Nicotto Town


夢と空と雲


綺麗な黒は私の夢 13 1

バタン

車のドアが閉まる。

「着ちゃった…」

午後8:00お墓…到着です…

―第13話―

―麗香―

「ねぇ…麗黒…代わって…」

『あっ…うっ…ううぅ』

どうかしたの?

『あっ…いや…何でもない…』

そう…?

「よし、集合~!」

零の声がする。

「今日このお墓まで連れて来てくれた、明日香のお母さん、梢(こずえ)さんです!!」

「よろしく。」

「おっ…お母さん…」

何か…何か…何て言うだろう…お母さん…失礼って言うか…何と言うか…

「そういえば、梢さんのリクエストでこのお墓になったんですが…
 どうしてココ何ですか?」

「何となく…」

お母さん…

「全然似てないな、お前の母さんと明日香。」

ビクッ

耳元で厚樹が言う。

こういうの苦手なんだよね…

「明日香…?俺何か悪「あんたが、厚樹君かい?」

「はっ、はい」

厚樹はくるりと向き直った。

「なるほど…ねぇ…」

何か…ためされてる…?

「明日香の父ちゃんと同じ類の人間だね。」

そう、私のお父さんは不良…だった。

お母さんが叩き直したらしい…

ちなみに今は、道場やってる…

「えっ…たぶん…」

「でも、性格はうちとは違う様だね…うちの父ちゃんは男前にした時しか男らしくない奴だった。
 それ以外の時は普通さ。まあ不良ということで、皆からは仲間外れだったけど、
 それでも、誰よりも仲間思いの奴だったよ。」

お母さん…私…こんなの聞いたことないよ…?

「まあそんなことより…肝試し行くよ!!」

零が話に割ってはいる。

うっ…せっかく零が忘れかけてた所なのに…

「チームは、明日香と厚樹君とで一チーム。あたしで一チーム。寒樹君で一チーム。」

「えっ…零と寒樹君は独りで大丈夫なの…?」

「何ら問題ないよ。」

「男が怖くてどうする?」

そう言っている二人。

震えもなんもしてない…

凄い…

「じゃあ、お二人さん!!お先にどうぞ…」

「うっ…うん…」

ねぇ…そろそろ代わってよ…麗黒…?

『・・・・・・・』

ねぇちょっと…?

『・・・・・・・』

どう…したんだろう…

『右へ…榊さんのお墓の前で左折…』

えっ…?

『良いから…あたしの指示に従って…』

えっ…確かにそっちがルートだから…

「どうかしたのか?明日香?」

「あっ…いや…何でもない…」

「?」


―――――――――――――――――――――――――――――――


『そこで…ストップ!!!!!』

ビクッ

急に声が大きくなる…ビックリした…

「おい、明日香先に…」

<鎌内家>

「何だよ、明日香?たまたま同じ名字なだけだろ…?」

「違うの…麗黒が…麗黒がココで止まってって…」

「えっ?」

何でココで止まるの…

『何かが…何かが…ココに…』

私は、墓石の横を見た。

なぜなら、このお墓に入ってる骨の人の名前が刻まれているからだ。

<麗香>

麗香…?

『う…うっ…あ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

麗黒…!?

『・・・・・明日…香…?』

麗黒…?

『麗黒…じゃ…ない…あたしは…あたしは…麗…香…』

えっ…?

『明日香の双子の…姉』

そんなの…お母さんから…

「言ってなかっただけだよ。」

お母さんの声だ。

振り向くと、お母さんがいた。

「あんたは思い出せないだろうね。それは当たり前さ。
 麗香は生まれてほんの少ししてに、死んだんだから」

「えっ?」

「双子の女の子が生まれた。父ちゃんとで、麗香と明日香って名前を付けた。
 生まれた翌日、麗香が急に消えたんだよ。」

「えっ?何で…何で…!!」

「まだその時はアパートに住んでた頃なんだけど…
 家で麗香にミルクあげてたら、家に誰かが侵入してきた。
 あたしの力があれば、男一人倒せるけど、子供抱えては無理がある…
 そしたら、麗香を腕から取られて、玄関から逃げて行った。ほんの一瞬の出来事だった。」

「それで…」

私はゴクリと唾を飲んだ…

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2010/11/13 13:31
一揆読みちぅー



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