ロシアがグルジアに対空ミサイル配置
- カテゴリ:ニュース
- 2010/08/29 16:53:17
【モスクワ大前仁】ロシア軍は11日までに、グルジアからの独立承認を求めるアブハジアで、高性能の対空ミサイルシステム「S300」を配備した。ロシアは同じくグルジアからの独立承認を求める南オセチアでも対空ミサイルシステムを配備し、両地域への軍事支援を強化している。
インタファクス通信などによると、ロシアのゼーリン空軍総司令官は配備について「(両地域の)領土を守るだけではなく、領空侵犯を防ぎ、違法侵犯する航空機を破壊する狙いがある」と言明。グルジアが08年の紛争前にアブハジア上空に無人偵察機を飛ばしたことがあることから、けん制する狙いがある。
一方、ロイター通信によると、グルジア国家安全保障委員会のトケシェラシビリ書記は、ミサイル配備について「ロシアは南オセチアとアブハジアで軍を強化させている」と批判した。
ロシアはグルジア紛争で同国に侵攻した後、南オセチアとアブハジアの国家承認に踏み切った。さらに停戦後も両地域に軍を駐留させて基地建設を進めており、緊張が緩和されていない。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20100812k0000e030014000c.html
グルジアは旧ソビエト連邦の構成国の1つで、1991年に独立したグルジア人、オセチア人、
アブハズ人が住む共和制国家です。
アブハジア地方と南オセチア地方はグルジアの中でもグルジア人と別の民族が混在して
居る地域で、1991年にロシアからグルジアが独立した時にグルジア内のアブハジアと南オセチアも
グルジアから独立しようとしたのですが、グルジア軍が軍隊を派遣して戦争になり、
死者2000人を出しただけでなく、オセチア人10万人が住居を追われていました。
そして2003年にはグルジアで新しい大統領が誕生すると、アメリカと強い関係を結び、
グルジア人の民族主義を唱え、反ロシア主義を露骨に表してロシアと対立する様になって
いきました。
そんな中ロシアは、南オセチアやアブハジア地方には5%程ロシア人も住んで居る事から、
メドヴェージェフ大統領が「ロシア市民が存在する限り、その生活と尊厳を守る」と発表、
オセチア人、アブハジア人を支援する形となり、更に対立が深まって行ったようです。
その後、2008年の北京オリンピックの最中には南オセチアでグルジア分離独立主義者を
ロシアが助けた為に武力衝突が発生、ロシアの空爆が開始されかなり凄惨な現場に
発展、グルジアと仲のよいアメリカが人道援助と言う形で第6艦隊を投入した事を切欠に、
ドイツ、ポーランド、スペインの艦隊が黒海に入り、ロシアと睨み合いになり、停戦合意がな
された後も戦闘が続いていたようです。
(これにはアメリカ陰謀説もあり)
丁度南アセチア紛争が起こった2008年8月は、北京オリンピックの真っ只中だった為、
日本のテレビ等のメディアでは、まったくと言っていいほどグルジアの紛争を放送しておらず、
日本ではあまり知られる事が無い紛争となってしまいましたが、冷戦終結後、ロシアと
アメリカの新たな対立となっているようです。
今回ロシアが配備したS-300対空ミサイルは、1980年に設計された対空ミサイルで、
ロシアのミサイルではよく見かける、推進ロケット以外にも弾頭近くにスラスターロケット
を搭載しているタイプで、弾道補正が細かい為に、日本で使われているアメリカ製対空ミサイル
パトリオットよりも命中精度が高いといわれているミサイルです。
動画
http://www.youtube.com/watch?v=qLBQW5c3q1Q&translated=1
玉梓は地中海の平和を願います。