Nicotto Town


-full coller program-


機動戦士ガンダム 公国の威信16

U.C.0087  5.29.

長い旅路も終わりを告げ、ヴァレンスィアはマライタ島へ着陸した。
この星はソロモンの3分の1の大きさもないが、
この星の医療設備はジオンのどの基地にも増して優れていた。
真っ先にユーリとその助手のキム・リシュンが
カレンをオペ室へと運び、手術の準備を進めた。
薄汚れ、朽ちかけたたオペ室には薬品、器具、機器どれも
充実しており、正常に使えるようだったが電源が止まっているため、
電気メス、照明機器など、肝心の機械を動かしようがない。
そこで、レンがポータブル発電機を持って行き、
それを起動すると、レンはそのままオペ室前の壁に背を持たせかけ
に居座って手術の終わりを待った。
キムの手によって麻酔が入り、手術が始まった。
ユーリのメスが、カレンの脳に神の手を差し伸べた。
たった2時間半の手術だったが、レンにとっては、それが30年にも思えた。
オペ室の扉の上の赤いランプがふっつりと消え、
扉が開くとユーリがにこやかな笑みとともに現れた。

「ユーリっ、どうだった!!?」

A.E.R.は小さな組織だったため、
結成後2ヶ月もなく、メンバー全員が下の名前で呼び合う仲になっていた。

「無事に、成功したよ。一週間くらいで目を覚ますんじゃないかな。
しばらくはそばに居てあげなよ」
「本当にぃ…ありがとぉございますッ!」

レンは、オペ室に中からでようとしていたキムと正面衝突しながら
カレンのもとへ駆け寄った。
頭には縫合の跡が生々しく残っていたが、顔色は確実によくなっていた。
レンは、長い間カレンに寄り添っていた。
この時間が永遠に続いて欲しいと思う傍らで、
この願いが叶わぬものであることを、悔やみながら自覚していた。




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