創作小説「次期王の花嫁」12(最終話)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/08/17 23:29:24
「平行世界シリーズ」
第12話
「ところで、マキセ?」
「なんだ?」
「何故、王がセーラ姫について詳しく知っているんだ?」
「え?」
「ついでに気に入った姫がいるそうじゃないか、今王宮は改築中でな、王の広い住居が新しく出来るぞ、と」
「あはははははは……」
笑ってごまかす手段に出たマキセに、クーデノムは諦めの溜息。
「裏切り者がこんな所に……」
「親友の父親の相談に乗っただけじゃないか。“今まで浮いた噂のひとつも聞かない息子だが、いい相手はおらんものか”と」
「それで遊学まで持ちかけたのか」
「周囲には気にいるような者はいないだろうし、クーデノムが王になると知ってから近付く奴はロクなもんじゃなさそうだから」
「…………」
「でもほんと、セーラ姫は予想外のめっけもの」
「そんな一国の王女を特売品のように……」
「いやいや、クーの雰囲気に呑まれない、しっかりした人だと尊敬してるんですよ」
「どういう意味ですか?」
「それに、クーが早く落ちついてくれないと困るのだ」
「?」
「一部の女子の間で、俺たち2人の関係に萌えているらしいから」
「はぁ?!」
話している二人の側で一台の馬車が止まった。
バンッと勢いよく扉が開かれ、一人の男の子が現れる。
「クーデノム様、マキセ様、お久し振りです。お迎えにあがりましたー」
きちんと礼をして言ったのはルクウートでも会ったエイーナ=テニトラニス。
この国の王子だ。
「エイーナ、先に行くなんてずるい!」
声と共に扉を開けて現れたのは、案の定セーラだった。
勢いよく飛び降りようとしたのだが、すぐ目前にクーデノム達がいるとは思わなかったらしく驚きで一瞬立ちすくみ、歩幅のリズムが狂う。
「きゃあ」
馬車からの段に足を踏み外しまたもやコケそうになった所に、クーデノムはセーラを抱きとめた。
「相変わらずですね」
クーデノムの胸にしがみつくセーラに向かい、笑いを抑えることなく言い放つ。
「ク、クーデノムにしがみつくための計画よ」
「計画ですか?」
「そうよ」
顔を赤くしながらも強気で言い放つセーラをそのまま抱え上げた。
「な、なにー?」
バタバタと慌てるセーラを抱えたクーデノムは馬車の扉を開いて中へ入ると彼女を椅子に座らせた。
さすが王宮の馬車。広く綺麗な内装に柔らかいクッションだ。
「今回は傷めなかったようですね」
セーラにひざまづくようにして足を手に取るクーデノムに、セーラは声も出せず大きく肯く。
彼女の素直な態度に笑った。
その体勢のままクーデノムはセーラと視線を合わせる。
「セーラ姫は、私を落とす自信はおありですか?」
「…ある!」
「では、落としてください」
勢いのままはっきり口にする姫の手を取り、候に口づけした。
「何度も落とされてるのは姉上でしょうに」
中から聞こえる言葉に、馬車の外で呟いたのはエイーナ。
その言葉に吹き出しながらポンと彼の頭に手を置いたマキセ。
「引きずり落とす手もあるよ」
「なるほど」
おおーい、入ってもいいかと中の2人に声をかけ、マキセとエイーナも馬車に乗りこみ、テニトラニスの王城へと向かった。
【END】
最終をお届けします。
てなことで、「花嫁」編は終了でございます。
ふふふ。
その後ストーリー。
3編あるのですが、ネット上では公開してないです。
同人誌を買ってくれた方だけのおまけショートストーリーなので、終了でございます(笑(鬼))
本編はこれから十数年後です。
彼らも陰で支えております。
その時代のクスイ国のウワサは「クスイには3人の王がいる」です。
さて、次はなにを読もうかなー
クーさんほどの方にはセ―ラ姫くらいグイグイ行かないと❤
いえ、好きですよー!
これくらい奥手な殿方。
あきさん、お疲れさまでした^^
最後まで読んで頂いてありがとうございますっw
あははははは、萌えておりましたか?
一部が萌えてるんじゃなく、一部が平常なんでしょうか(笑)
描いてて私も楽しかったのですっ←筆頭っww
うおーすっごいニヤニヤする!クーさんほとんど落とされてるようなものじゃないですかww
今迄自身の幸せとか考えたことのなさそうなクーさんがちょっとずつそういうものも考え始めるおはなしでしょうか。
しあわせに なっても いいのよ?
ところで関係に萌え………いやなんでもないですwww