トンガ王国がNATOに加わりアフガニスタンに派兵
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- 2010/08/01 21:53:26
(CNN) 南太平洋の島しょ国家、トンガ王国がアフガニスタンに今年11月、兵士55人を派遣、米軍や北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)が進める軍事作戦に参加させる方針を決めた。地元紙マタンギ・トンガが28日報じた。
派遣期間は2年で、最終的には兵士総数275人を従軍させる。55人はその第1陣。セベレ首相が英国とNATOから兵士派遣の要請を受けたという。
同紙によると、議会のラブラブ国民議員は、政府がこの要請に応じたのはトンガ経済が停滞している中で、雇用対策や教育、移住の機会拡大などの効果を考慮したためとしている。
ただ、アフガン派遣でのトンガ軍兵士の報酬は1日当たり30英ポンド程度だとして、雇用などを重視して兵士を戦地に送ることを批判し、専門技術の訓練実施の方がより効果的な就職対策になると主張している。また、兵士が負傷したり精神的疾患を抱えたりした場合、政府が面倒を見る義務が生じることも指摘した。
オーストラリアのABCテレビによると、トンガ軍の司令官はアフガン情勢について、イラクより安全に見えると述べた。マタンギ・トンガ紙によると、同司令官はアフガンでの任務について英軍や米海兵隊の駐屯基地の兵力警護や基地警備になるとも語った。
アフガンでは英軍の指揮下に置かれ、英国政府がトンガ軍派遣の費用も負担する。最初の1年間の経費は250万ポンド以上とされる。
http://www.cnn.co.jp/world/AIC201007290020.html
昨日のニュースの続き(?)です。
このニュースは昨日のニュースより1日前の出来事、
アフガニスタンで過去最悪の死亡者数を出したアメリカは、撤退するにしても治安が
ある程度快復しなければ撤退が出来ません。 しかし元々正規兵ばかりのイラクと
違って、アフガニスタンはロシアと戦っている時からずっとゲリラ活動をしていた人達
なので、なかなか成果が上がらないようです。
苦しい戦いに自殺者が増加している中、そんな渦中に飛び込んでいく人たちが居ます。
そう、オセアニアにあるサモア諸島の島、トンガ王国です。
トンガ王国は太平洋で唯一植民地支配を受けた歴史の無いラピタ人を先祖に持つ
孤高の島、憲法の制定は1875年で日本帝国憲法よりも古くに制定され、トンガ統一が
早かった為に、他のサモア諸島の様に植民地化されなかったと言う歴史を持つそうです。
南の島でのんびりしているイメージのある900年続く王国トンガ。
そんなのんびりしたイメージの国にも軍隊が存在します。
陸軍歩兵部隊108人
王室近衛兵50人
海軍50人
警察310人
の518人のとても大きいとは言えない軍隊。
その貴重な兵士をどうして今回派兵するのかと言えば、トンガがオーストラリアの近くで
アメリカ領サモアの隣にあるからなのです。
そう聞くと一見アメリカの腰巾着の様にも聞こえますが、それがそうとも言えない状態。
今トンガ王国は民主化運動が高まりつつあり、2006年11月にサモアの歴史初めての
暴動が起こって依頼、首都では厳戒令がしかれていて、オーストラリア軍の力なしに
抑えられなくなっているそうです。
更にはオーストラリアで中国移民が増えていることを背景に、オーストラリアが中国に
空母を売却したり、南シナ海で中国、フィリピン、ブルネイ、ベトナムが揉めて中国軍が
フリゲート艦を派遣したり、昨日の発表ではトンガに向けてフリゲート艦2隻を出航
させられたりと、外圧がいろいろな方向から掛っています。
http://japanese.cri.cn/881/2010/07/30/145s161717.htm
そして失業問題。
トンガは日本と同じで地下資源の無い島国。
海外に人材派遣して外貨を稼がないと石油が入手できないと言われているのに、
世界同時株安で海外に出稼ぎに行って居るトンガの人達は失業。
そしてここに来てまさかの中国の進出。
トンガは世界に認められ、外貨を獲得する為にアフガニスタンへの派兵を決定した感じ
です。
民主化を求める草の根運動は続いていますが、900年続いた君主制を守ろうとする動きも
まだ活発なようで、パパラギと共に戦い王国を守るのか、王国を捨てて中国と躍進するのか、
どっちも余り好ましくない取り合わせの選択肢を迫られているのではないでしょうか?
玉梓はトンガの平和を願います。