北の少年 砂海編 29
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/31 22:52:17
このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣(メタモルフ)の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。
長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;
感想のコメントはとても励みになりますです^^v
生け捕りにされた人狼は、魔法使いが封呪の魔法をかけた縄で縛られた状態で、ひとまず酔っ払って暴れた者を閉じ込める石造りの頑丈な小屋に閉じ込められた。
その入り口は傭兵達が交代で、不寝番をつとめた。
夜が明けるまで、人狼は気を失ったままピクリとも動かなかった。
ロヴを探してくるとジェンに告げて外に出たカイルは、真っ先にこの人狼のいる小屋へとやってきた。
共生獣のカイルにとって、最も大事なのは相棒のジェンだ。
共生…共に生きる者を選ぶ生まれ持った習性は、カイルが生きていく上の最も大切な感情である。
仲間の中には、生涯にわたって共生できる相手を持たぬまま過ごす獣も多いのだ。
ジェンという存在を得たカイルは、自分を幸運だと思っている。
そのジェンが元気になった以上は、次に気になるのはジェンに重傷を負わせた人狼のことだった。
赤毛の少年の本名がロウ・ヴェインというのなら、間違いなく彼は魔法王国ロウ・ゼオンの王族と関わりがあるに違いない。
それならば、ロヴの底知れない魔法の力も納得がいった。
カイルが見ている前で、ジェンの傷を癒したロヴの力は、全身の毛が逆立つほどの強力なものだった。
人狼のような稀な存在が差し向けられるのも、無理はないとカイルは考えた。
ロヴの命を狙っているのが何者なのか、この人狼が知っているはずだ。
そのことを誰よりも早く知って、ジェンにも知らせなければならない。
そうすることが、共生相手のジェンを守ることにもなる。
カイルはそう判断して、直接相手の心に話してみようと考えたのだ。
扉の前で不寝番をしている傭兵は、動かない人狼に油断したのかこくりこくりと舟を漕いでいた。
その様子を伺ってから、カイルは小さな灯りとり用の窓から小屋の中に侵入した。
小屋の中は薄暗く獣臭い人狼の臭いがこもっているので、カイルは鼻に皺をよせた。
小屋の隅に敷いた藁布団の上に、囚われの人狼は寝かされていた。
肩と腹部に負った怪我は、簡単な治療がなされており、四肢は封呪の縄で縛られている。
全身にも封呪の魔法がかけられているようだった。
カイルは、そっとその場に忍び寄って様子を伺い、心の声で語りかけた。
(おい、おまえ、起きとるんか?起きとるんやったら返事せいや)
(…だれダ…)
かなり聞き取りにくいが、相手から返事があっったので、カイルは少し安心した。
大怪我をして強力な封呪の魔法をかけられたら、魔法の力が強い人狼のような存在は気がふれたとしてもおかしくはなかった。
このキャラバンの魔法使いは、あまり腕がよくないのが幸いした。
人狼の心は、正常のようだ。
(お前、誰に雇われたんや?観念して話してみいひんか?)
(…おまエ…だれダ…?)
人狼の体がぴくりと動いて、かすかに目を開けた。
燐光をはなつ金色の瞳が、じっと「猫」のカイルを見つめた。
(おまエ、メタモル…フなのカ?)
(そうや、共生獣や。一応、お前ら人狼とはとお~~い親戚になるなあ。それに免じて話してみいひんか?)
人狼の目がカイルの言葉を聞いて、驚愕に見開かれた。
(おまエ、おまエ、俺たちヲ、人狼ヲ、親戚だというのカ?…)
(何を驚いてるんや?事実は事実やさかいな)
まるで信じられないものを見るように、人狼はカイルの姿を穴の開きそうなほど凝視した。
無言のまま凝視し続けた。
その視線に決まりが悪くなったカイルは、とりあえずの毛づくろいをして気分を落ち着かせた。
(なんやねん。事実を事実とゆうたんがおかしいんか?)
(…おかしイ…たいがいのメタモルフ、俺たちヲ見下しタ…おまエへんダ)
(そうか?当たり前のことゆうのんが変か?おまえ、ろくなメタモルフとしかおうてへんねんな~)
そういうと、カイルはもう一度視線を人狼に戻した。
(その話はもうええやないか。共生獣もいろいろおるんや。それより、どや、お前を雇ったんが誰かゆうてみいひんか?)
(どうセ俺は殺されるンだろウ。なら、なにもいわヌ。むだダ、去れ、メタモルフ)
(それはわからへんで~。まだなあ)
「猫」のまま、にっと笑ってカイルは尻尾を一振りして立ち上がった。
(今の雇い主は、ずいぶん変わった人みたいやし、俺の相棒も変わっとる。賽の目はどうころがるかな?また来るわ)
正直、最初の話し合いでここまで相手が応じるとは、カイルは思っていなかった。
誇り高くて、孤高の存在を気取る共生獣が多いのは本当だ。
こだわりのない自分の性格が幸いしたとカイルは思った。
これなら何とか話を続けたら、人狼が情報を話してくれそうだ。
たとえ、今は無理だとしても。
似たもの同士。
ジェンとカイルの関係って、これにつきそうです。
さて、ここからどう話をもっていきましょうね==;
そのジェンの相棒も自分の生まれながらの地位?などにはこだわらないんだね!!
人狼という二文字を見ただけで、怖いな~やっかいな存在だな~と感じていたけど、
2人のやりとりに希望を感じました。
今後の彼がなんか楽しみになってきたよ!^^
だから、カイルは大阪弁になったのでしょうか?
作者もシリアスが続くと、笑いが欲しくなるようです。
シリアスな展開には頼れる年長者的存在だ。
それもありかw
しかし私は似非東北弁しか知らない。
それも現地の方が聞いたら、殴られること間違いなしの^^;
なので、やはりお話に無理がでるかとw
もっと早く人狼が話してくれそうな気もするけどw
いや、言葉の意味が分からないかも知れないから
無理かな...^^;
たぶん、大阪弁の共生獣はカイルだけw
他にはまだでてきてないけどね~。
共生獣は初めてみたいだから
心を開いてみてくれるみたいですね(^_^)v
カイルのメタモルフ哲学??でしょうかw?
さあて、この先、どうしましょうかね~~作者の楽しい悩みですねw
人狼との駆け引き的なものが とってもよかったです^^
楽しみです^^