創作小説「次期王の行方」2
- カテゴリ:自作小説
- 2010/07/31 00:44:24
「平行世界シリーズ」
次期王の行方
第2話
「毎回、いろんな方法で王を決めているとは聞くが、今回は皆、意表をつかれたようだな」
「現王は勘の良さを先王に認められて王になったと噂で聞きましたけどね」
「さすが『賭博の国』といったところか」
「そうですね」
クスイは小国ながら王都は栄えていた。
それは一攫千金を求めて各国から人が集まってくるからだ。
賭博の国。
合法的に国が管理した賭博が日常に行われているのだ。
様々な遊戯施設が存在し認められている。
しかし国の利益として入るのは掛金ではなく、訪れる客の宿や食事といったサービス業のみ。掛け金は全額遊戯者へ還金される。
悪質な賭博を行った者は厳重な罪として処されるので、遊びに来る者も安心して遊べる環境が整っていた。
そんなクスイの国では遊び心や賭けの勝負を楽しむという、国民性が根付いていた。
「王もコレをするために子供の存在を隠していたのかな?」
「…あの王ならありえますね」
気軽に王の事を話題として話せるのは親しみを持ってる証拠だ。
「クーデノムはもう決めたのか? 誰を王に選ぶのか」
「……いえ」
「突然、誰かを選べなんてなぁ」
ソファでくつろぎながら、それでもちょっと楽しそうではあるマキセ。
「また何で俺が選ぶのか……」
苦笑交じりでぼやくクーデノムに笑いながら、それでも目は本気でマキセは言う。
「それは王から信頼してもらってるからだろ」
「信頼? 押付けのような気もするが…」
「それをきちんとこなしているからこそじゃないか」
「誉めてもコレ以外は何もでないよ」
「あはははは 今日はコレだけで我慢しましょ」
果実酒の入ったグラスを軽く持ち上げカチンとぶつけると、二人は喉を潤した。
* * *
王の言葉から2ヶ月が過ぎ、クーデノムとマキセは城下町に足を運んでいた。
賑やかな店が立ち並び、豊かな日常の風景。
しかし、夜になるとまた違った雰囲気が楽しめる。
それがここ賭博の国・クスイだ。
月に一度、クーデノムは下町の役所に足を延ばす。
数年前に働いていた職場だった。
役所に寄せられる相談をこなして行くうちに仕事を認められ、気が付けば王宮にまで出入りする程、出世していた。
今では国中からの訴えの書類、また国外からの外交モノまで目を通す役目を与えられ処理に追われる毎日だ。
それでもやりがいのある今の仕事に満足しているのでそれ以上は望まない。だから後継者選びに巻きこまれるのは不本意だった。
「よぉ、マキセ。サボリか?」
「とうとうクビにされて戻ってきたか?」
道行く人が気軽にマキセに声をかけていく。
「この格好が目に入らぬか。これも仕事だよ」
腰には剣を下げた近衛士の姿のマキセ。
彼は下町で用心棒として生活していた。
外見の華奢なイメージとはかけ離れ、意外とマキセは強い。
飲み屋で騒ぎを起こしていた巨漢、3人相手をして一瞬で伸したことは語り草になっている。
その強さを認められ王宮の近衛士として雇用された。だから町の者もマキセには 親近感を持ち話しかけてくるのだ。
今日も下町へ出かける、一応高官であるクーデノムの警護の仕事として付いてきたのだった。
【続く】
てなことで、第2話でーす。
この話は思い浮かんで書き上げるまで2週間もかからなかったという、勢いに任せて書き上げた小説でした。
その勢いが伝わるのか、読みやすく面白かったといって頂ける作品になりました。
いえいえ思ったまま言ってくだされば嬉しいです。
よろしくお願いします。
カオスさん、はじめまして。ありがとうございます。
小説はもう出来上がってます。(ずいぶん昔に描いたものですので)
文字数的に、6回に分けてUPしていく予定です。
一日一話ずつをUPしていこうと思っています。
ここでの発表が、一話ずつなんだねw
私ごときが批評していいかどうかは
わかりませんが^^スラスラよみやすかったです^^
また・・・読みにきます~