創作小説「剣術の祭典」(1/3)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/10/07 23:32:56
第一話
熱気溢れる闘技場。
何万という人々が集まって一組の試合の勝負に声援を送っている。
本来なら太陽が頭上で輝いている今はまだ宵の口。
日が暮れかけてからが祭りの本番が始まり、闘技場は 人で埋め尽くされ盛り上がっていくのだが、今回は昼間から大変な賑わいだった。
ここはルクウート。大陸西端に位置する剣術の国である。
国が一番盛り上がる日。それは毎年行われる“剣術の祭典”の時である。
周辺各国の王も招待され、華やかな、国あげての祭りが数日に渡って催される。
その一番のメインが闘技場で行われる剣術の試合。
トーナメント方式で、登録すれば誰でも参加できるのである。
世界中の腕に覚えのある剣士が集まり、試合を開始するのは夕暮れ時。
会場にはカガリ火が焚かれ雰囲気的にも気分は盛り上がる。
しかし今はまだお昼時。
それでも人が会場に集まっているのはある試合を見るためだった。
12才から18才までのまだ若輩の青少年達で行われる剣術の試合が、メインの前技として日の高いうちに行われているのである。
参加の殆どの者がルクウートの剣術学校の生徒という事もあって、普段から校内で試合をしている彼ら勝負の行方はある程度簡単に予想は出来ていた。そう、毎年は。
今回、観戦者の意表をついた少年が、今まさに決勝に駒を進めるために相手の腕から剣を弾き飛ばした所だった。場外の道行く人が驚くほど、割れんばかりの歓声が闘技場から沸き起こった。
シキアが街に着いたのはちょうどその頃。
会場側に馬車を止め、地に降り立つ。
「また勝ったぜ、あいつ」
「決勝まで半刻の休憩だとよ」
「今のうちに腹ごしらえしようぜ」
「それにしてもすげぇな“エフェルファ”」
興奮冷めやらぬ様子で若者がシキアの前を通り過ぎていく。
それを聞いてシキアは笑みを浮かべた。
そして、会場入口から現れた少年。
「シキア」
名を呼びながら駆け寄ってくる。
「お久し振りでございます…エイーナ様」
「久し振り!!」
勢い良くそのまま体当たりでシキアに抱きついた。
傍から見れば久し振りの親子の再会ってところだが……会話が聞こえてなければ、の話だが。
「準備は?」
「えぇ、大丈夫ですよ。いつでも」
返答に満足そうにうなずく少年だが、少し困ったような笑みを浮かべる。
「う~ん…でももう少し待っててくれる?」
「決勝戦ですね」
「見てたの?」
「聞いたんです」
「バックレちゃってもいいかな…なんても思ったんだけど、こんなに盛り上がってるし……」
「そうですね。最後まで頑張ってください。コセラーナ様の代わりに見学させていただきます」
手にして見せたのは祭典の招待状。
嫌そうな顔をした少年に笑顔を見せる。
「挨拶だけして戻ります。外交も仕事ですから」
「うぉーい、エフェルファー!」
大声が会場入口から発せられた。
同じ年頃の少年が激しく手を振っている。
今は有名になりつつある名を大声で聞かされ、周囲の者は名の主を見つけようとキョロキョロ見渡している。
「あ…あいつは……」
苦悩を表情に出す少年を見て自然と笑みが浮かんでしまうシキア。
「彼はルクウートの……」
「そう。じゃ後でね」
「お気をつけて」
彼…ルクウートの第2王子・ウェープと共に会場内に消える。
後ろ姿を見送ってシキアも別入口に向かった。
招待状を持った者しか入れない国賓席に続く入口へ。
北陸の商業の国・テニトラニスの国王代理という名目を持って。
剣士エフェルファは15才の少年だった。
ルクウートの剣術学校に留学してきてから2年と数ヶ月。
普段は特別目立つことのない普通の少年だった。そう、普通過ぎるほど普通だった。
黄土色の長い髪をひとつに束ね、蒼い大きな瞳がいつもにこやかに笑っていた。
身体も大きくなく、肉付きもあまり良いとはいえない線の細さがあった。
祭典の試合は初参加。
学院寮のルームメイトのウェープに強引に出場させられたのだった。
ウェープはこの国・ルクウートの第2王子だ。
8つ上に兄がいるため、それも次期王位継承者として何ら問題のない人物であるために余計な重圧などを受けずに自由奔放に成長中だったりする。
だからカルマキル国からの紹介でやってきたエフェルファに対しても立場や身分などおかまいなし。王子扱いすれば逆にすねられたりするものだから、周囲の学生は戸惑って距離を置いている。
そんなウェープにのほほ~んと普通に付き合いが出来る唯一の人物がエフェルファだった。
「WANTED」の途中での乱入小説ですw
只今執筆中につき、もう少しお待ちくだされということで、その代わりにww
エイーナ特集の第一弾ですw
ま、「WANTED」に続く伏線でもありますので、よろしくです
3話で終わりますw
ほんのひと時の短いお話ですw
裏設定暴露小説ともいうww(爆)
こんなに盛り上がってるのに三話でおわっちゃうんだ~
うーん 楽しみw