Nicotto Town


夢と空と雲


壊れゆく片割れ 2

「一先ず保健室行くぞ!!」

「待て!!!」

「なっ…何だよ佐々里!!」

「私が運ぶ…」

下向きながら言う…

「あっ…あぁ…」

周りがざわつく…

ギギ…

少し、華々里から機械音が聞こえる…

華々里を背負い、家へと向かった…


「何てことだ…昨日までは見付からなかったというのに…」

「どうして今日になって…」

「これが国にばれたら私達はそっこくクビだな…」

大人達の会話が聞こえる…

どうやら…華々里の一部が壊れていたらしい…

「さて…どうする…?」

「やはり、  だろ…?」

ビクッ…

身体がビクついた…回収…?

回収=破壊

華々里が…壊される…?

「そもそも、いつ壊れてもおかしくない…」

何で…昨日までは…全然問題無かったはずじゃあ…

「でもどうして、昨日のメンテナンスで見付からなかったのでしょう…」

「私は知りませんよ。」

「私だって…!!!!」

大人達が口々に言う…それは自分が助かるためだ…

あぁいう大人は嫌いだ。

自分のことしか考えてない…

こんな所に…そんな所に…

華々里を置いとくなんて…

ダダダダダダダダダダ・・

全力で走った…走った…!!

「お前…!何をする!!!」

「華々里を返せ!!!」

そういうと華々里を背負い、必死に走った…

華々里を…華々里を殺すわけには…いかないんだ!!!


「はぁはぁ…はぁ…はぁ…」

まだ息が切れている…身体を動かしていたいと思う…

その時…

「さっ…佐々…佐々里…?」

「華々里!!目覚めたか?」

「あっ…!!もうすぐ…!!!もうすぐ…眠る…」

「えっ…?」

眠るって…嘘…ですよね…?

「だから…知らせておく…」

腕はガタガタ震えながら、メモも突き出した。

「こっ…これは…?」

「そこに…行って…そうすれば…ぼ・・・」

そこで華々里は目を閉じた…

「か…華々里!!!!!!!!」

叫んでももう起きない…

目から流れ出す涙が、頬をつたる…

その涙を服の袖拭い、華々里の残したメモをみた…

『長和小学校前のバス乗って。廣澤さんの家の近くのバスの駅。
 そこから布津原公園前で降りて、近くの丹野さんの家探して。
 その家主さんに僕を見せて。役に立つよ。』

というものだった…

「華々里の遺言…とでも言うのか…?これは…?」

何だかよく分からないが、華々里の言う通りの場所へと向かった…

華々里を背負って…


「ココ…か…?」

そこは普通の一軒家だった…ココが一体…?

まあ良い、インタホーンを鳴らしましょうか…

ピーンポーン

インターホンを鳴らす。

「はーい!!」

女の人の声が返ってくる…

「あぁ…そういうこと…分かった…この家の表札を前に引いて…」

「えっ…」

華々里を背負ってるため、腕を出すのもキツイ…

ギィィィィ…

変な音が…

ピューン

「!?」

目の前が急に明るくなり、反射的に目を閉じた…


「ちょっと?いつまで目閉じてんの?」

女の人の声が聞こえる…

渋々目を開けた…

そこに広がっていたのは…

「ようこそ、丹野家の研究所へ…」

研究所…?

「私は、丹野梓(たんのあずさ)。まあそんなことより、華々里君…貸してくれる…?」

「・・・・・」

少しためらったが、華々里が信じた人だから…

「分かりました…でも…もう…」

「安心して、ちゃんとあなたの元に戻すから…☆」

「はっ…はい…」

「じゃああとは…部屋の案内か…一樹(かずき)!!!」

梓さんはは叫ぶ…

「はーい…」

どこからと声が聞こえてきた…

「どうも、丹野一樹です。」

目は明らかに眠そうな目をしている。

歳は…小学生ぐらいだろう…

「一樹。この人、1005号室に連れて行ってくれる…?」

「了解、梓。」

「頼んだわよ!」

そういうと、一樹さんは私の服を引っ張り案内した。

連れて来られたのはエレベーターホールだった…

「忘れちゃダメだよ。使うエレベーターは、この3号だから…」

「はい…了解です。」

でも私は疑問に思った。

私はロボット…そういうのはインプットしてしまえば完全記憶される。

しかしそれを不確かな記憶に入れた…

つまり、私を人間扱いしてるということか…?




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.