不思議駄菓子屋と中2の夏
- カテゴリ:自作小説
- 2010/07/14 00:12:02
ザザザザザ・・・・・・・・
「ヒッ!」
草が風で揺れた音に、オレは、異常に反応してしまった。
そりゃそうだ。いつ蛇に咬まれたっておかしくない場所を通ってるんだ。
あんな声なんて誰だって出るんだよ。
そう自分に言い聞かせて、一歩ずつ足を出していく。
足元を見たって、草が生い茂っていて、見ようと思っても何も見えない。
そんな状況にいらつきながらも、慎重に歩いていく。
一歩。
一歩。
・・・・・・慎重に………。
「わぁぁぁっっ!!」
スッテンコロリンッ!ドテッ!
後ろで派手な音と、大きな声が響いた。
誰がどうなったか位、後ろを向いたままでもわかるような出来事だった。
「緑也ぁぁぁぁぁぁ!」
オレが声を荒げながら後ろを向くと、派手にこけてできた擦り傷と、泥だらけの洋服、
眼には大粒の涙を溜めている弟が、今にも泣きそうな顔をしていた。
「…に…にい…ちゃ…ぁん」
その言葉を言った瞬間、緑也の眼から涙があふれた。
「おいっ!泣くなよッ」
うえん。うえん。泣く弟を、どうにか静めるために何とかしようとするのだが、一向に収まらない。
「…………・・しょうが無いなぁ。」
そう言って、しゃがみ込む。
「乗れよ。ここ危ないからおぶる。」
「…途中で落としたりしない?」
「ああ…」
「絶対?」
「ああ…」
「ホント?」
「ホント。」
「ホントのホントのホントのホーント?」
「ホントのホントのホントのホーント。」
そこまで確かめると、緑也は乗ってきた。
緑野は軽くて、小さくて、泣いている所がすごく可愛く見えた。
「ごめんな。一人にして。」
いつの間にか自分の気持ちまで、変わっていた。
「どうしたの?兄ちゃん?なんか悪い物でも食べたぁ?」
「食べてねぇよ。」
「あれじゃない?昨日食べてたお稲荷さんに入ってたんじゃないの?」
「緑也もくってたじゃねぇかよ。」
なぜだか、素直になれた。
それが、なんとなく嬉しかった。
「スッテンコロリン、ドテ!」
あははははははははっはっはははっはは!
効果音うけるよ!あー、おかしい!