我が実家で飼われている柴犬(オス)。
主人には忠実だが、それ以外には警戒心が強い犬。
のはずですが、ウチの子人懐っこいです。

友人等と一緒に柴の前に行くと、「遊ぶ？遊ぶ？？」って感じで友人に尻尾フルスイングな柴。
我が家で初めて法事が会った時、初めて見る親戚達と初めて聞くお経の声に小刻みに震える柴。
散歩中近所のワンコ達に吠えられても我関せずで散歩に夢中な柴。
動物病院が大好き、獣医の先生ＬＯＶＥな柴。

そんな柴ですが、一度豹変した事があります。
とある散歩中、突然一匹の野良犬が立ちはだかってきたのです。
我が柴に喧嘩を吹っかけるかのように唸って来る野良犬。
柴を守らないと！とは思うけども、怖くて固まる私。

その時、柴も負けじと野良犬相手に唸り返します。
食事の邪魔をしても怒らないのに。
口の中に手を入れても咬んだりしないのに。
その姿はジブリ映画「もののけ姫」に出てきたモロの君の様です。

鼻にはいくつもの皺がよって、牙はむき出し。
頭を低くし、何時でも飛び掛れるように構えた我が家の柴。
野良犬よりも小さいその体ですが威圧感はさすがの柴犬、野良犬を圧倒しています。
え？私ですか？
情けない事に柴のリードを持ったまま、ただ突っ立ってるだけの役立たずです。

ほんのちょっとだけ取っ組み合いになっちゃいましたが、結果は柴の勝利。
野良犬は山の中へと消えていきました。
そこでやっと動ける私。
全身の毛が逆立ってましたが、特に怪我はない模様。

慌てて家に帰って親に事情を話し、暫らくは散歩コースを変える事になりました。
その後柴の様子を見に行くと…。
「ご主人、水がたりません！後ご飯！！」って顔でこっち見てる。
いつも通りの柴がそこにいました。

あぁ、お姉ちゃんお前に守ってもらっちゃったな～。
ゴメンな、柴。
次はもっと頑張るよ！
…いや、もうこんな思い二度と御免だけどな！！

それから今現在に至るまで野良犬には出くわして無いようなので、あの柴を見たのは私だけです。
散歩コースは数ヵ月後には元に戻りました。
ただ私はあれ以来、一度もあの道を散歩で通ってません。

そんな私と柴の思い出でした。