創作小説「ソハコサ国の勇者」5
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/14 23:14:04
「平行世界シリーズ」 本編
ソハコサ国の勇者
第5話
「えっ何? どうしたの?」
妙子がエカーチェフの姿を見て呟く。
これが今まで動きがトロかった彼とは、思えないのだろう。
しかし、今のエカーチェフには妙子に構っている暇はない。自分の血と怪物の血を混ぜ合わせた血液を付けている剣。
それを地に付け走り出し、素早く怪物を中心にして周りの地に円を描いた。
円の線がつながると同時に、円は〈魔方陣〉となり〈結界〉を張り巡らす。
その場に剣を地に刺し、両手を使って胸前で印を組んだ。
「我の命が流した聖なる《血》よ。我の命に従え」
血で描いた〈魔方陣〉が光を放つ。
続けて〈魔導〉を唱える。
「〈締縛〉!」
苦痛の声を上げる暇もなく身体の自由を奪われ、異形の者の微かな呻きが妙子の耳に聞こえてきた。
そのままエカーチェフの魔導によって倒されると思っていたのだが、突然、空から光が怪物の元に降りてきた。
そして、捕らえられた怪物を包み込むと光の円陣が出現した。それが次第にくっきりと魔方陣と変化し、地の渦に巻き込まれるようにして、怪物の巨体は地に埋もれていく。
「〈転移〉の魔導?」
エカーチェフが驚きの表情で呟く。
やがて光が消えた後には何も、残らなかった。
「あの光は―?」
街が消滅し、異形の者が召喚されている。
それから考えられることは背後に強力な《魔導》を使える者が存在しているということ。今の戦いも遠くから観戦しているのかもしれない。
エカーチェフは、剣を綺麗に拭って元の場所に返す。
そして、また深緑色の法衣をまとい直すと、いつもの彼の姿に戻り、茫然としている妙子の側へ来て、声をかける。
「大丈夫ですか? 怪我はしてませんか?」
いつものおっとりした口調で問いかける。
エカーチェフの良く見知った顔を見て、安心して涙線が緩んだからなのか、突然泣き出した。
「な、なに?」
うろたえる彼に気付かず、しっかり腕を両手でつかむ。
「もう、やだ。こんなとこ……帰る。絶対、今すぐ帰る……」
怪物の凶暴さと獰猛さ。目の前で見た数々の光景に驚かされ、不安になっていたのだ。
「帰ると言っても、あなたが勇者としての努めを果たせないと、帰れないんですよ」
とことん不器用なエカーチェフは慰めることができずに、逆に恐怖感を煽っている。
余計泣き出した妙子にオロオロするばかりだった。
第2章
消えた街の場所で2人はたたずんでいた。
たどり着いた先は何もないただの広場。
「こんなとこに街なんてあったの?」
「地図には存在してたんですよ」
と。
破壊された形跡もなく、本当に消えていた。
では、ここに派遣されてきた魔導士たちはどこに行ったんだろう……。
エカーチェフが思案している間に妙子はひとりで動き回る。広場の真ん中まで行って、座りこんだ。
「エカーチェフ……」
「何ですか?」
「コレって、何?」
「え!?」
妙子が手にしているのは丸く、白い石だった。
何も感じられなかった石が、妙子に触れられてガラリと気配を変えた。
鈍く輝きを放ったかと思うと、地に円形の模様が広場一杯に浮き出てきた。
「妙子さん、勝手になんでも触らないでください!」
「そんなこと言ったってー!!」
二人の姿はその場から消え失せ、何もなかったように広場に丸い石は転がった。
てことで、第5話。
第2章でございます。
もともと3回連載用に書いてたものなので、ちょっと途切れておりますWW
前編と思っていただければと思います。
2章が後編なので、あと半分、おつきあいくださいませっ
はい、エカーチェフくんはカッコイイですよww
そんでね、そのあとね…●×■△☆っ・・・てヤバイ、ネタばらししそうだ(笑)
「ソハコサ~」さえ終われば載せられる番外小説はたくさん増える(^o^;)q
妙子って、戦闘のときにはどんな風になるんだろ...
わーい、延長だ(
ありがとうございますww
皆さん、女子高生が気になるみたいですねー(笑)
うん、理由はあるのよww ←暴露?
最後まで読めばわかるはずっ ふふふっ(笑)
妙ちゃんの能力がすんげー気になるわw