冬の朝顔 エピローグ
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/19 20:11:48
結局、珠生が雑誌に載った自分の作品を目にする事はなかった
葉書をポストに投函して、近所のコンビニから原稿を発送した後、彼女は交通事故にあってしまった。
信号無視したトラックにはねられそうな子供をかばったそうだ。
身分を証明するものを持っていなかったため、身内への連絡が遅れてしまった。
彼女が息を引き取ったのは、冬の朝顔の葉書が二人の親友に届いた日だった。
かろうじて駆けつけた家族を待つようにして、最後の息を引き取った。
その表情は,満足そうだったという。
後にその事実を知った緑と佐奈は、いまにも珠生らしいと語り合った。
語りあって互いに涙を流した。
緑が佐奈の部屋を訪ねて、玄関先で彼女と顔をあわせた時だった。
ほんのひと時、春のような暖かな風が2人の周りを吹き抜けた。
密やかは、花の芳香が漂った。
『冬の朝顔咲いたよ』
晴れやかな珠生の声が、2人の耳に届いた。
あの風と声がなんだったのか、今もわからない。
ただ、緑と佐奈の2人は信じている。
あの時、珠生が会いに来てくれたのだと。
最も落ち込んでいた佐奈のもとへ、葉書を降らせて声をかけたのも珠生。
その直後に緑と会わせたのも珠生。
もうこの世に存在しない親友が、佐奈を救い、緑を導いた。
ささやかな、冬の朝顔のような奇跡。
けれど、佐奈と緑にとっては、最も大切なj奇跡だ。
雑誌に掲載された珠生の遺作は、夢の花を咲かせるため、世界中を旅する3人の少女の物語だった。
隅々まで計算され、完成度の高い作品は、漫画ファンの心をとらえて話題になった。
作者の若すぎる劇的な死も、話題性の一つとなった。
他の作品と一緒に単行本化され、まれにみるヒット作となった。
この事は佐奈と緑にとって嬉しいことではあったが、それ以上に貴重なのは冬の朝顔の葉書だった。
佐奈は、今もあの会社に勤めている。
総務部長は結局降格されて、別会社に出向となった。
佐奈以外の女子事務員が、直接社長に彼のパワハラ振りを訴えたのだ。
緑は正人と2人で育児と家事をこなし、職場復帰も果たした。
今2人の手元には、珠生の両親から贈られた朝顔の種がある。
珠生が最後に咲かせた朝顔が、冬だというのに種を実らせたのだ。
いつかこの朝顔を植えようと、2人は約束している。
もう、この世にはいない親友を忍んで。
天にいる彼女に見えるように。
綺麗に咲かせて、楽しめるように。
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この、つたない物語を最後まで読んでいただきありがとうございました。
いろんな意味で、この物語は私の大切な物語です。
約10年ぶりに、なんとか最後まで書き上げた作品でもあり、書くことの喜びを再び感じられた物語でもあります。
昨夜、夢にでてきた珠生のモデルとなった懐かしい友人と、書く事の喜びを取りもどすきっかけとなった友人へ、
この物語を贈ります。
誤らなくてもええんよ。私もそう思ってるから。
ここにこの話をアップしたのも、ニコッとがあるかぎり、私がここをやめない限り、
ここにずっとあると思ったからやしね。
ありがとうね。そういってもらって、嬉しいです。
亡くなってるお友達なんだな…と思ったのですが、
でもきっと読んで拍手を送ってると思うんだ!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この物語を彼女が読んでくれたら、本当にいいんだけど。
残念ながら、もう亡くなっているんですよ。
ストーリーもタイトルも。
珠生ちゃんにはモデルがいるんだね。
きっと久しぶりにラトちゃんの完成作品となったこの小説を読んで
拍手を送ってると思います!
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
いつも素敵な感想をいただいて嬉しかったです。
朝顔咲くといいですね♪
珠生さんは 種とともに ずっと2人を見守っていてくれます
種も 生き続けるのでしょうね~
ラトさんの大切な作品を 読ませて頂きありがとうございました^^
ウチにも沢山の朝顔の種があるので そろそろ蒔こうかな♪
秋に蒔くのも いいかもしれませんねヾ(*・ω・)ノ
このラストは、卑怯な終わり方ではないかと思ってました。
どうもありがとうございます。
近々会われるお友達と、楽しい時がすごせますように。
友達って何だろう??って改めて小説読ませてもらって
考えさせられたような気がします。
近々友達に会うので、楽しみです。