創作小説「ソハコサ国の勇者」3
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/12 09:29:19
「平行世界シリーズ」
ソハコサ国の勇者
第3話
「!?」
ハッとして、すぐさま駆け出す。
妙子を見つけるよりも早く視界に入ったのは巨大な肉の塊。異形の者が姿を現していたのだ。トカゲのような爬虫類の体で二本足で立っている。これが報告のあった怪物なのだろう。
その怪物と対峙するようにいる妙子。たぶん驚きで身動きが取れないのだろう。
「妙子さん!」
ズザーッと勢い付けて、エカーチェフが二人の間に割り込む。怪物はようやく二人の姿が視界に入ったらしく、鋭い瞳で睨みつけながら、
「あー? 何者だぁ、」
と、声をかけてきた。
それに妙子は叫び声を上げた。しかしさっきのような声ではなく、もっと高い声だった。
「きゃあ、すごい。怪物よ、怪物。まるでゴジラみたい。ガンつける怪物なんて、初めて見るわ。おもしろーい」
大声でケラケラ笑いながら、エカーチェフの背中をバシバシ叩いている。
「…………」
もはや何も言うまいの心境で、小さく溜息をついた彼だった。でもそれだけでは終わらない。自分が馬鹿にされたと感じた怪物は、いっそう睨みつけてきた。
「それくらいでビビると思うなんて、まだまだ甘いわよ」
酒でも飲んでるのかと思うくらい、やけに舌回りがいい。それが火に油を注ぐ状態だ。
グワッと敵意を剥き出しにして、口から〈炎〉を発した。
「ちょっと、いきなり攻撃なわけ? 短気って嫌ねぇ」
「少しは黙って下さい」
エカーチェフは妙子の腕を取って〈炎〉の攻撃から逃げる。次々と繰り出される〈炎〉をトロイようで素早く避けていく。
彼にいいように振り回され、妙子は自分の足に引っかかりずでっと見事に転んでしまった。
「いったーい」
膝を擦りむいたくらいなのに大声で叫ぶ。傷口を見ながら、
「エカーチェフのせいよ」
なんて、愚痴を漏らしている。それを言うなら、彼のおかげで今、生きているのだと自覚してほしいのだが……。
座り込んでしまった彼女を先程のように動かすことができない。ゴジラモドキの怪物はすぐそこまで来て〈炎〉を発しようとしている。
こうなりゃ、身を守るものはひとつ。
彼女を放り出し、自分だけ逃げる、ことはできない。
「我の地に〈魔方陣〉を現し、〈炎〉から我が身を守護せよ!」
ヤツに向き、組んだ手を胸前で動かす。閉じた瞳を再び開いた時、ぶわっと光が地から溢れ出てきた。
渦を巻いた風がエカーチェフの長い髪を揺らす。そして、地には八芒星の〈魔方陣〉が出現したのだった。
異形が発した〈炎〉を難無く見えない壁が遮った。
「あ、うそー。信じらんない。本当にこんなことできるんだ。すっごーい!」
黄色い歓声にいきなり力が抜けて、ズルッとこけそうになったエカーチェフであった。
彼女は緊迫感を感じないのか? と問いかけてみたい衝動にかられる。まぁ、魔導が実在となっている世界と、そうでなく、逆に特殊なものとしてとらえられている世界との違いなんだろうが、エカーチェフは妙子の世界を知らないのでそのようには考えられない。
異形の者に、エカーチェフは魔導の呪文を唱える。
「我の〈難〉を、今、再び返し与えよ!」
〈魔方陣〉が光を放つ。
〈陣〉を中心にして渦を巻く風から、ヤツが吐き出したような〈炎〉が発せられたのだった。ようなではない、そのままだ。思いもよらぬ反撃にひるむと、そのまま背に生えた大きな翼で飛んで行った。
「助かりましたね」
ほっと溜息をつきながら、エカーチェフは額に浮かんだ汗を肘で拭った。
【つづく】
第3話でーすっ
お出かけ前に早めにUPっ
うーん…全体的に文章が気に入らなーい><
けど書き直したら果てしない気がするから手をいれられなーいww
そんな感じです。
だって、書いたの何年前だーっ
私も妙子と同じ年ーってくらいだったしww
エカーチェフくんの髪型…詳しくかいていない!?←Σ 気づいてませんでした(汗)
後ろは短いのですが、前横が長い感じでございます
どこかにイラストUPしていたかなぁ・・・・・・探してみようっ
エカーチェフ…私の好みを一身に背負わせたキャラ(爆)
最後にハウワッ∑(@u@)となってくれたら、嬉しいですっ
妙子ちゃんって。。。肝がすわってますっ!(笑)ww ・・・と言うか もしかして・・・天然っ!?←失礼
また読みに来ますね♪♪ ありがとうございましたっ!
エカーチェフが個人的に可愛くてたまらないww