ひとりで食べる御飯が面倒で、ついインスタントラーメンですませてしまうことがある。
このテの手抜きは、太りやすくなるので本当はやらない方がいいのだが。

で、手抜き御飯。
本当にもういいや、食べてるだけましでしょ、という御飯で、麺をずずずとすすりながら、アレ?　豊かだなぁと感じた。
うん、そう間違いなくわたし――というか、この国に住む私たちは豊かだ。

ささやかな贅沢で、セラミックのミルを買って、卓上で胡椒をひいてかけている。
挽きたてだと胡椒は、なるほどこれを求めて航海するわけだ、と実感する香りがする。
鮮やかで刺激的、目がさめるような香り。
値千金、昔であればあり得ない……いや、現在でもそう多くあることじゃないと思える。

同じ重さの金と等価とされた香料、外つ国で産する物を、ブンまける食卓は間違いなく豊かだ。そんな食事をとれる暮らしも。
たとえそれが、その場所では安価で貧相な食事であってもw

この豊かさのツケがまわっているところもきっとある。
『虐殺器官』のことを思い出してみたり。
考え込むと鳩尾のあたりがヒンヤリする。

無力だからって見ないふりするのはナシだと思っても、出来ることは多くはないだろう。
こんなこと言ってたら、いつか自分たち自身が代償を支払うことになるかもしれない。
ちょっとぞっとしない事態だ。

皆がささやかな喜びを、贅沢を、楽しめる世になりますように。