Nicotto Town


日記ぽい日記ではないナニカ


不思議駄菓子屋と中2の夏 其弐


「叔母さん家に、お中元持っていってくれない?」
朝飯を食っていたオレに、母さんが言った言葉がこれだった。
「え・・・なっ。」
と、言いかける。
危なかった。と、心の中で安堵。
さすがに、14年間一緒に生きてきてわかるようになってきた。
こういうときに、母さんの後ろから出ている『黒いオーラ』。
このオーラが出た時には、頼みごとが、
『持って行ってくれない?』から、
『持って行け』にかわるのだ。
これは・・・断ったら、晩飯抜きになるな。
と、頭の中で考え・・・こくり。とうなずく。
「行く。うん。行く。」
「ほんとぉ!ありがとねえ。」
母さんは、満面の笑みでいってくる。
もう断れなくなった。
「で。何を持っていけばいいんだ??」
「これ。」
と言って、持ってきたのは・・・和菓子の詰め合わせ。
よかった。軽かった。
「途中で食べたりしたらだめよ。」
「食べないよ。緑也じゃないんだし。」
「ボクも、食べないもん」
横で絵日記を書いていた緑也が、にらんでくる。
「はいはい。すいませんでしたあ。」
謝る気はそうそうない。
「おばさんの家どこにあるか分かってるわよね?」
「うん。学校前の坂下がって、唐草の駄菓子屋のところ曲がるんだろ??」
と、ごちそうさまのポーズをしながら言う。
「そう。じゃあ、いってらしゃーい。」
「・・・・・・・・・・・・・・今から!?まだ、8時30分だぞ!」
「さあ、そんなこと言わずに」
そんなこといいながら、母さんはオレの背中を押して玄関へ導く。
押されるものだから、オレは思わずスニーカーをつっかけのようにはいて、
片手にお中元を持って、家の外に追い出された。
「ちょっ!おい!待てよッ!」
と、ドアをどんどん叩いて、抗議する。
さすがにうるさかったのか、カギが開く音がした。
少ししてから、ドアが開いた。
玄関から出てきたのは、麦わら帽子をかぶった緑也だけだった。
「兄ちゃん。これ。」
といって、緑也が紙切れと、オレの財布を渡してきた。
紙切れには。

『叩くな。家に入れないぞっ♪』

と、書いてあった。
・・・・・・まじかよおお。
ココが漫画の世界なら、オレの後ろに大きく『ガーンッ!!』と書いてあったであろう。
とにかくオレは、
麦わら帽子をかぶった7歳の弟と、
所持金360円と、
お中元を片手に、
叔母さんの家に行くという、無理矢理で波乱万丈なおつかいが始まった。

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2010/06/13 23:12
波乱万丈なおつかいってなんやねんww



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