北の少年 砂海編 31
- カテゴリ:自作小説
- 2010/06/03 21:50:07
このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣(メタモルフ)の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。
長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;
あきれ果てた男性二人のうち、最初に自分を取り戻したのはラルムの方だった。
気楽そうなジェンを見ているうちに、なにやら可笑しくなってきたのだ。
昨晩、ぐったりしたジェンを抱いて運んでいる最中や、夢中になってお湯を沸かしている間も心配していたというのに。
その心配の種ときたら。
「・・・のんきに飯を食ってるとはな。まったく…『疾風のジェン』あんたって人は…」
苦笑を浮かべつつ、傍らのロヴの背中をぱんっと軽くはたいた。
「俺はケニスさんのところへ、ジェンの快復の報告をしてくる。お前は、ジェンと飯にしろ」
そしてジェンに向かって、笑いかけた。
「あんたが元気になって良かったよ。ロヴとつもる話もあるだろう。ゆっくりするといい。どうせこれから忙しくなるからな」
「そうだろうな、ありがとう」
ジェンは手にしていた食器を置き、ラルムに軽く頭を下げた。
ジェンはこの時ばかりは真剣な表情でラルムに感謝した。
ほんのつかの間でも、二人きりになれるようにとの配慮が嬉しかったのだ。
「じゃ、また後でな」
軽く手を振って、ラルムは部屋を出て行った。
彼がいるだけで狭く感じた部屋だが、その存在が無くなっただけで、妙にがらんとした雰囲気になった。
ラルムを見送ったジェンは、視線をめぐらしてロヴと目を合わせた。
とたんにロヴは赤くなって、そっぽを向いた。
昨晩の治療時のジェンの様子が、ロヴの頭をかすめたのだ。
(なんだ?)
ロヴの不自然な態度を、ジェンは疑問に思った。
これまではなかった事だが、気まずい沈黙がロヴとジェンの間に流れた。
その沈黙を破ったのは。二人の心に聞こえるカイルの声だ。
(なんや、どないした、二人とも黙り込んで?話があるんやろう。そのうち、治療魔法の先生が戻ってくるで~)
「それは心配ないよ、カイル、独りにしてくれと言っておいたから」
「カイル、治療魔法士の先生が来るの?」
ジェンとロヴは同時にカイルに話しかけた。
ロヴの言葉にジェンは驚き、まじまじと彼の顔を見つめた。
「ロヴ、お前、カイルの声が聞こえるのか?」
「え?ええ。何故だか解らないけど、聞こえるようになりました」
「そうか」
カイルはジェンの相棒だ。
彼の声が聞こえるのは、カイルが相棒として選んだ自分だけのはずだった。
それなのに、共生獣の声が聞こえるようになるなんて。
通常では考えられないことだった。
それだけ、昨晩ロヴが考えられない状況にあったということだ。
ジェンはしばらく考えたあと、自分が胡坐をかいている隣の場所を右手で軽くたたいた。
「ここに座って食事にしなさい。食べてからでいいから、少し話をしよう」
「はい」
カイルのおかげで、気まずい空気はどこかに消えてしまった。
いつもの素直な少年に戻って、ロヴはジェンの隣に腰掛けた。
まだ全身が痛みを訴えているが、今一番痛いのは空っぽの胃袋のようだ。
ジェンの手渡してくれたお粥を、匙でゆっくりと口にすると乾燥果実の仄かな甘みが舌の上で広がった。
その甘みが全身に広がっていくようだ。
自分がこんなに飢えていたとは、思いもよらなかった。
ロヴは夢中でお粥を平らげた。
それからは、ジェンが手渡す食べ物を全て食べきって、やっと飢えを満たすことができた。
その間、ジェンは何も話さずに少年を見守り続けた。
夢中で食事をするロヴは、いつもの彼と変わりがないように思えた。
ただ、顔の色がさえない。
まだまだ、疲れているのだろう。
この無邪気な少年が、死にかけた自分を魔法で助けてくれたのだ。
ジェンは不思議な気持ちで、彼の祖父ハランとの会話を思い出していた。
食事が終わるころには、ロヴの顔のいろもすこしだけましになった。
彼が一息ついたころを見計らって、ジェンは思い切って話してみた。
単刀直入、これがジェンの会話の始まりだ。
今回も例外ではなかった。
「ロウ・ヴェインがお前の本名なんだな」
真っ直ぐなジェンらしい言葉だった。
迷いもなく、疑いもなく、ただ真実を告げている。
ジェンの言葉は矢のように、ロヴの心に素早く深く突き刺さった。
夢の中で出会ったハランの言葉が蘇ってくる。
「ジェンがお前に真実の名を告げるから、その時は全てを彼女に話しなさい」
今がその時なのだと、ロヴは悟った。
ゆっくりと視線をジェンの顔に合わせると、真剣な眼差しが自分を見つめていた。
ジェンの灰色の瞳には、薄紫色の影が落ちていた。
優しげな、相手を思いやるジェンの思いが、ロヴの心の柔らかな場所に伝わってくる、
その瞳をみつめつつ、ロヴは告白した。
「そうです。俺の本当の名前は。ロウ・ヴェインです」
ジェンの旦那さんですか、ラルムさんが?
いい人だけど間違いなく、尻に敷かれそうですよw
ロヴは最初から一人称は俺ですが、すっとですます調で話してたからなあw
やはり、僕って感じですね^^;
私の中ではジェンの旦那さん候補です。
最後の告白は、ロヴが男になった瞬間と感じたよ。
僕ってイメージだったのにね~
ジェン、のんき過ぎますw
復活させすぎたかな~?
これからの展開は、明日アップしますから、楽しみにしててね^^
元気になったみたいですね^^
ロヴが本当の名前を言って
これからどんな?展開になるのかな~(*^_^*)
続きは明日の夜にアップ予定です。
こっちも緊張して、なかなか先がすすみません。ごめんなさい^^;
姿勢を正しました (。・ω・)ゞ
こっちもちゃんと書けるのか、緊張でどきどきはらはらwww^^;