Nicotto Town


夢と空と雲


壊れゆく片割れ 3

「どうかした?」

「あっ…いえ、別に…」

「そう、なら良いけど。」

ビューン

エレベーターのドアが閉まる。

そして一樹さんは、10階を押した。

「しばらく待ってね。」

しばらくとは言っても、10階である。そんなに永くはないはずだ。

「着いたよ。」

このエレベーターは、普通のマンションと繋がっていたみたいだった…

何だ、想像したのとは全然違う…こっちの方が何よりだ。

「はい、1005室の鍵。」

スッと差し出す。

「ありがとうございます。」

「うん…そうだ、ココ梓が管理してるマンション。ココに住んでる人、全員ロボットだから。」

えっ…ココに住んでる人、全員ですか…?

「そうですか…」

「そうだよ。」

華々里以外のロボットとは会った事がないので、色々と不安が…

「困ったことあったら、僕か梓に聞いて。」

「そうですか…」

了解です。

そういえば、一樹さんと梓さんって、どういう関係なんでしょう…

歳はそれなりに離れてますし…

「親子だよ。」

「えっ…?」

「梓は僕のお母さん。ロボットとか、そういうの抜きで…本当の血の繋がりのある親だよ。」

そういうと、彼はエレベーターの方へ向かって歩き出した…

そんなことより、部屋に入りますか…

1日に沢山のことが在り過ぎた…記憶を整理したい…

ガチャ

ドアを開けると、部屋のドアは全開で、向こうのリビングまで玄関から見えた。

「ハァ」とため息をつき、リビングへと向かった。

リビングに入り、左を見て気が付いた。

そこには_____

「華々里…?」

嘘…

「あぁ!!!佐々里!!」

でも違う…これは映像だ…下に、しゃ影機があった。

「安心して佐々里。たぶん、もうすぐ僕が来ると思うよ。まあ、丹野さんの話だけど…」

頭に、?の文字が浮かぶ、だって華々里は___その時だ。

ガチャ…

玄関のドアが開く音がした。

足音も聞こえてくる…その正体は…

「僕は華々里。映像でも何でもない、本当の華々里!!!」

目の前に、壊れたはずの華々里がいる…どうして…?

「実は、僕壊れて無かったんだ。」

「えっ…?」

「寝た原因は、緊急停止モードになったから。」

いや、そんなモードはなかったはず…

「昨日、佐々里が勉強するって言ってたでしょ?」

確かに言っていた…

「それで僕は、勉強いやで、こっそり外に出たんだ。」


「よし、脱出成功!!どこ行こうかな・・・?」

その時、一人の女の人と擦れ違った。

「ねぇあなた…華々里って言うでしょ?」

行き成り声をかけられ、研究の人か思って、身体がビクッと動く。

「安心して、私はあいつ等とは違うから…♪」

何か笑顔が…

「ともかく来て☆」

サッ

頭に何かを翳された。

・・・・意識が…周り…がぁ…


ココは…どこ…?

「目、覚ました?」

「ねえ僕をどこに連れてきたの!?」

「えっ?私の研究所。やる事終わったし帰っていいよ。」

「えっ…」

急にそんなこと言われたって…

「そうそう、さっきやったのは、緊急停止モード追加。壊れて動かなくなる前に、停止するヤツ。
 それと、脳内メモリー&五感司るヤツに損傷付けといたから。」

そんなことしたら!!!僕は…

「安心して、その為の停止モードでしょ?」

「えっ…?」

「あんたを助ける。あと佐々里君も。」

「何で佐々里も…」

何で…

「あんたの作りの親の腕が悪いのよ。情報筒抜け。擦れ違ってもすぐ分るぐらい…」

それって…

「そういうこと…私を信じるなら、この紙を佐々里君に渡しな。」

「あっ…はい…」

「そうそう、私は丹野梓。宜しくね。」

「はい…」

よし、じゃあ帰るか…♪

「待って!!」

「はい!?」

「明日、たぶん停止モード発動するよ。でも明日はいつも通り運動しててよ…?」

かもふらーじゅって、のかな…?

「うん、分った。」




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