Nicotto Town


ぐるぐるぐるぐる


さかのぼってみる。<無題。2>

「・・・う。」
 眠ってしまったようだ。ひとまず起きあがる。そして、なんだか手に違和感を憶える。
「・・・・・・・っ!?」
 そこには、べっとりとした真っ赤な血が付いていた。
「うそでしょ・・・!?」
 あたしは自分の目を疑った。どうして、こんなものがあたしの手に付いてるんだ?
「っ!!」
 あたしは、またもや目を疑うハメになった。冗談でしょ?
 そこには、首を吊っている有紗がいた・・・。

「イヤーーーーーーーーーーーー!」
 ああ、やっぱりだ。夢オチだ。そうだろうと思った。
 ずっと前から言い忘れていたが、あたしの名前は犬飼マミだ。犬を飼っているか?とよく訊かれるが、あたしは「飼っていない」と答える。
 理由は、ただ一つ。あたしが動物アレルギーだから。
 少し時をさかのぼろう。

 犬飼家は、代々その名の通り、犬を飼う家系だった。そして、その犬に絶対に花の名前を付ける。それは、絶対に、絶対だ。マミの祖母の家で飼っていた犬も、キキョウという名だった。それはそれは可愛がられ、眼の中に入れても痛くないと言っても過言ではなかった。
 ―マミとは対照的に。




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