北の少年 砂海編 33
- カテゴリ:自作小説
- 2010/06/06 18:43:35
このお話は、友人のリクエストにより、篠原烏童さんの作品から共生獣(メタモルフ)の設定をお借りしています。ファンの方で不快に思われましたら、お詫びいたします。
長文なので嫌なんです~の方はスルー推奨^^;
夜明けとともに、ケニスは活動を開始した。
今日は長い一日になるだろう。
キャラバンの人員に休みを与えているのは、今日の夕方までだ。
本当なら明日の朝、このバールオアシスを旅立つ予定だった。
だが、人狼の襲撃という予想外の事件が起こって、キャラバン全体が混乱している。
それを収めて、旅の予定を立て直さなければならない。
汚れてしまった沐浴場の損害も、オアシスの村に払わねばならない。
仕事は山積みで、寝ている暇はなかった。
普段は優秀な相棒である妻のメルガは、人狼に襲われたためまだ疲れて眠っていた。
そんな彼女を起こすのは忍びなかった。
生け捕りにした人狼から、情報も聞き出さねばならない。
メルガを守って瀕死の重傷を負った、護衛のジェンのことも気にかかる。
それとメルガか人狼から聞いた「ロウ・ヴェイン」という名前。
この名前が、最もケニスの気になることだった。
ケニス・キャラバンの最終目的地は、ロウ・ゼオン王国の王都だ。
かの国は、魔法で名高い国だ。
この国の主な交易品は、魔法を帯びたさまざまな道具だ。
たとえば、魔物を切ることが出来る魔力を込めた剣。
持ち主が念じるだけで、灯りが点いたり消えたりするカンテラ。
ある程度の魔法から、自分の身を守ることが出来る装飾品の数々。
ケニスはこれらの魔法の品を、ロウ・ゼオンの王都で直接取引きしたいと考えていた。
天より降り来たった神と伝わる建国の王「全き者」ロゼオンから数えて6代目のロウ・ヴェック王まで、ロウ・ゼオンの国は他国と交わることはなかった。
ただ、魔法使いだけがその技と力と魔法の品をもって、北の大地や南の大地を彷徨い歩いていた。
だからロウ・ゼオン王国の魔法の品は、とても貴重であり高価な物であった。
先代の王、6代目のロウ・ヴェック王が15年前に亡くなって今の王に代替わりしてから、ロウ・ゼオン王国は他国と交易をするようになった。
そのため、以前に比べると魔法の品は比較的手に入りやすくなった。
それでも魔法の品はまだまだ稀少な物であり、北の大地ノエラの国々でとても高価な品でもあった。
それを直接買い付けることができたなら、莫大な利益を得られる。
ケニスの狙いは、ここにあった。
もし買い付けに失敗したとしても、旅の途中で北の大地ガルナの各国と交易が出来たなら、それはそれで大きな利益となる。
どちらにしても損にはならない。
砂海を渡って、ロウ・ゼオン王国へ向かうだけの価値は大きいのだ。
今までは砂海を幾度も渡り、砂海周辺の国々との堅実な商売をして、ある程度の成功を収めてきたケニスだった。
だか、この交易に限界を感じ始めてもいた。
今回のロウ・ゼオン行きは、ケニスにとっても大きな賭けだ。
是非とも成功を収めたかった。
「ロウ・ヴェイン、ロウ・ゼオンの王族に多い名前か・・・」
ケニス夫妻の泊まる部屋からは、黄金の夜明けの世界が良く見えた。
この荘厳な砂海の夜明けを、ジェンが保護しているロヴという少年が好んでいることをケニスは知っていた。
どういうわけか、初めて会ったときからあの少年のことが気になっていた。
南の大地では珍しい、赤毛の少年というせいもあるだろう。
何者かに命を狙われたという事実もあった。
赤毛は北の、特にロウ・ゼオン国の国民に多い特徴だった。
ロヴという少し変わった発音の短い名前も、北の民に多い名前だ。
赤毛、15歳、ロヴ、ロウ・ヴェイン、ロウ・ゼオンの王族の名前。
15年前に亡くなったロウ・ゼオンの国王。
ロウ・ヴェインを探して襲撃してきた人狼。
ジェンから「ロウ・ヴェイン」の匂いがするといった人狼。
ロヴを常に傍に置いていた傭兵のジェン。
いくつもの事実の断片から、ケニスは真実を探り当てていた。
ロヴこそがロウ・ヴェインであり、ロウ・ゼオン王国の先代の王と何かの関係があるのだろうと。
年齢から考えたら、先代の王の血を引いているのかもしれない。
それなら、命を狙われても不思議ではない。
ただ解らないのは、人狼がどうして直接ロヴを襲撃しなかったのかということだ。
あれほど匂いに敏感なら、ロヴの匂いに気がつくはずなのだが。
「これだけが解らないな」
ケニスがそう呟いたとき、使用人がひとつの知らせを運んできた。
瀕死の状態だったジェンが、奇跡的に快復したというのだ。
「快復だって!まさか、あれだけの重症を負ったというのに?」
「ラルム様が直接、そうおっしゃてますが」
使用人はそういって、ラルムが外で待っている事を告げた。
「そうか。すぐに彼と会おう」
ケニスは素早く身支度を整えて部屋から出ていった。
天の配剤って言葉がありますが、こういうことができるのが作者の特権(?)です^^v
たいがい、キャラの暴走でふりまわされるけどw
のっとり国王が金儲けの為に他国との魔法商品の貿易はじめ、
その取引が目的の旅にロヴも同行しているという、
展開にびっくりです。
おもしろいな~♪
ケニスさんの状況判断、海千山千の商人ならではの感じです。
これからも頑張って欲しい方ですよw
右京さんですかw?
じゃあ、映画化のさいは水谷豊さんにケニスさんを演じていただこう♪
あの声で「奥さん」いいかもしんないw
と、妄想がとまりません。どうしましょう?w
真相に近づいて来ました^^ 読みが深いというか・・・
相棒の右京さんみたい♪
そうでしょうともw
謎は謎をよんで風雲急を…告げたりはしませんからw
まだねw
さてここからどう料理をしていきましょうか?
がお~~っw
そうそう、なんか引っかかってると思ったら、それだよねww
その謎も含めて、話が膨らんできたね♪
壮大な物語の「転」がそろそろ始まる^^?
どういたしまして^^
蛍、見たかったなあw
人狼の謎・・・とぅーびーこんてぃーにゅーやねw
あんまり期待しないでね^^;
コメントありがとね(#^.^#)
どんな謎が隠されているのか楽しみw