創作小説「夕焼けの空」前編
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/08 01:44:14
「平行世界シリーズ」
夕焼けの空
前編
ここはヤナテトシム。
南陸一広大な地を有する国で、工業の国と呼ばれている大国だ。
王都から少し離れたこの土地は、都から各国への商業の流通経路として栄えている街。
街の中心部には商店が立ち並び、行き来する人の憩いの場として石畳の広場がある。
その噴水の前で、サティンは小さな鉄の板を並べていた。
年齢は十五くらい。怪我でもしているのか、左足を少し引きずっている。
露店で商売でもはじめるのかと行き交う人は視線を向けながらも通り過ぎて行く。
しかし、ここは彼の定位置だった。
顔なじみの者が彼の姿を見つけると楽しそうに近寄ってくる。
「今日もまたやるのか?」
「えぇ」
数十もの小さな鉄板ヲ自分の前に並べ終えた彼は、確かめるように端から順に棒で叩いていった。
キンッ…と音が鳴り響く。
すべてが違う音を放つ。
鉄板の長さと厚さで微妙に音を変えた楽器、鉄琴。
「テンポのいい楽しい曲を」
「了解」
澄んだ音が広場に響くと。彼の前にはすぐさま人垣が出来上がった。
人通りの多い休日はたいていここで鉄琴を奏で待っている。
彼の横には看板。
〟よろず屋 いろんな仕事 引き受けます〝
サティンの演奏が一曲奏でるたびに、客の前に置かれた箱に小銭が溜まっていく。
宣伝効果と収入で一石二鳥。
「サティン」
同じ年代の少年が彼の名を呼んだ。
ヤースはひとりの女性を連れてきていた。
「困っているみたいだから、声をかけてみた」
「ナンパ?」
「違う。子供とはぐれてしまったらしい」
「あぁ、それで…」
周囲をキョロキョロして落ち着きがない人だと思ったのはそういう理由があったからか。
「一緒に探すのに人手がいるの?」
「いや、見つからないなら、誘い出そうと思って」
トントンと指先で鉄琴を叩く。
その意図を感じとってサティンはナルホドと微笑んだ。
「ヤース」
声と共に座っていたヤースの背中に勢いよく何かがぶつかった。
うわぁっと片手をつきながら、何とか気合で地に倒れるのを防いだ彼だったが、体当たりした人物は何食わぬ顔でそのまま彼の背中に体重をかけ、しがみついている。
「今日はこんな時間にどうしたの?」
「お店のおつかいなの」
サティンの問いに明るく答える彼女の下で低い呻き声があがる。
「カ~リ~ン~~」
そのまま立ち上がりぶら下がった彼女をぶんぶんと振り落とそうとかる。
しばらく遊んで満足した彼女は、ようやくヤースの背から降りた。
長い髪を三つ編みにした女の子、カリン14歳。
幼い頃、両親と死に別れたヤースと同じ孤児施設で育った幼馴染、妹みたいな女の子なのだ。
しかし、お互いに兄妹以上の想いを抱えているのを知っているサティンとしては、2人の関係の行く末をいつも見守っている日々だ。
「カリン、いい所に来た。一緒に歌って」
サティンの言葉に意味が分からず戸惑う彼女に、ヤースが横から、母親から聞き出した曲のタイトルを言い放つ。
「〟ゆうやけの空〝」
幼い頃から耳にするタイトル。
親から子へと昔から伝わってきている童謡だ。
ヤースもカリンも施設で覚えた。
最近になって覚えてきたその曲を子供と一緒によく歌っているそうだ。
【後編につづく】
短いのをと思ったらコレになりました。
日常のヒトコマ的な話なので、対した事件は起きませんが(笑)
人物紹介のような話です。
後々の重要な伏線ネタ
「平行世界シリーズ」のひとつです。
明日は後編を。
なにか懐かしい昔の風景
昔は、人々は歌った 旅をした。
やさしい 風
(^^)
雫さん、くまさん。
いつもありがとうございますっ (T▽T)
読みやすいって所だけが、私の小説のいいところですから~(^o^)b
好きになってくれて、うれしいでーすっww
みーちゃんさん。
初コメントありがとうございまーす。
活字iニガテなのに読んで頂いて、うれしいですww
どうぞ、自由に妄想してくださいませ ></"
サティンの「今を生きる」姿・・・そうか、そうだねぇ…ホロリッ←今後の展開を知るがユエの×××
シリーズの中で、彼が一番ワタシにいじめられていると思います ><
↑爆弾発言だね(笑)
たいした事件・展開はありませんが(笑)後編をお楽しみくださいっ
読みやすくてイイですよね。あきさんの書く物語は。
後編楽しみにしてます。
「鉄琴」という素材は とてもいいですねっ♪♪ しかも 噴水の前で。。。 いつもの定位置・・・。
とても・・・ サティンくんの健気で それでいて 懸命に 「今を生きる」 姿が 印象的でした・・・。
ヤースくんとのやりとりも楽しい~~~♪♪ あと・・・カリンちゃんとの関係も。。。ドキドキ♥
彼らが成長した姿を。。。妄想してしまいそうです(笑);; ←すみませんっ!>< 大変失礼~@@
「後編」の展開が楽しみです♪♪ ありがとうございましたっ!(汗汗);;
。。。長くなりますが 実のところを言うと・・・ 「活字」は苦手です(汗汗);; 見ただけで 吐き気が~
(あんなんブログを放ってますが。。。;;) なので・・・ びーっちり文字が埋まっている小説とかを
見ると。。。拒絶反応が・・・(笑);; 唯一 好きな作家さまは 吉本ばなな さん です~~~♪♪
(最近。。。あんまり読んでないんですが・・・;;) それでは。。。 失礼いたしました~~~~~><
後編楽しみにしてます。