北の少年 砂海編 17
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/10 21:06:08
このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣(メタモルフ)の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。
長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;
感想のコメントはとても励みになりますです^^v
獣人の攻撃は予想以上に早くて、ラルムは防戦するだけで精一杯だった。
怪我を負って倒れているジェンのそばへ行きたくても、少しでも気を抜いたら自分も負傷してしまいそうだ。
何とかこの状況を打破しないと、ジェンが窒息しかねない。
ラルムの心は焦るばかりだった。
その時、視界の隅を銀色の何かが掠めていった。
直感的に共生獣のカイルだと、ラルムは思った。
カイルが来たのなら、真っ先にジェンのそばへ行くはずだ。
これで安心して、獣人の相手ができる。
ラルムは両手に力を込め直して、獣人の攻撃を受け止めた。
先ほどから防戦ばかりだったか、ジェンの事を気にしつつも、ラルムは獣人の攻撃パターンを見極めようとしていた。
左右の鋭い爪で引き裂こうと、かなりの速さで交互に腕を降りおろしてくるが、その速さが若干鈍ってきたようだ。
ジェンに怪我を負わされ、怒りに任せて攻撃をしていたから、さすがに疲れてきたらしい。
傭兵として生き残るための剣法を身に着けたラルムは、最低限の動きで相手の攻撃を受けとめてきた。
多少相手が疲れてきたとはいえ油断は禁物だが、ラルムにはまだ体力に余裕がある。
このあたりに、何とか勝機がありそうだ。
ラルムはやっと状況打破の答えが見つかったので、それを実行するため戦いに心を集中させた。
ジェンの全身は、痛みに悲鳴をあげていた。
左手に怪我を負い、鋭い鉤爪でわき腹を引き裂かれ、かなりの高さから水面に落下したのだ。
そのため、しばらく意識を失っていたほどだ。
カイルが心に呼びかけてくれなかったら、未だに気絶していただろう。
隙をつかれたとはいえ、大きな失敗をしてしまった。
下手をしたら命を失っていたかもしれない。
体の痛み以上に、自分の失敗にジェンは怒りを覚えていた。
その怒りがエネルギーとなって、今の彼女を動かしている。
この反動はあとで自身の体に帰ってくるだろうが、今は目前の敵を倒して任務を遂行しなければばらない。
ラルムと獣人の戦いは、最初こそラルムが押されがちだったが、だんだんと互角になり、やがてラルムの方が優勢になりつつあった。
防戦しつつ体力を温存していた彼が,反撃を始めたのだ。
(カイル、獣人の背後にまわってあれをけん制してくれ)
(ええけど、ジェンはどうするつもりやねん)
カイルの声は心なしか心配そうだった。
意識を取り戻したとはいえ、ジェンの怪我は決して軽傷ではない。
全身、耐え難い痛みに襲われているはずだ。
(私は、あれの隙をついて急所をたたく。意識を失えば元の人型に戻るはずだ)
(…大丈夫なんか?)
(問題無い、行け)
カイルはしぶしぶ、相棒の希望を叶えるべく獣人の後ろに忍びよった。
ジェンは体の痛みを無視して、その場に立ち上がった。
愛用の剣は、獣人が放り出した位置にそのままある。
少しふらついたが、なんとかぞこまでたどり着けた。
刀身には獣の血がこびりついたままで、松明の灯りに照らされ黒くぬめっているようだ。
その剣を握り締め、ラルムと争う獣人の方を振り向く。
背後から銀色の狩猟猫が忍び寄って、襲いかかろうとしている。
その狩猟猫の姿を認めたラルムが体勢を低くして、獣人の腹部を狙って渾身の一撃を繰り出した。
同時にカイルが背後から首筋を狙って襲い掛かった。
前後から同時に攻撃を受けた怪物は、大きく後ろにのけぞって咆哮をあげた。
動きが止まったとき、ジェンは最後の力と気力を振り絞って跳躍する。
その一撃は、獣人の眉間に見事に命中して昏倒させた。、
獣人の姿が掻き消え、代わりに黒い衣を身に着けた男が、水中に倒れこんだ。
大地に飛び降りたジェンは、自分の剣を杖代わりにその場に膝をついた。
精神の集中が途切れ、全身の痛みが一気に襲ってきたのだ。
(ジェン、どうしたんですか、ジェン!?)
薄れていく意識の中で最後に聞いたのは、なぜかロヴの声のような気がした。
長かった戦闘終わりました。
次回からロヴが復帰します。
思うとおりに動いてほしいなあ^^;
早く 回復呪文と薬草で よくなります様に☆。゚+.(人-ω◕ฺ)゚+.゚
ロヴの声・・・ 気になります♪
やっと、戦闘終わりました。
ジェン、頑張りましたw
次回、やっとロヴが帰ってきます。
長らくお待たせしました^^
がんばれと言いたくなりますね^^
ジェンも意識があまりないけど
やっぱり強い女性だから最後まで
すごいですね(^_^)v
ロヴの声が気になります(^O^)/