Nicotto Town


ようこそお越し^^


北の少年 砂海編 30

このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣(メタモルフ)の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。

長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;


ロヴは目覚めた。
目覚めると同時に、全身の筋肉が悲鳴をあげているかのような、凄まじい痛みに襲われた。
あまりの痛さに、うめき声すらだせないほどだ。
全身が強張って、寝返りすら打てなかった。
しばらく痛みに耐えていると、どうにか少しだけ体の強張りが解けてきた。
ゆっくりと半身を起こすと、枕辺でうたた寝しているラルムの姿が見えた。
自分の足元には、どこから入ってきたのか、ジェンの相棒であるカイルがじっと座り込んでいる。
カイルは金色の目で、じっとロヴの顔を凝視していた。
ジェンの相棒であるカイルが、彼女のそばを離れてここにいるということは、彼女が無事に目を覚ましたという事だ。
「カイル、ジェンは、目を覚ましたの?」
声変わりのためか、疲れのせいか、ロヴの声はしわがれてとても自分の声とは思えなかった。
片手で喉を押さえて、聞き苦しい自分の声に少年は眉をしかめた。
(気にせんでもええで。そのうち落ちつくよって)
いきなり頭の中で声が聞こえたので、ロヴは驚いてあたりを見回した。
そこにいるのは、居眠りをしているラルムとカイルだけだ。
たった今、聞こえた声はラルムのものではなかった。
だが、初めて聞いた声でもない。
昨日の夜、ジェンの戦う映像を見たときにラルムの声と重なって聞こえた声だ。
「カイルなの?今の声は?」
掠れた声で無理に話したので、ロヴはそのまま咳き込んだ。
(せや、俺はカイルや。頭の中で話したらええで、ロブ。無理したらあかん。喉に負担がかかるやろ)
「猫」はロヴのすぐそばまで、歩み寄ってきた。
もう少しでカイルの鼻が、ロヴのそれに触れそうなほど近寄ってきて、「猫」の顔でにぃっと笑う。
(初めましてやな、ロヴ。俺の声が聞こえるようになってるとは、俺もびっくりや)
驚きのあまり、目を見開いたままの少年の鼻先をペロリと舐めて、彼の瞳を覗き込む。
(何でこうなったか解らんけどな、お前が昨日魔法を使ったから、ジェンは助かった。ありがとうやで)
(…ジェンは目を覚ましたの?)
カイルの心に聞こえたロヴの声は、まだ少年のままの澄んだ高い声だった。
まだまだ、ロヴの心は子供のままなのだと思いつつ、カイルは質問に答えてやった。
(ああ、お前と話したいことがあるそうや。どや、動けそうか?)
(動く!)
全身の痛みを無視して、ロヴは何とか音をたてすに寝台から抜けだした。
そっとラルムの様子を伺うと、まだ眠りこんでいるようだ。
ふらつく足元を意思の力で押さえつけ、なんとか一歩踏み出してみた。
何とかなりそうだ。もう一歩、足を踏み出す。
これなら何とかいけるかもしれないと、思ったときだった。
「ロヴ、何処へ行く気だ?」
ついさっきまで眠り込んでいたはずのかラルムが、いつの間にかすぐそばに立っていた。
気配すら感じさせることなく、自分のぞばへやって来たのだ。
(ラルムちゃんも一流の傭兵やさかいな~、誤魔化しはきかへんで)
面白そうに話すカイルの声が聞こえた。
「猫」のカイルが、大きな体のラルムを「ちゃん」呼ばわりしていることに目を白黒させつつ、ロヴはなんとか状況を説明しようとした。
「ジェンの所へ、行きたいんです」
「飯も食ってないのに、動くのはまだ無理だ。ジェンもまだ目覚めてないんじゃないか?」
ラルムの意見も尤もな話だ。、
ここでカイルが、ロヴに助け舟をだした。
寝台の上から、ラルムの肩へと飛び移ったのだ。
うるると猫のように喉をならして、ラルムの頬に顔をすりつける。
「カ、カ、カイル?」
「カイルが、ここにいるって事は、ジェンが目を覚ました、証拠だと思うんです。行って、確かめたいんです」
掠れる声で、無理やり言葉を紡いで、真剣な目でラルムを見上げる。
ロヴの目は全体が淡い青に変化して、小波の様に揺れている。
彼の真摯な瞳と、カイルのすりすり攻撃についにラルムが降参した。
「分かった、ロヴ。ただし、俺もついていく。俺だってジェンのことが心配なんだ」
「はい!」

傭兵と少年と「猫」が、女傭兵の病室にやってきたとき、彼女は食事の真っ最中だった。
ジェンの寝台のそばにある机の上には、大量の食べ物が並べられていた。
湯気のたつ乾燥果実の入った粥と、焼きたてのパン。野菜のスープと、湯がいて冷ました薄切りの肉。
その量は、ゆうに二人分はある。
ジェンは寝台に胡坐をかいて、悠々と食事を楽しんでいた。
その様子は、とても人狼と死闘を交えて死にかけた人物には見えなかった。
カイルは平然としているが、傭兵と少年は顎を落としそうなほどあきれ果てていた。
(心配して損したかあ~?)
「よう、ラルム、ロヴ。あんたらも一緒に食べないか?」
気軽そうなジェンの声が、二人の耳に陽気に語りかけてきた。

アバター
2010/06/11 18:01
たかりんさま
いつも感想ありがとう^^
美味しく食べられる幸せ、これが健康への第一歩♪
ロヴもきっと本望でしょうw…きっと、たぶんw
アバター
2010/06/11 12:36
相変わらず美味しそうだぞ~♪
これもロヴの魔法のおかげだねっ(^O^)ヨカッタヨカッタ
ロヴはジェンよりは、逆にずっと苦しそうっ。

でもジェンのこれだけ元気な回復振りを見たら、本望だね!!
アバター
2010/06/02 20:53
らてぃあさま
食べることは、生きてる証だっておもってるんですよ。
キャラも私もw
アバター
2010/06/02 20:52
だあくさま
「猫」のカイルは我が家の飼い猫がモデルです。
どうしても、親バカが出るのかもw
ジェンは、もう大丈夫そうですねw
アバター
2010/06/02 20:40
この物語の人々って本当においしそうに食事しますね。生命力あふれるって感じ
アバター
2010/06/02 19:33
元気そうなジェンの姿を見て ようやく安心できますね^^
それにしても カイルの愛らしい描写に めろめろします (〃ノωノ)キャッ
アバター
2010/06/02 18:17
シンさま
そーですね。少なくともロヴはリハビリ必要じゃないかなw
ジェンはいらなさそう^^;
マイペース投稿になりますが、今後ともよろしくお願いします。
アバター
2010/06/02 10:37
とりあえずリハビリだね(ラトさん含め)w

次からは、ゆっくりめの投稿になると思うけど、
マイペースでお願いしますね^^
アバター
2010/06/01 21:21
momokaさま
ジェンは食べて治す人間ですねw
完全復活した彼女、これからどうするのかな?
アバター
2010/06/01 20:49
ジエンの完全復活ですね^^

みんなが心配してたけど

ジェンはこんな事では負けない

女性戦士ですものね(●^o^●)



月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.