Nicotto Town



№17 明日ノ明日。



 うん。



    これでいい。

  内心八雲

  №17  明日ノ明日。

 「はぁ~…あと何曲だ?」

 要は昴に問いかけた。
 今日は要率いる來桐高校の演奏日。
 要はみんなとは違い、観客に背を向け、
 みんなにわかりやすく、感情のこもった指揮をしなければならない。
 みんなの司令塔とあって、やはり緊張しているのだろう。

 「あと~…4校ですね。だから8曲です。」
 「はぁ~…あぁ…もう…ちょっとだ…な。」
 「ですね~…あたし舞台に上がらないのにすっごい緊張してますよ…」
 「は?何言ってんの?お前上がるぞ?舞台」
 「へっ!?なんでですか!!??」
 「だって今年の來桐の自由曲<月光>だし。お前がソロやるんだよ。」
 「絶ッ対無理です‼てか練習してないのにそんなのよく言えますよ‼」
 「何言ってんだよ。お前いっつも向日葵の前で練習してたじゃねェか」
 「っう…はぁ~…なんで恋ちゃんやらないんですか…」(れん
 「恋はソロなんてできないんだよ。そういうタチじゃねぇ。」
 「くっそ…分かりました…ミスしても知りませんよ。」
 「俺惚れさせるくらいのソロ演奏だったんだから大丈夫だっつの」

 要の強引な取り立て(?)により、昴はソロ演奏をする事になってしまった。
 あと3校。さてはて…?

 「ちょっと外の空気吸って来るわ。」
 「あ、あたしも良いですか」

 二人は外に空気を吸いに行く為、演奏ホールを出た。

 「やっぱり駄目だ~…俺ちゃんと指揮棒振れっかな~」
 「大丈夫ですよ~去年大丈夫だったんですから」
 「俺去年指揮振ってねェよ」
 「あ、あは…すいません」

 要は小さく笑った。昴もそれに合わせてほほ笑んだ。
 要はすばるの冗談で言った訳ではない冗談で、少し緊張がほぐれた。

 「は~…お。ちょっとこっち来てみろよ。」
 「はい?」

 昴は要の言った方へ足を進めた。
 そこには普通に階段があった。

 「こっち。ん~…2段下りてみ」
 「…下りましたよ」

 要の言ったように動くと、昴はなぜこんな事をするのかと疑問に思った。
 すると要は<うんうん>と頷いてすばるの肩に手を置いた。

 「眼閉じろ」
 「?はい?」

 昴は素直に眼を閉じると、唇に暖かいものが当たった感覚があった。
 (これ知ってる…)
 前に要とキスした時もこれだったと思いだしていた。

 「行くぞ~」
 「っはい‼」

 赤くなった顔と笑けて緩んだ口元が見えないように
 手で覆いながら要の元へと走った。

 (新とどっちが好きなのか分かんなくなって来た)

 昴はふと浮かんだその気持ちをかき消すと、
 要のカッターシャツの裾をそっと掴んで近づいた。



 ふい~…
 まあ次がコンクールかなぁ…?
 ってかんじです^^*




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