№19 そのその。
- カテゴリ:自作小説
- 2010/06/04 22:59:59
去年果たせなかったこの時が。
やっと来たんだ。
№19 そのその。
「ねぇ。新」
「茜…どうしたの?」
「新はさ…」
來桐高校の演奏終了後、喜多河高校の演奏者が舞台裏に集まっていた。
その時、茜が新に話しかけた。
「新は昴の事どうだったの?好きだったの?」
「…。」
「本当の事言っていいから。好きなの?」
「はぁ…本番前に…うん。好きだったよ。
昴が僕好きだった事も知ってたしね。」
「…だったらなんで告白しなかったの?一昨日も部屋来たのに…」
「だって…今幸せそうだし。茜もいるし。」
「…そ…っか。うん。分かった。」
茜は中途半端なところで話を中断した。
茜は昴から本当に新を奪ったんだと、今突き付けられた気がした。
≪続いて、喜多河高校吹奏楽部のみなさんです。
指揮は相川 蘭先生…≫
話しているうちに本番だった。
この地区の大会は変わっている。
本来高校生大会と中学生大会は別なのだ。
しかし、昴と要が会えたのは2つの大会を一気にやってしまおうという
主催者の大雑把なところがにじみ出ているから。
演奏が始まった。
その時、昴は要に話しかけた。
「あの…」
「あ?お前聞いとかなくて良いのかよ?」
「いやいやいや。それどころでは。トランペット。音おかしくないですか?」
昴は要に言った。
「…本当だな…あいつじゃねぇのか…?」
「3rd…茜だ‼なんで?」
「震えてるぞ…あーあ…今回も接戦を期待してたのにな…」
喜多河高校の演奏は終わった。
「茜…なんでだろ…」
「新から、昴から…色々奪ったって思ってんじゃねェのか?」
「そんな…」
喜多河の人たちは…
「新。」
「星。どうしたの?」
「茜…どうしたの?」
「…本当の事言ってって言ったのにね…?」
新は茜が言えと言ったから言ったのにと疑問でいっぱいだった。
「あ~あ。まぁ当たり前の結果か…おい昴。行かなくていいのか?」
「…いいです。茜の問題ですから。新が絶対ちゃんとしてくれてます。」
「あぁ。そっか。おう。」
結果は來桐高校・代表金…。
当たり前と言えば当たり前なのだ。
つい最近まで強豪校2校だったのにと、要は思った。
「帰るか。ホテル。」
「あ…はい。」
來桐高校は結果を聞いた後、会場を後にした。
残念でしたね、喜多河…;