機動戦士ガンダム 公国の威信14
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/16 18:22:04
「では…行きましょうか」
ギャンは、体勢を低くして、左に半身を切ってビームランスとシールドを構えた。
それに呼応するように、ケンプファーは腰を落とし、正面を向いて
ショットガンを両脇に構えた。思い緊張感が辺りに広がった。
刹那、ケンプファーの頭部にある20ミリ機銃が火を噴き戦いの火蓋が切って落とされた。
レンは距離をとってショットガンを乱射しようとしたが、
ゲオルギーが間合いを詰めるためにそうは行かない。
ギャンのランスがうなりを上げて飛び掛ってきたが、
ケンプファーはそれを左へスライドしてかわしながらメガ・ビームサーベルを抜いた。
レンの脳内に、何か、雷のようなものが駆け抜け、
頭の中が、自分でも驚くほどクリアに研ぎ澄まされた。
復讐の炎に燃えていたレンの瞳は、今、鋭く、まっすぐな眼光に取って代わった。
そして、レンはサーベルを両手で振りかぶった。
そして、ケンプファーのサーベルと、ギャンのランスがぶつかり合って火花が舞った。
ランスのほうが間合いは広いがサーベルのほうが破壊力は高い。
ケンプファーはギャンを振り払って、その勢いで相手の左肩へ斬りかかった。
ギャンはそれをシールドで受け止めると、相手の勢いを利用し、
ラリアットの要領でランスを叩き込んだ。
レンは飛びずさり間一髪で、それをかわすと、バズーカを乱射して弾幕を張った。
白煙が充満し、視界はほとんどゼロだったが、お互い、居場所はわかっていた。
ケンプファーは薪割りのような体勢で上段に、ギャンは右手を引いて下段に構え、
同時に、ケンプファーは叩き下ろし、ギャンは突き上げた。
爆煙がほとばしった。
ギャンは頭部、ケンプファーは左膝から下を失った。
2機は再び距離をとった。
「…流石ですねぇ…。私めが見込んだだけのことはあります…
が、迎えが来たようなのでこの勝負はお預けですねぇ…」
「何ぃッッ…」
ケンプファーのレーダーには超大型艦船の存在を示す輝点があった。
ティターンズの大型空母、アレキサンドリアがが40機以上のMSを伴って佇んでいた。
「全機…大至急帰投っ!」
ロザリオの声に従い、A.E.R.のMSはヴァレンスィアに我先に戻り、
そこからはスモーク弾が発射され、目くらましをした。
白煙のなか、退散するヴァレンスィア艦上のレンの瞳には、
悲しみと、悔しさが色濃く残っていた。