思いのほか長文になりました。
- カテゴリ:日記
- 2010/09/12 23:10:24
測位衛星みちびきが飛び立ちました。
打ち上げの動画が公開されています。
http://www.jaxa.jp/countdown/f18/live/missionphoto_j.html
ストリーミングの生中継は、接続が一万を超えたくらいの段階でぼろぼろになってしまいました。
でもいちおう鑑賞。
NASAのロケットと違って、三菱重工のH-IIAは、飛行の直前にメインエンジンに点火するのがよくわかります。
NASAのロケットは、数秒前に結構な出力まで上げて、ノズルの向きの制御が安定する時間をもうけています。
少し前のアポロの打ち上げ映像などでは、ノズルが少し震えるように見えて、ギュッと向きが変わるのが見えます。
H-IIAでは、メインエンジンに点火して、すぐに飛び始め、一気に加速していきました。
比較のしようもないけれど、昔のロケットよりもずいぶん最適化が進んだ設計のような気がします。
-----
日本は食料も、資源も、多くを輸入に頼っている。
遠い将来はわからないが、ともかくここ数十年の未来に関しては、工業技術によって生計を立てなければならない国だ。
現代文化は、イヤでも工業で成り立っているわけで、その点、世界の先進国も同様だ。
石油が無くなるなどして、将来、工業的レベルを下げた文化が成立するのかもしれないが、そこへ至るまでの間、緩やかに工業の質を変化させていかなければならない。
そうした状況の中で、日本は工業技術で、絶えず世界に存在価値を見せ続けなければならない。
なぜか、日本の政治家はこうした状況を考えないのか、工業技術に対する政策や投資が貧しい。
「みちびき」も、技術的には三機の衛星で完成するもので、一基では不十分だ。
川端文部科学相は、今後の計画について
「巨額の投資に対する理解を得るためには、世の中の役に立つことを示さなければならない」
と言ったそうだ。
バカじゃなかろうか。
測位衛星という技術だけを見ると、GPSの精度を上げるもので、すでにアメリカのGPSが普及していて、多くの人が満足している。
だから、「いまさら国産GPSはいらない」と言う人もいるのはわかる。
しかし、別の面で、日本の国防を、全て日米安保条約でアメリカに頼ってよいのか、という疑問がある。
基地問題などで、いかにもアメリカ軍の基地を日本国内から減らすのが正義かのように感じている人もいるかもしれないが、そうするなら、自衛隊を増強しなくてはならない。
これは極端な話しではあるが、日本があるていど自立している必要は、間違いない。
GPSは、アメリカ軍のものだ。
このことは、国として充分考慮しなくてはならない。
もっと平和な利用についても、同様だ。
海上交通で、港近辺での航行は、今ではGPSが重要な道具になっている。
GPSを国産で持つのは、国際的な競争力につながる。
日本は、国際的にどのような立場でいたいのか。
それを念頭において考えないと、「みちびき」の価値が解らないのである。
まあ、近い将来のうちに、経済規模が小さくなって、工業的な文化を縮小しても良い、というのなら、それでもかまわない。
エコロジーな国家と言うことで、農業で自給自足して、工業は小規模で、それが人間のしあわせだと言うのなら、それでいい。
僕は、それでかまわない。
でも、少なくとも、食料自給率が上がって、食品が安定供給できるようになるまでは、工業を維持して、ゆっくり縮小する必要がある。