私のカミさんが愛してやまなかったのは、某遊園施設。
千葉の浦安にある巨大な外資系の遊園地。
その名も・・・

浦安鼠の王国・・・。

今回は、まだ息子が３歳の頃に嫌がる私をむりくりその施設に連行されたときのお話。

自然を愛し、小鳥や魚達を愛でる事を好む私にとって、人ごみの中で、人工建造物を見ながら、お金欲しさにされる同じ人間のサービスを受けて、満足を得られるわけがないのであります。

夢と魔法の国などと言っておりますが、そもそも全て人の手によって作られた物。
そこへ現実逃避をしに来る人々が、あんなにもいると言う事実が理解できませぬ。
私の場合、たった数時間釣り糸を垂れる方が、たった数十分温泉に浸かる方が、どれだけ心身的に癒されるか・・・。

ともかく、行く事になってしまったのだから仕方がありません。
朝方降っていた雨も、お昼前にはあがり、薄日が差す一日となった。
「さぁ～キアヌ、スヌーピーいるかな～？」
などとテキトーな事を言ってカミさんに怒られて見る。
今回は、なんとカミさんの勤め先の慰安旅行という事で、パスポートなる入場券は無料で配布さた。
これで中の乗り物は全て乗り放題という事らしいのである。
しかし、私はいわゆる絶叫型といった乗り物は全てＮＧ。
間違って乗ってしまった場合、失神では済まなくなる恐れがある。
３歳の息子もおりますゆえ、比較的大人しい乗り物だけをチョイスした。

敷地内を軽く一周してくれる２階建てバス。
水周りを一周する、主催者側発表による所のアメリカ西部開拓時代の汽車等に乗る。
たまたま赤い色の汽車が来たもので、息子はジェームス（トーマスの仲間）が来たと大喜び。
同じ水周りを一周する、とても水の上を浮かんでいるとは思えない動きをする巨大な船。
その他、お馴染みのコーヒーカップや、レールの上しか走る事が出来ない何の意味も無いカートなどを息子に乗せて見た。
息子は、少し引きつった顔ながらも喜んでいるようだった。

私は考えた。
何故、この外資系の遊園施設が、年間売り上げ１０００億を越えるような巨大なマーケットを持つようになったのか・・・？。
たしかに、三木某という鼠やファーストフード店のキャラクターと同じ名を持つアヒルといったコンテンツの魅力はあるのだろう。
しかし私は、そこで働く従業員のプロ意識に、この巨大施設の魅力の一端があるように思えてならないのである。
こういったどの施設にも１人や２人はいる、いわゆるかったるそうなおねえさんや、やる気の無さそうなおにいさんの姿は、ここには全く見られない。
どの従業員にも、楽しんでもらおうと言う気持ちが、元々興味の無い私にすら伝わってくる。
そして、あのパレードなる催しは、そんな私にすら大した物だといった感想を持たせる。
ここに訪れた老若男女は、皆価値あるサービスを受けたという笑顔を絶やす事は無い。
その内容は、他のサービス業にとって脅威であるものだと言う事は、紛れも無い事実なのだと言う実感を得るに余りあるものだった。

鼠の王国・・・恐るべし。

帰りの車中。
ぐったりと疲れて眠る息子。
私が文句無く付き合った事に、満足げなカミさん。
残りエネルギーの僅かを振り絞って運転する私。

家に着く間際に、ふいに目覚める息子に、カミさんが問いかける。
「キアヌ、楽しかったね～！また行きたい？。」
「行かない。今度はトーマスランド行く。」

偉いぞ！キアヌ！。
おとうちゃんもあそこの方が好きだ！。

号泣。