今回はバラの香りにについて。

案外知られていませんが、実はバラの香りというのは品種によって別の花ほど違うのです。私もバラに手を出したときまで、これほど多様な香りだとは思っていませんでした。

バラの香りは再現が大変難しく、香水メーカーさんなどで散々分析されていますが、その芳香成分は３００種以上に及ぶそうです。さらにまだ不明なものもあり、分析が続けられています。その香りには脳を活性化させ、ストレスを和らげる効果があるといわれています。
ところで、バラにおける強芳香は、花に顔を突っ込むと香るというもので、他の花－たとえばカサブランカなど、オリエンタルリリーのように、１つ咲けば家中香る・・・というものではないです。

普通に生きた花でお目にかかる、一番ポピュラーな「バラの香り」は、ティー香と呼ばれるものです。フロリバンダ種やモダンローズに多い香りです。一説によると、紅茶に似ているからとも言われています。確かに、少し甘めの、紅茶に似た香りです。さっぱりあっさりした香りですね。

イングリッシュローズなどに多い、ミルラ香。これはとてもバラとは思えない香りです。あえて言いますと、樟脳ごく少々に、火のついていないお線香+コンデンスミルクといった香りです。かなり癖があり、好き嫌いがはっきりしそうな感じの香りです。とてもバラとは思えない香りです。

ダマスク香。オールドローズに多い香りで、香水やエッセンスなど化粧品やバスフレグランスで使われるイメージの香り。ワイン香とティーそれにムスクなどが加わった、濃厚で芳醇な香りです。そこにさらにラズベリーの香りが加わります。

フルーツ香。ダマスクにシトラス系が加わった香りと、ティーにりんごの香りをプラスしたものの２系統が多い感じです。これは品種ごとのばらつきが最も多く、これがフルーツ香代表だ！といえない、バリエーション豊富な香りです。

スパイス香。これは比較的少ないです。ティー香にクローブ+シナモン風の、ちょっと薬っぽさのある芳香。これも好き嫌いが割合ありそうです。

ブルー。多くのブルー・ローズが持つ事からこう呼ばれています。ダマスクに、少しレモンに似たシトラス香と、かすかにマンゴーに似た甘い香りが入ります。ダマスク香に非常に近い香り。

大体この６パターンに分類されることが多いのですが、実際はそれぞれの香りが混ざり合っている（掛けあわせにより）ことが多いので、確実ではないです。
私が見た中には、フリージアに似た香りのものもありました。これなどは上記分類にはあまり当てはまりません。強いて言うならティーなのでしょうが。

切花のバラは近年まで花持ちと水揚げについての改良しかされていなかったため、香りのないもの、ほとんどないものが多かったのですが、近年香りが脚光を浴びるようになったので、芳香種の切花も出始めました。