パパのしあわせ 8
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/17 14:34:53
----------------------これはフィクションです------------------
BGM 福山雅治 「はつ恋」
http://www.youtube.com/watch?v=1px7kiuFVes
友達ではいられないことも 恋人にはもどれないことも
わかっているよ でも このままで・・・・・・
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パパはね そんなに頭がいいのに 大学行ってないの。高校の進路適性テストで 結果が 円になったのね。とんがってるところがなかったの 「マリ見て」の黄薔薇様のように。祐美ちゃんは 黄薔薇様の円は大きな丸なのって言ってたけど わたしもパパの円はとっても大きな円だと思う。はじめてのことでも簡単にこなしてしまうんだもの。
それで進学先を決められなかったのね。なにか 特に勉強したいもの なりたい職業 決められなかったから。
松島は 穏やかで 島の多い 瀬戸内海に似ていた。
多島海の内海。
松島も湾の中に 島がちらばっている。
松籟の音を聞きながら食べた だだちゃ豆のおだんご。
「次は どうする」
「どこでも」
「山寺にいってみる?」
「うん」
山形県の山寺。
山寺があるから そのまま地名になってる。
彼女の生まれ育った土地の近く。
今はアメリカに住んでる 幼馴染のいとこと遊んだ場所。
松島から 山寺 ちょっと 長距離ドライブ。
都会から 遠く離れた山あいを疾走するアウディー。
彼女の操縦に命を預けた。
六月だけど 空には 夏の雲に似た 積雲が浮かぶ。
好天に恵まれた ドライブは 快適だった。
途中 長いトンネル。
「これは 川端康成の雪国のと おんなじかんじでしょ」
「そうそう トンネルを抜けると
風景がぜんぜんちがうの。」
「冬は ほんとに 雪がどっさり積もってるんだ
トンネル出たら。」
「ほら あれ UFOみたいなの ラブホよ。」
「あっ ほんとだ UFOみたいなかたち。」
「なんで あんな形に作ったのかしらね。」
他愛のない会話をかわし 奥羽山脈を横切るトンネルを抜けても 今は六月 雪などは積もっていることもなく 同じ夏の空がひろがっていた。
パパは ものを作る仕事を選んだわけではなく 父親の仕事 子供のころから 見て育ってきた職業に就かされたの。進学先を決められなかっただけでなく 両親とも仲たがいして 学費も出さないと言われた。だけど 世間のことはなんにも知らないまま育ったので 自分からは なにも行動をおこせなかったのね。働いて 自分で学費をかせぎながら進学することだってできたのに なにもおもいつかなかった。しかたなく 東京の職人のところに 追いやるように住み込みで就職させられたの。それが 今の仕事につながってるの。
氷のような 美貌のところがちがうかも
サン・ジュストとフランス革命を題材に
奇跡の乙女 アデルという架空のヒロインが登場する漫画で
少女時代のアデルがサン・ジュストにこう言わせているの
「天才のゆううつね、レオン」
史実をからめて描いたフィクションだけど
どんなことも初めてでも パーフェクトにできてしまう
レオン
氷のような美貌をもつレオン
なんとなく、思い出してしまいました。^^