7月。真夏で暑いったらこの上ない。
しかし、吹奏楽コンクールがあるのもこんな暑い日だ。
顧問の心がひとつになるようにという提案で合宿をする事になった。
しかも泊まる場所は要の別荘。先生も厚かましいことこの上ない。
「でも要先輩よくOKだしたね~」
「まあなんだかんだで優しいじゃん。いっつも。」
(本当にね。)
昴は向日葵畑の事を思い出しながら小さくほほ笑んだ。
嵐はその姿を見て心から応援しようと思った。
「起立~礼~さよならー。」
「「さよならー」」
昴と嵐は2人で部室に向かった。
その間嵐に前の学校の事を聞かれ、
新と茜の事は話さずに他の事を話した。
話している間に部室の前まで来ていて、中に入るともう中には要や真、
希が来ていた。
「おっす~!」
「やほー」
「おー。おせぇぞ」
「まだ3人しか来てないんですけど!!」
「1番に来とけよ。」
「まぁまぁ、2人とも~」
希から順番に真、要の順に口を開いたが、
要からは丁寧に皮肉をもらった。
「そういえば合宿って前からやってるんですか?」
「おう。そのたびそのたびに俺の別荘が使われてよー」
「へぇ~、でもいいじゃないですかぁ~」
「要っちの別荘迷うから嫌~」
「希、君が方向音痴なんだよ」
5人で話していると、次々と部員が顔を出した。
全員がそろったところで合宿の説明が始まった。
「はぁ~…」
「嵐どしたの?」
「え?要先輩の別荘山奥なのよねぇ…」
「あぁ~…嵐虫嫌いだもんね」
「うん…」
2人で喋っていると、説明もあっという間に終わっていた。
「そう言えば部屋ってどうなんですか?」
「お前説明聞いとけよ。2人で1部屋」
「ほえ~…」
「俺希とだよ…ったく…」
「仲良いから良いじゃないですか」
「真が逃げたからワリィんだよ…」
「真先輩誰となんですか?」
「えーと…蓮?」(れん
「蓮先輩ってトランペットですよね?」
「おー。そう言えばあれから向日のトコ行ったのか?」(ひなた
「日向?」
「向日葵畑の事だよ。あそこの名前が日向。類姉が付けたんだ」
「へぇ~…でも可愛いですね。あそこには一昨日行きました」
「おー。そういえば類姉んとこ行ったらタダでパフェ食べれるぞ」
「っえ!?いいんですか?」
「だって類姉と仲良いじゃねェか。類姉はお人よしだからよ」
「良い人ですもんね」
2人で話しながら帰っていると、前の方に嵐と希が見えた。
(…先輩も相当なお人好しだけどね)
「じゃああたしこっちなんで!!」
「おー。じゃあな」
夕焼けの中、1つだったかげが2つにわかれ
別々の道を歩いて行った。
うーん…まあ今回は喋り多いですなァww
次回は「要の別荘」ですかね^^
楽しい合宿ですが途中で昴が大変な事に…;
次回もお楽しみにー^^★