壊れゆく片割れ 2
- カテゴリ:家庭
- 2010/12/03 20:06:59
「一先ず保健室行くぞ!!」
「待て!!!」
「なっ…何だよ佐々里!!」
「私が運ぶ…」
下向きながら言う…
「あっ…あぁ…」
周りがざわつく…
ギギ…
少し、華々里から機械音が聞こえる…
華々里を背負い、家へと向かった…
「何てことだ…昨日までは見付からなかったというのに…」
「どうして今日になって…」
「これが国にばれたら私達はそっこくクビだな…」
大人達の会話が聞こえる…
どうやら…華々里の一部が壊れていたらしい…
「さて…どうする…?」
「やはり、 だろ…?」
ビクッ…
身体がビクついた…回収…?
回収=破壊
華々里が…壊される…?
「そもそも、いつ壊れてもおかしくない…」
何で…昨日までは…全然問題無かったはずじゃあ…
「でもどうして、昨日のメンテナンスで見付からなかったのでしょう…」
「私は知りませんよ。」
「私だって…!!!!」
大人達が口々に言う…それは自分が助かるためだ…
あぁいう大人は嫌いだ。
自分のことしか考えてない…
こんな所に…そんな所に…
華々里を置いとくなんて…
ダダダダダダダダダダ・・
全力で走った…走った…!!
「お前…!何をする!!!」
「華々里を返せ!!!」
そういうと華々里を背負い、必死に走った…
華々里を…華々里を殺すわけには…いかないんだ!!!
「はぁはぁ…はぁ…はぁ…」
まだ息が切れている…身体を動かしていたいと思う…
その時…
「さっ…佐々…佐々里…?」
「華々里!!目覚めたか?」
「あっ…!!もうすぐ…!!!もうすぐ…眠る…」
「えっ…?」
眠るって…嘘…ですよね…?
「だから…知らせておく…」
腕はガタガタ震えながら、メモも突き出した。
「こっ…これは…?」
「そこに…行って…そうすれば…ぼ・・・」
そこで華々里は目を閉じた…
「か…華々里!!!!!!!!」
叫んでももう起きない…
目から流れ出す涙が、頬をつたる…
その涙を服の袖拭い、華々里の残したメモをみた…
『長和小学校前のバス乗って。廣澤さんの家の近くのバスの駅。
そこから布津原公園前で降りて、近くの丹野さんの家探して。
その家主さんに僕を見せて。役に立つよ。』
というものだった…
「華々里の遺言…とでも言うのか…?これは…?」
何だかよく分からないが、華々里の言う通りの場所へと向かった…
華々里を背負って…
「ココ…か…?」
そこは普通の一軒家だった…ココが一体…?
まあ良い、インタホーンを鳴らしましょうか…
ピーンポーン
インターホンを鳴らす。
「はーい!!」
女の人の声が返ってくる…
「あぁ…そういうこと…分かった…この家の表札を前に引いて…」
「えっ…」
華々里を背負ってるため、腕を出すのもキツイ…
ギィィィィ…
変な音が…
ピューン
「!?」
目の前が急に明るくなり、反射的に目を閉じた…
「ちょっと?いつまで目閉じてんの?」
女の人の声が聞こえる…
渋々目を開けた…
そこに広がっていたのは…
「ようこそ、丹野家の研究所へ…」
研究所…?
「私は、丹野梓(たんのあずさ)。まあそんなことより、華々里君…貸してくれる…?」
「・・・・・」
少しためらったが、華々里が信じた人だから…
「分かりました…でも…もう…」
「安心して、ちゃんとあなたの元に戻すから…☆」
「はっ…はい…」
「じゃああとは…部屋の案内か…一樹(かずき)!!!」
梓さんはは叫ぶ…
「はーい…」
どこからと声が聞こえてきた…
「どうも、丹野一樹です。」
目は明らかに眠そうな目をしている。
歳は…小学生ぐらいだろう…
「一樹。この人、1005号室に連れて行ってくれる…?」
「了解、梓。」
「頼んだわよ!」
そういうと、一樹さんは私の服を引っ張り案内した。
連れて来られたのはエレベーターホールだった…
「忘れちゃダメだよ。使うエレベーターは、この3号だから…」
「はい…了解です。」
でも私は疑問に思った。
私はロボット…そういうのはインプットしてしまえば完全記憶される。
しかしそれを不確かな記憶に入れた…
つまり、私を人間扱いしてるということか…?