Nicotto Town



№13 久しぶりの再会。



 会いたくなかった。



          けれどこれで前に進みたい。



                   あなたの気持ちに応えるために。



 内心八雲
   №13 久しぶりの再会。

 「ねぇ。新、昴って泣いてるとこ見た事ある?」
 「ん?いや?泣いてるとこは見た事ない…かな?
 5・6年前に昴ママが亡くなった時からは…。なんで?」
 「ううん。まえ、<あの>学校の槻唄要の腕の中で泣いてた。」
 「あの……あぁ、そっか…昴」

 新と星は、もうコンクール会場の近くのホテルで休んでいた。
 その時星は、前に偶然昴や要の学校の近くを通った時、
 丘の上から見た中庭には要の腕の中で泣き崩れている昴が居たのを
 思い出したのだ。

 (昴…もう僕の事も忘れてるのかな…)

 いつになく複雑な気持ちの星は、いつもより早く布団に入って寝た。

 「っしゃ~!!到着~」
 「希!!勝手に出ないでよ!」
 「おい!昴!起きろ!着いたって…」
 「ん…~」

 要や昴達のバスも、自分達のホテルに到着していた。
 嵐や希はいつも通り、昴と要は眼が合うだけで顔を赤くしている。

 「昴!!よかったね!」
 「っちょ!!嵐!!」
 「要っち♪頑張りましたでしょ~♥」
 「っだまれ!チビ!!豆!」

 4人を後ろから見ていた真と彩は、
 そっと手を繋ぎながらその光景を見守っていた。

 「ほらほら、早くしないと」
 「嵐ちゃんも希も。要と昴ちゃんかわいそうでしょ」

 この大人(まだ高校生ですが)が居て本当に良かったと要と昴は思った。
 そこで嵐と希は大人しくなり、ホテルの廊下を歩きだした。

 (…新…まだ茜と付き合ってんだろうな…一途だもんね。)

 自分の部屋(と言ってもまた要と同部屋)のベットに
 うつ伏せになって考えていると、頭をなでられる感覚がした。

 「お前、今まで逃げてたんだからちゃんと向き合えよ。」
 「…はい…でもなんて言えば良いか…」
 「まだ好きなんだから好きって言えや良いんじゃないか?」
 「えっ・・でも要先輩…」
 「俺はコクった方だからな。気にすんなよ。
 お前の気持ちはお前の気持ちだ」
 「うっ…でも…今更茜にもっ…新にっも…何もいって…ないし…っ」

 昴は要に頭を撫でられている安心感で、
 今まで耐えていた涙がどっと押し寄せて来た。

 「昴は今でも付き合いたいと思うのか?
 それとも新って奴を想う気持ちを忘れてんのか?
 想いなんて、簡単に捨てられるもんじゃない・・・
 だから恋とか愛とか言うんだと思う…」
 「ですよね・・まだ好きです。でも付き合いたいとは…
 気持ち伝えるだけで十分ですよ」

 (星って奴は気の毒だな…まあ恋敵だし。すまん)

 そしてその日の演奏をすべて聞き終えた昴と要は、
 自由時間になった途端にホテルを抜け出した。
 昴の幼馴染の居るホテルに行くために。


 。。。。もう終わりだね~✿
 楽しい楽しい~♪




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