Nicotto Town


ままのまいにち


サヨウナラの風景

それに気付いたのは、携帯の履歴を調べたからではなかった。
いつもの香りが少し変わっている。
同じ香りを身に纏ってはいるのだけれど、最近その香りが仄かに甘くなった。
それに気付いた時、とりあえず始めはうろたえた。

付き合い始めて数年が過ぎていた。
始めの燃えるような焦がれる気持ちは既に欠片のようになり
隣りにいるのが当たり前、そういう世間同様の馴れ合った関係になっていた。
それが悪いとは限らない。
いつもアドレナリン全開でいるのは、それなりに疲れるから。
自然に一緒にいる、そういう関係がずっと続く、
根拠もなく、そう思っていた。

だから、この発見はちょっとした嵐だった。
黙って見過ごそうか。
それとも何か聞いてみようか。
なんて?
 最近、コロン変えた?
これじゃ、その奥にある疑惑まで伝わらないな。
 女のにおいがする
カマかけすぎ。
 もう私に飽きた?
・・・・・・・・・

脳内シミュレーションはこれぐらいにして
あいつの部屋に行ってみようと、ふいに思った。
木曜午後8時。
仕事が遅いと帰ってないから、平日には尋ねて行かない時間。
突然行ったら驚くだろうか。
いやな気持ちになったから、とりあえずあいつの顔を見て安心したかった。
見上げるワンルームマンションの、その部屋には灯りが点っていた。
少しほっとした気持ちでエレベータに乗り、チャイムを鳴らす。
インターホン越しの返事。
「はい」
「わたし」
「えっ」
「ごめん、会いたくなってさ。いなくてもいいと思って来てみちゃった。」
「ちょっと待ってて」
部屋から玄関までどのぐらいの距離があるわけではない。
気持ち長めの時間が過ぎて、扉の向こうからかすかにがたっと音がした。
その後、ドアを開けたあいつはちょっと様子が違っていた。
「よぉ。来るなら連絡よこせよな。仕事が忙しくて散らかっててさ。下の茶店で話そうか。」
「いつもそんなにきれいなわけじゃないでしょうに。構わないよ。」
「俺が構うんだよ。」
あいつは不機嫌そうにそう言うと、後ろ手にドアを閉め
さっさとエレベータに向かって歩き出した。

おいおい
不自然だと思わないの?
「いいよ。疲れてそうだから、顔も見たし今日は帰る。」
「え?会いに来たんだろ?話ぐらいしてけよ。」
目に見える証拠だけが真実とはならないもの。
いやな気持ちを払おうとして、それを決定的なものにしてしまった。
「まじいいってば。そんじゃ、おやすみ。」
エレベータに一人乗りこみ、小さく手を振る。

サヨウナラ

一応、まだどうしようとかそういうことは考えられない。
頭の中は真っ白だった。
帰り道、街の景色が歪んでいるのを少し不思議に思っていたけど
部屋について靴を脱いだ時
涙がぼろぼろっとこぼれるように落ちるのを感じた。
携帯の着信音がなる。
あいつの好きなメロディー。
しばらく、それを聞いていたけど電話に出てみる。
「もしもし?今日はごめんな。本当、急だったから。」
泣いていることは悟られたくない。無言であいつの声を聞いていた。
「どうした?何か言えよ。今日のお前おかしいぞ?」
私の沈黙に何を感じているのだろう。

サヨウナラ

心の中でこのフレーズがリフレインする。
何も答えず、黙って電話を切った。
伝言モードに切り替える。
すかさず再び携帯がなり、メッセージが吹き込まれる。
「これから、そっち行くから」
声を聞かれたくない私はメールで返信をする。
『ごめん。今日は会いたくない。来ても会わない。』
すかさず返信が来る。
『部屋に入れなかっただけで何か疑っているのか?』
『自分の不自然さ気付きなよ』

そして部屋の隅のベッドに身を投げ出すと
ただ一点を見つめて、いろいろ考えていた。
浮気だろうが、心変わりだろうが、私への気持ちがさめたことには違いない。
気の迷いだって謝られても、それを暖めなおすことはできるのかしら。
静かに自分の中の暖かさも冷めていくのを感じた。


(2005/1/14)


話題のない日は過去ブログあさりw(°m°)

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2008/10/24 17:02
***るしちゃん***
小説は事実より奇なりといいます。
実話方面は地味に普通ですって(°m°)


***がーちゃま***
そのお話、お聞きした記憶がございます(爆)
今も変わらすでしょうか(・。・;)


***Leannさま***
大学生の頃漫研でした。
よく友達と途中から始まって途中で終わる
(いきなり第46回とかかいてあったりしてw)
そんな漫画もかいてましたw
つまりは、このシーンを書きたかっただけで
前も後もないんです(^^ゞ


***まべちゃま***
うんうんって思った?w
女の子って
なんとなく感づいて、なんとなく一人で完結することって
あったりするよねw


***さくらちゃん***
ごめ~ん、超ここだけですw
こういうシーンをかきたいな、ってだけで
ばばっと書いたりすること多いです(゜▽゜;)


***pomuさま***
私も同じような経験は全くありません(きっぱりww
でも、一言を出す前に頭の中では
たくさんの言葉があって、その中からがんばって探し出しながら
口に出す、そんな日はもう遠く彼方ですわw
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2008/10/24 12:51
同じような経験はないですが、なんだかとてもよく分かる気がしました。
「脳内シミュレーション」……やりますね……
シミュレーションではさらりと格好よくいくのに、実際にその場になるとダメなんですよねー( ´ `)

なんとなく若かりし日を思い出してしまいました。
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2008/10/24 11:11
おお。なんてリアリティ!
ここだけなんですか?続きとかあれば読みたいですよう~~
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2008/10/24 01:06
うんうんと想いながら読んでたわんw
小説かぁ~
続きプリーズぅ
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2008/10/24 00:43
この女性の第2章希望!

途中まで実話だと思って泣きそうだった・・・(途中っていうか他の人のコメント見るまでw)
のめりこんでしまいましたね
うまくまとめてある短編でした^^
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2008/10/24 00:30
私は一番じゃなくて「良い」と言っているので(笑)
八番目の女ですヾ(-_-;) オイオイ(爆)

「男は外に出たら七人の女が居るんだぁ~」と
言ってますので(〃▽〃)ゞ
帰って来てくれるだけで幸せに思ってます(自爆)
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2008/10/24 00:22
おおっ、ドラマみたい~。
ちょっとドキドキした。
ママの実話も読みたいよーん。
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2008/10/23 23:47
***jurienneさま***
コメレス書いてる間にΣ('-'ノ)ノ
参考にしていいぞw
こういう面倒くささがあるんだってこと(´_ゝ`)ぷぷぷ
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2008/10/23 23:45
***ちえりちゃん***
を、一分違い(´∇`)
でも、同じようなこと書いてある~♪


***Aminaさま***
現代風のは難しいですw
あとはほとんどファンタジーものか詩ですなぁ(・。・;)


***パッくん***
ぉぅw がんばれ~ ゝ(^O^)丿
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2008/10/23 23:34
わっははははは~!
これは!wwwwwwww
後ろから、何か音楽が聞こえたよ!
凄い!
ドリカムみたいな、ヤイコみたいな、
パァ~~~~ット広がった!!!!!!
世界観ですが、おなごの心が、音と共に見えたよ!
ありがっとさ~~~~ん!
そして、私のおなごを口説くアイテムにしよう!ふはは!
これは、良いよ~~~~!感動!
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2008/10/23 23:26
Ⓟもままんに負けない作品を世に残しますよ

( ゚∀゚)・∵.
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2008/10/23 22:48
なんか
なんか なんか
なんか なんか なんか……

他のも読みたいと思ったぁ~
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2008/10/23 22:29
これって実話?
3年前かぁ。。。

小説ね(b^ー゚)♪
だってママの若い頃って携帯なかったよね

でもママ文才あるね 
すご~い!!
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2008/10/23 22:28
***こはるくん***
ブログに書いた当時と同じ反応でうれしいよ(°m°)
特に今みたいに個人情報出していなかったため、
実話と勘違いされ、慰めのコメントをたくさんいただきましたwww
カテゴリ「小説/詩」だからw
なんか見聞きしてふっと思いついたやつで、体験にはかすってもおりません(´∇`)


***白菜茶漬さま***
エンディングテーマΣ('-'ノ)ノ
で、次回に続・・・きませんでしたw


***sakataさま***
若い時には携帯なんかなかったやん?w
だから、かなり創造ですょ( ・ω・)
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2008/10/23 22:10
プロしかあり得へん。
経験が少なく、このような機微は感じたことはあまりないんです。

まだこれから、いくらでも…となぐさめられたくないんです。
20代でしか感じ得ないこともあるんだろうなと思うんです。

あ、すんまへーん。個人的「恋愛に対するコンプレックス」でした。ぺんぺん。

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2008/10/23 21:00
おお!すごいですね!
なんか読みながら歌が聞こえてきましたよ^^
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2008/10/23 20:47
よく、安いと思って買ったものが、他の店にあったら、値段を確認して、ああ、やっぱり私が買ったほうが安かった、と安心する。
そして、また、別の店で、値段を確認して…

本当は、自分が失敗したことを確認したくて、値段をみているんだよね。


私は、自分で納得した値段で買ったものは、例え、その値段より安く売っていても、ぜんぜん気にしない。
自分は、買った値段で満足しているんだから。



彼では、満足できなかった?




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