№17 明日ノ明日。
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/29 21:59:24
うん。
これでいい。
内心八雲
№17 明日ノ明日。
「はぁ~…あと何曲だ?」
要は昴に問いかけた。
今日は要率いる來桐高校の演奏日。
要はみんなとは違い、観客に背を向け、
みんなにわかりやすく、感情のこもった指揮をしなければならない。
みんなの司令塔とあって、やはり緊張しているのだろう。
「あと~…4校ですね。だから8曲です。」
「はぁ~…あぁ…もう…ちょっとだ…な。」
「ですね~…あたし舞台に上がらないのにすっごい緊張してますよ…」
「は?何言ってんの?お前上がるぞ?舞台」
「へっ!?なんでですか!!??」
「だって今年の來桐の自由曲<月光>だし。お前がソロやるんだよ。」
「絶ッ対無理です‼てか練習してないのにそんなのよく言えますよ‼」
「何言ってんだよ。お前いっつも向日葵の前で練習してたじゃねェか」
「っう…はぁ~…なんで恋ちゃんやらないんですか…」(れん
「恋はソロなんてできないんだよ。そういうタチじゃねぇ。」
「くっそ…分かりました…ミスしても知りませんよ。」
「俺惚れさせるくらいのソロ演奏だったんだから大丈夫だっつの」
要の強引な取り立て(?)により、昴はソロ演奏をする事になってしまった。
あと3校。さてはて…?
「ちょっと外の空気吸って来るわ。」
「あ、あたしも良いですか」
二人は外に空気を吸いに行く為、演奏ホールを出た。
「やっぱり駄目だ~…俺ちゃんと指揮棒振れっかな~」
「大丈夫ですよ~去年大丈夫だったんですから」
「俺去年指揮振ってねェよ」
「あ、あは…すいません」
要は小さく笑った。昴もそれに合わせてほほ笑んだ。
要はすばるの冗談で言った訳ではない冗談で、少し緊張がほぐれた。
「は~…お。ちょっとこっち来てみろよ。」
「はい?」
昴は要の言った方へ足を進めた。
そこには普通に階段があった。
「こっち。ん~…2段下りてみ」
「…下りましたよ」
要の言ったように動くと、昴はなぜこんな事をするのかと疑問に思った。
すると要は<うんうん>と頷いてすばるの肩に手を置いた。
「眼閉じろ」
「?はい?」
昴は素直に眼を閉じると、唇に暖かいものが当たった感覚があった。
(これ知ってる…)
前に要とキスした時もこれだったと思いだしていた。
「行くぞ~」
「っはい‼」
赤くなった顔と笑けて緩んだ口元が見えないように
手で覆いながら要の元へと走った。
(新とどっちが好きなのか分かんなくなって来た)
昴はふと浮かんだその気持ちをかき消すと、
要のカッターシャツの裾をそっと掴んで近づいた。
ふい~…
まあ次がコンクールかなぁ…?
ってかんじです^^*