Nicotto Town


夢と空と雲


綺麗な黒は私の夢 10

パタン

私は携帯を閉じた。

「何で急に…?」

今私は疑問が一つある、それは永治君に呼び出されたことだ。

昨日の零の言葉に引っ掛かるけど、私は永治君を信じてココにきた。

「遅いな~」

腕時計を見ながらそう呟いた。

時間には厳しそうな感じだと思ったんだけどな…

その時だった!!

ガシッ

後ろの誰かに、鼻と口に布を当てられている…

私が…後ろを…とら…れる…な…んて…

私の意識はドンドン薄れていった…


―第10話―


―誘拐―


「ふわぁ…眠ぃ…」

あくびをしながら廊下を歩く…

アレ…?今日も寒樹はいねぇのか…

そんなことを思いながら、玄関にある郵便受けに向かう。

これが俺の日課だ。

「えっと…これが新聞で…これが手紙…ってあれ?」

『野島 厚樹様へ』

差出人に、家の住所も無い…

明らかに怪しい…

封筒の上のほうを破り、中身を見た。

「嘘…だろ…?」

その内容は俺には信じられなかった…

「明日香が…誘拐…」

『野島厚樹様へ
 
 どうですか、今の日常?

  楽しいですか?それは楽しいでしょうね。

 そんな日常に、面白い出来事を与えましょう…

 明日香さんを捕らえた。助けにくるならココへ来い。

 <ギリシャ神話>』

「んだよ…これ…」

俺は首を左右に振り続けた…

ギリシャ神話…神話…?神…

もしかして…!!


―――――――――――――――――――――――――――――


もしかして、神社…?

走ってやってきた神社。

辺りには誰もいない…しかし…

ギィ…ギィ…ギィ…

後ろを振り返ると、ブランコが独りでに揺れていた。

ブランコの座る部分には、紙がテープで貼られていた。

ビリッ

『これくらいは解けないと、まずいよね。

 んじゃあ次はちゃんと答えてあげるよ。

 その神社の近くにある廃工場にきな。
 
 そこで待ってるよ。

            K.N  T.K』

なるほどな…

そういやぁ…この字どっかで見たような…

そして、イニシャルが2つ…

2人いるのか…?

そんなことより先を急ごう!!!


―――――――――――――――――――――――――――――


「はぁ…はぁ…はぁ…」

ココか…

さすがに走り疲れて、その場に座り込んだ。

・・・でも先を急がないと!!

「やっと…来たんだね!」

「誰だ!!!」

「誰って…?僕のこと忘れちゃった??」

そこに居たのは、ニコニコした永治だった。

「お前か…永治!!!」

「あれ?何か疑問ない?」

疑問…?

「イニシャル」

奈澤永治…E.N…

あれ…?

「そう、奈澤永治は偽名だよ。本当は…」

そう言いかけ、首に手をやった…

ビリッ

何かが破れる音…

それは…奈澤の…皮!?

いや違う…マスクだ…!!

マスクを外し首を左右に振った。

そして、眼鏡をかけた。

黒い髪で、眼鏡かけている。そして俺によく似てる…そうか…

「寒樹だったのか…」

「今気がついた。」

「ああ」

まさか、こいつが俺の学校に来るとはな…

「そうだ、どうせなら今喧嘩してみる…?場所が場所だし…」

「別に…俺は良いぜ!」

「じゃあ開始だ!!!」


―――――――――――――――――――――――――――――


「ん…うん??」

まだ視界がぼんやりしてる…

「目覚めた?」

「零!!!」

どうして零が!?

「誘拐犯の仲間。厚樹君は、下で色々やってるよ。」

「ふーん、色々…色々って!!」

「何でも良いでしょ。」

「気になる。」

スッと立ち上がり、物音のする方へ行った…

そして、上から見えた光景が…

「厚樹、お前…やっぱりだ!それじゃ、女1人守れないぞ!!」

「うるせぇ!!!」

厚樹が負けてる…もう1人の方は…寒樹君…?

「俺は手加減しないぞ!」

寒樹君の回し蹴りだ。

厚樹はふら付いてはいないけど、もう限界みたい…

私がっ!!!

バタリ…

また…意識が…


「嘘でしょ…?」

両手を動かしてみる…

やっぱりちゃんと動く…あたしの意思で…!?

「どうしたの明日香!!急に倒れて…」

「いや、何でもない…」

「どうしたの!!その髪色…さっきまで緑だったのに…今は黒に…」

「何でもないよ、安心して…零…」

彼らを止めること…それが明日香の望むこと…

あたしは、1歩前進した。


―第10話―

―誘拐―END

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2010/11/07 16:14
一揆読み中b



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