Nicotto Town


つれづれと


誰も知らないうさぎのお話




むかしむかし、まだ神様がこの地を見守っていたころの話です。


津軽のあるところに、一人の男が住んでいました。


男の名前は、まだありません。


男は神様の命令に従って、畑を耕していました。


神様は、始めは男を見守っていましたが、

男の懸命な働きぶりに満足し、

新たな場所へ向かい、そこでまた、人間を生み出すことにしました。


神様は、男の監視役として自らの使いであるうさぎを残し、この地を去りました。


うさぎは神様が去ったあとも男を監視し続けましたが、

男は変わることなく働き続けました。


それどころか、独りで監視を続けるうさぎを不憫に思い、

話をしようとするのです。


取り入ろうとしているのだと疑っていたうさぎでしたが、

男の偽りない笑顔に、次第に心を許していくのでした。



男は昼間はせっせと働き、夜はうさぎと共に月を見ていました。

この頃の月は、まだ模様はなく、まるで黄金のように輝いていました。

ただただ黙って月を眺める日が続きました。




男とうさぎは毎晩決まった場所で月を見るので、

いつからかその場所は「月見野」と呼ばれるようになりました。



季節はめぐり、冬がやってきました。

男とうさぎは、雪原となった月見野で、この日も月を眺めていました。


しかし、この様子を、たまたま来ていた神様に見つかってしまいました。


神の使いが人間と絆を結んだことに激怒した神様は、

うさぎの姿が見えなくなるように、

うさぎの毛を、真っ白に染めてしまいました。



うさぎの姿は見えにくくなりましたが、

男とうさぎの仲は変わらずに続きました。

うさぎも、色を変えられたぐらいで男から離れようとしませんでした。

それほどに強い絆になっていました。



季節が一巡りし、また冬がやってきました。

うさぎの色は、雪解けと共に元に戻りましたが、

また雪の季節になると、真っ白になってしまうのでした。




それでも男とうさぎの仲は変わりません。

この日も月見野の丘に立ち、輝く月を見上げていました。



しかし、また神様が戻ってきたのです。

再びかんかんに怒った神様。

今度は二度と会えないように、うさぎを遠くへ吹き飛ばしてしまいました。

男は何もできないまま、

うさぎが飛んでいった夜空を見つめているのでした。

うさぎが飛ばされた先には、北極星が儚い光を放っていました。






夜が明けると、男は月見野の雪原を探し回りました。

来る日も、明くる日も、昼も夜もうさぎを探しました。


そして、月見野を探し終わると、うさぎが飛んでいった方向へと向かいました。

あまりに急な出来事だったので、男は何も持たずに旅立ったのです。

のどの渇きは雪を食べて凌ぎました。

空腹は感じられませんでした。

しかし、男の体は知らず知らずに弱っていきました。

そしてついに、雪の積もる森の中で、男は力尽きて倒れてしまいました。







一方、飛ばされたうさぎは、夜の星を頼りに、

月見野に向かっていました。

途中で海も渡りました。

男の声を聞き取ろうと、懸命に耳を澄ましました。

これを繰り返すうちに、うさぎの耳が大きくなっていきました。



そして満月の夜、ある森の中で、男の姿を見つけたのです。

しかし男はすでに力尽き、倒れていました。


「まだ息がある」

うさぎはその日から、男が目覚めるのを信じで、体を温め続けました。

うさぎはもともと神の使いで、食べ物を必要としていませんでした。

しかし、男が耕した畑の作物を食べたことで、地上の動物と同じ体になっていました。

うさぎはときどき木の皮を食べて飢えを凌ぎました。



再び満月の夜がきました。

木の皮は食べつくされていました。

朦朧とする意識の中、うさぎは男を温め続けていました。




新月の夜。
うさぎの耳に、水が落ちました。

雪解けです。
春が近づいて来たのです。

うさぎの身体は、すでに動くこともできなくなっていました。

「あ と す こ し…」


うさぎは男に寄り添い続けました。





草が芽吹き始めました。

鳥のさえずりが聞こえてきました。

春が来たのです。

暖かい太陽の光が、男の顔に当たりました。


そして、男は目を覚ましました。

男は暖かい夢を見続けていました。






























そして、

























男に寄り添うようにして、うさぎが息絶えていました。



すべてを知った男は、三日三晩泣き続けたと言います。

涙も声も枯れ果てた男は、

うさぎの亡骸を抱いてゆっくりと立ち上がり、

うさぎを葬る場所を探しました。


男は、海の近くの森に場所を決めると、うさぎを優しく横たえました。

そして、近くの枝を切り落とし、その木を組んで火を着けました。



満月の夜、うさぎを焼く煙は、高々と上がっていきました。

男は煙の先にある月を、独り眺めていました。

枯れたはずの涙が、またとめどなく流れているのでした。



「今が別れの時」



男の呟きは、今別町の由来となりました。


次の晩、月を見て男は驚きました。




月にはあのうさぎの姿が映っているのです。






「また逢えたね」










「ずっと一緒だよ」









男は体が朽ち果てるまで、月を見続けたのです。

















…すみません、実は私の勝手な作り話です^^


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2013/11/04 19:17
こんばんはー♪ 雨月さんは私のブログを読んでばかり、ブログは公開しないのですか?それとも書かないのですか?

前に一度、私のお話を読みましたよね。^^ あれは、本当に小学校4年のときに書いたものです。
私は小さい頃から、本が好きでした。 なので、作文や感想文の賞はいろいろいただきました!が。。大人や先生達は「すごいね。上手だね。」と感想を言うのですが、私はそれが悲しかった。
子供なりに私は、文章をとおして・・・ きっと、伝えたい事が他にあったのです。

雨月さんも、こんなステキな話を作るのですね。(´▽`*)・・・でも私は、はなまるはあげません。^^
これを書いた時の、雨月さんの気持ちに寄り添います。
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2013/05/04 17:32
こんにちは、訪問ありがとうございます。
ブログの題名が気にかかって読ませていただきました。
とても切ないお話ですね。
それと、とてもきれいな文章だなって思いました。
ありがとうございました。機会があれば、またときどき読ませていただけたらと思います。^^
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2012/12/23 19:24
素敵なお話♪有り難う御座いましたm(_ _)m
最後の言葉・・「また逢えたね」 「ずっと一緒だよ」
先日愛犬が亡くなって、ポッカリ~開いた穴が埋まりました^^
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2012/07/22 13:29
かなしいおはなしです。
きっと、ずっと、一緒にいられるとおもいます。
これから…
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2011/12/28 17:34
いろいろあった1年でしたよね、、雨月さん 今年もお疲れ様でした♪
新しい年もよろしくです^-^
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2011/01/05 23:01
二人は、、、 ですね(o♋ _ ♋o)。ぅるぅる゜
地上で結んでおかないとです。月のうさぎさん そうだったんですね、、

雨月さん ありがとうです。



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