『地球へ…』(劇場版)
- カテゴリ:アニメ
- 2009/03/24 23:32:37
このあいだ書いていた「欠かせないモノ」に至るきっかけや、その基盤について考えていたら、自分にとっての「曲がり角」がぽこぽこ浮かんできた。
劇場アニメ『地球へ…』は、空想的な話を読むことはあっても基本的にリアリズムの徒だった自分が「あれ、このテの物が好きかも」と感じたごく初期の機会だった。
なにせ当時、小学生のチビ。
映画館にいたお客の中で、おそらく私が一番年少だった筈だ。
『地球へ…』という名前自体は、最近TVアニメもされたのでご存じの人が多いだろう。
原作は竹宮恵子のコミックで、コンピューターによる管理社会と迫害される超能力者、という割と古典的な内容である。
この劇場版の評判だが、あまり芳しくない。
曰く、絵がキレイじゃない。詰め込みすぎ。声のキャストがひどい。
正直わからないでもない。
でもTVアニメのどさくさでか、やっと出た劇場版DVDを覚悟して見て驚いた。
ずいぶん久しぶりに見たけど、しごくまっとうだよ、これ。
面白い。
2時間足らずの時間で数十年を駆け抜けるけど、根幹のところはほぼ外していない。
小奇麗な絵ではないけど、動いてる。
実写畑の人が監督している作品だけど、当時ありがちな名前貸しじゃなく本気で仕事をしたらしく、アニメではあまり見ないようなカットがある。
キャラクターに生活感のあるお芝居をさせようとしている。
払った労力分の効果があったかどうかは謎だが、その気概はかうべきだろう。
声優じゃないキャストがあてた古い例としてあげられるけど、必ずしも悪いばかりじゃない、と思う。
(思い違いかもしれないがw)
それなりに好評な沖雅也のキースは正直やや棒気味だが、感情を殺している人物造型にあっている。
絶不評の秋吉久美子のフィシスは、そういうキャラクターとして演出したと了承した。原作とイメージが違うとは感じたが、キースとのつながりを考えれば納得できた。
さすがに薬師丸ひろ子のマツカだけは、いくらなんでも「ない」と思ったが。
十代の素人っぽさがウリの女の子に、二十代の青年の声をやらせるのはひどすぎる。
だがマザーコンピューター群の声は間違いなくいい。
特に岸田今日子のグランドマザーは素晴らしく――恐ろしかった。
原作で超能力者たちは対話を望むが容れられず、生きるために戦った結果、カタストロフィが訪れる。
エピローグでわずかに明るさを感じさせているが、物語の帰着は重く、暗い。
いやもう、数年後イデの発動を見ても驚かないくらいの壊滅ぶりだった。
ほぼ同じストーリーをたどりながら、映画は破壊の末の融和と希望(の可能性)を描いて見せた。
そのためには恩讐を超えるしかないわけで、物語的には口当たりがいいが、原作にある「人の難しさ」が裏返しで存在する。
激しく対立する人物同士のやりとりに、意外に相手への気遣いが多いのも、その視点がベースにあるからだろうか?
個人的に『地球へ…』という映画は、そこで道を折れた「曲がり角」そのものではなくとも、そこに至るマイルストーンだった気がする。
誰にでもお勧めというわけにはいかないけど「古き良き」SFを見た過方、こんな作品、どうでしょう?
TV版の「違う感」、わかります。
変えざるを得ない部分があって新たなものを作るのだから、
いっそ別物になるくらい突っ走ればよかったのにと思います。
処分していまっていたので、TVアニメ化で発売された新装版を買っちゃっいました。
劇場版はいつかのTV放送で観たですが、キャラクターボイスのキャストは別として、
なるほどこうなるんだーとけっこう面白かった記憶が。
TVアニメ版は2回くらいチラッと見ただけなんですが、どーも違う感が強くて離れてしまいました。
おお、同士が!
同時期に読んだ〈ゲド戦記〉も好きで、で、作者のル・グインのサンリオ文庫での表紙の多くをを竹宮恵子が描いていたんです。
そこから始まって同じくサンリオから出ていたディック、以後早川に手を出しズブズブとSFにはまりました。
ころまるさん
テレビ版は原作やファンに気を遣いすぎたのか、新しいことをしたいと望みつつも突っ走れなかった感があって、なんだか痛々しかったです。
とは言え、生殖医療やコンピュータ関連の状況が変わっているので、原作そのままに作るとやはり古いでしょうし。
劇場版を見るのならその辺の感覚が古いのはご覚悟のほどを。
セシルミナさん
テラズ№5 増山江威子、マザーイライザ 池田昌子、グランドマザー 岸田今日子、です。
岸田さん、圧巻です。声の質は同じでも、もじもじしてたムーミンと同じ人とは思えない。
白菜茶漬さん
お褒めの言葉をありがとうございます。
でも、口調さえ一定してなくて恥ずかしい。もそっと上手くなりたいのが本音です。
劇場版のキャスト、解釈の問題もあるでしょうし、嫌いなひとの気持ちもわかるんです。
原作、読み返したいけど、本の山の中に埋まってます。片付けねば。
最近のテレビアニメ放送時「地球へ・・・」にはまり、コミックスを買い、
昔の劇場版DVDをレンタルしました。
薬師丸ひろ子には驚愕しました・・・。それはないよ・・・。
ほかの「有名人」の方々は、そんなに気にならなったと記憶してます。
絵がキレイじゃないとか、そんなのは時代ですよね。
今はなんだかどのアニメを見ても、透明感があると思います。
またマンガ、読み返そうかな♪
これだけでも見る価値アリと判断しました、見てええ!!
レンタルショップで見かけたら借りてみます^^
この作品がなければ萩尾望都も知らず、ブラッドベリも知らず、SFにもハマらず過ごしていたと思います♪