機動戦士ガンダム 公国の威信07
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/17 12:28:04
「大尉!」
出撃準備中の機体の中からレンガ呼びかけた。
「あなたのフォローに回るので、腕前を拝見させていただきますよ」
「見せてもらうよ、貴殿の腕前も」
全カタパルトが一斉に動き出し、ケンプファー、百式、ウラノス、リックディアス2機が
一斉に出撃し、間髪いれずにゲルググ2機と、ギャンが続く。
ケンプファーは百式の40マイルほど後方を追った。
百式はものすごいブースターの制御で一気に敵に迫り、サーベルやビームライフルで
次々にスクラップの山を作り上げていった。リックディアスのパイロット達も
なかなかの実力者で、百式を巧みにフォローしていった。
「負けてらんねェ・・・ッ!」
A.E.R.のパイロットたちの闘志に火がついた。
レンは、百式のバックを守りながら敵の頭数を減らし、マコトは少ない兵装を駆使し、
ジョゼフとゲオルギーは前線から一歩引いて艦を守った。
突然、静まり返っていたレイリーのゲルググが、狙撃銃をぶっ放した。
遥か彼方で大きな爆風が上がった。
「敵旗艦撃墜!さぁて、と。MS戦に切り替えまーす」
もともと、マラサイやらハイザックやら量産機だらけの部隊だった上に、
旗艦沈没という大ピンチに陥った敵部隊は、エウーゴとA.E.R.の連合部隊の前に
総崩れとなった。背中を寄せ合ったケンプファーと百式が同時にマラサイを落とし、
敵部隊は全滅した。
「…お疲れさまっす…ゼィ…大尉…」
「フゥ…なかなかいい腕だ…レン」
「そ、そんなぁ。大尉には遠く及ばないっすよぉ・・・」
「ハハッ。よし、一度補給させてもらってからおいとまするとしよう。良いか?」
「もちろんです。さ、こっちへ」
全機が帰還し、MSが整備を受けている間にレンとクワトロは
パイロットスーツを腰に結んで水のボトル片手に談笑していた。
「ホゥ…敵になった仲間と再会して、このA.E.R.を創めたって訳か」
「はい。イヤっすもん、ティターンズにされるがままってのは、軍人として。
あと、いつか、ジオン再建の時に活躍する力を蓄えるってのもありますけど」
クワトロは微笑み、
「そろそろ補給も終わったろう。では中尉、またいつか」
「ええ。ご苦労様でした」
彼は愛機の待つカタパルトへ向かいながらつぶやいた。
「いつかは悲願を叶えたいものだ」
百式は、2機のリックディアスを従え、ヴァレンスィアを後にした。
その背には、ジオン建国者の子、シャア・アズナブルとしての威厳と誇りがあった。