機動戦士ガンダム 公国の威信18
- カテゴリ:自作小説
- 2010/10/15 15:12:16
ロザリオが沈黙を破った。
「簡単な任務じゃないことは…判ってるよな?」
「もちろんです。でも…なんか感じるんです。アイツの存在を。
カレンの為にも、俺は戦います」
「ゲオルギーがそこに居るという根拠は?」
レンはまっすぐな瞳で言った。
「勘です」
ロザリオは顔を少し緩め、虚空を見つめながら言った。
「あれは…前の大戦の中盤くらいだったかな。
いくつかの部隊が合同で大規模な演習をやったとき、
俺は初めてオマエを見た。そのときは未だザクに乗ってたっけな。
それでも腕は超一流だった。比べられる周りのほうが可愛そうなぐらいにな。
まさに武神降臨って感じだった。ただ…オマエは1人で戦ってた。
1人で、目的もなく、ただ、敵を倒してるように見えたんだ。
でも…あの頃と顔つきが変わったな。イキイキしてる。
周りをちゃんと見て、他人のためにも戦うようになったよな」
そう言って、ロザリオは益荒男の顔に戻った。
「ブラッドリー!ミッションプランを2時間で仕上げろ!」
「へぃへぃ、こりゃ本気ださなダメだな」
そういいながらも、ブリーフィングルーム脇にあるPCに噛り付いた。
そして、それを腕を組みながら傍観していたクワトロも口を開いた。
「できることなら…私も何かお力になります」
ブラッドリーが顔を横にひねって嬉しそうに答えた。
「それなら、リックディアス用のオプションパーツを 用意してくれると助かるんだが」
「お安い御用ですが…どうしました?レン中尉?」
なぜかレンは苦い表情をしていた。
「いえ、MSが不足しているんですが これ以上手間を取らせるのはどうかと思いまして」
「ついでに言うとパイロットも足りませんね」
ロザリオがぶっきらぼうに付け足した。
その場に気まずさが漂った。
「パイロットなら…ここに…」
弱弱しい声がブリーフィングルームのドアのほうから聞こえた。
カレンだった。
頭の包帯は外されていた。
「アナハイム…じゃぁ、操縦系の…開発をして…いたんです…
まるっきり…素人じゃ…ありません…」
「でも…お前…」
クワトロが、レンを制して言った。
「そんなこともあろうかと用意しておきました。非武装ですが百式を一機」
「えぇ~~~ッ!」
A.E.R.のメンバーは予想だにしない言葉に飛び上がりかけた。
「テスト用に使っていた機体が用済みになったのですよ」
ロザリオは嬉しそうな顔になって言った。
「ありがたく頂きます。ただカレン、お前はウラノスに乗れ。百式にはマコトが乗れ。
よし、ブリーフィングを…13:00から行う。
それまで各自万全のコンディションを整えるように。解散!」