ロシア、テロ封じ込めで手詰まり
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- 2010/10/20 18:07:57
【モスクワ=佐藤貴生】ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイで19日朝、武装した4人が共和国議会庁舎を襲撃、特殊部隊と銃撃戦となり、少なく とも7人が死亡した。共和国内でも重要な警備拠点の一つである議会が襲撃されたことで、多額の資金を注ぎ込んで武装勢力の弱体化を図るロシア政府の戦略が 手詰まりに陥っていることが浮き彫りになった。
治安当局によると、武装勢力の4人は19日午前8時45分ごろ、出勤する議員の車に続いて議会敷地内に車で侵入。駆けつけた特殊部隊との銃撃戦の末、2人が射殺されたほか、残る2人は自爆した。このほか警官ら3人が死亡、17人が負傷した。議長や議員は無事だった。
共和国首長のカディロフ氏は武装勢力の制圧を指揮、ロシアのプーチン首相に経過を報告した。
犯行の動機や背後関係は不明だが、私兵組織を率いて強権支配を進めるカディロフ氏については、利権の配分などをめぐって共和国内の他の有力部族が反感を 強めているとも伝えられる。8月には同氏一族の出身地に武装勢力が潜伏していたことが判明、盤石とみられていた支配体制のほころびも明らかになった。
ロシア政府は1999年に始まった第2次チェチェン紛争中、ゲリラから親露派に寝返ったカディロフ氏に共和国の統治を任せた。合わせて、共和国の予算の9割以上を拠出し、はびこる貧困を一掃してテロ組織に加わる若者の“温床”を絶つ戦略を進めた。
しかし、わいろの横行などの汚職や失業問題は改善せず、住民の間には根強い不満がある。このため、チェチェンを含む北カフカス地方一帯では、過激なイスラム教の一派が勢力を拡大しているといわれる。
連邦保安局(FSB)は今年1~9月、北カフカス地方で50以上の反テロ掃討作戦を実施、300人以上の武装勢力メンバーを殺害したが、要人や警官などに対するテロ攻撃が収まる気配はないのが実情だ。
こうした事態を受けてロシア政府は最近、北カフカス地方の新たな発展計画をまとめた。職のない若者を国内の別の地域に移住させ、各種の技術を持つ専門家らを逆に北カフカスに住まわせることで、就職のための技術支援を行うとしている。
しかし、この戦略が実現できるかは疑問だ。シンクタンク、モスクワ・カーネギーセンターのマラシェンコ氏は、「テロ封じ込め策の一環には違いないが、移住計画は荒唐無稽(むけい)だ。(政情や経済が安定しない)北カフカスに移住する者などいない」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101020-00000119-san-int